私とキョンキョン。
当初は、芸能人が買いた文章に対して多くの人が思うように、「芸能人にしては上手いだけで、大したことないんだろうな」と思い、この方が書いた本を読もうなどどは、決して考えなかった。
考えが変わったのは、福岡伸一さんの著書を読んでいた時のこと。
何の著作だったか忘れたけれど、福岡伸一さんが、彼女の文章力を高さを褒め称えていた。
また別の本で、福岡さんと、雑多なジャンルで活躍されている方との対談集にも、彼女は登場した。
美貌だけとっても、世間から見れば余りある魅力を有しているというのに、文章力も優れているということがあるだろうか。
半信半疑ではあったけれど、福岡さんが推すのなら、いつか読んでみようか。
そう思ってから、実際に彼女の著作を手に取るまで、1年とか2年とか、そのぐらいの期間が空いていたと思う。
閉館間際の図書館で、芸術分野に振り分けられていたその本を急いで探した。
急に思い出して、急に読みたいと思ったのだ。
同じ棚を何度も往復して見つけ出した、黄色と、紫が混じった青の表紙。
「黄色いマンション 黒い猫」
黄色いマンションのイラストの前に、笑顔で黒い猫を抱く1人の女性が描かれている。
優しい笑顔のその女性は、本の著者である小泉今日子だろう。
私は、目立つ色合いのその本を、10冊ぐらいある、本日貸し出し予定の本たちの中に加えてあげた。
「まぁ、読んでみようか」、そんな気持ちで。
そのエッセイの中には、小泉さんが過ごした原宿近辺の話や、幼少時代のエピソードが出てきた。
読みながら、まぁ、確かに上手いなとは思った。
そりゃあ何十年もエッセイストして活躍しているような人には敵わないけれども、すごいな、と思う。かなり上から目線だけど。
エッセイ好きの私は結構色んな本を読んでいるので、随分厚かましい感想を抱く読者になってしまった。
以前弟が持っていた、ある芸能人の方のエッセイをチラと読んだ時、「ちょっと申し訳ないけれど、これは読んでられない」となった経験もある。
もちろん、こうやってnoteに、エッセイぶって文章を書くようになってから、一冊の本を書く、しかもそれを、人様に見せられるだけのレベルにまで到達させるということが、途方も無い道の先にあることは、一応、分かってはいる。
「一応」とつけたのは、私は本を書いたことがないから、経験のない事に対して「重々承知している」とまで言うのは、流石におこがましいと思うから。
そんな訳で、小泉さんのエッセイは、凄く面白く読ませて頂いた。
「さすが、トップアイドルからトップ女優として渡り歩いて来た方は違うな〜」と思わせられるような、稀有なエピソードもあれば、「こんな人気者なのに、ブレずに普通の感覚を育まれた方なんだな」というような、人気者を身近に感じられる場面もあった。
その本を読んでから時を待たず、私は小泉さんの別の著作も読んでみることにした。
家の最寄りの図書館には置いてなかったから、数駅先の図書館で。
借りた本は2冊、『小泉放談』と『小雨日記』。
『小泉放談』は、50歳を迎えた小泉さんが、人生の先輩方の話を聞くという対談集で、文章は小泉さんが書いたものではなかったけれど、これほどアラサー女に突き刺さる、夢をもたらしてくれる本は、ちょっと他にはないんじゃないかと思う。
媚びずに自分の道を開拓し、奮闘し続けた女性の姿は、アラサー女(私)が厚かましくも理想とする女性像そのもので、「こうやって生きていたい、私も」と、強く、心のなかで呟いた。
『小泉放談』を読み終えた後、『小雨日記』の方を手にしてみる。
これは、小泉さんが、かつて飼っていた愛猫の視点で自分を描いたもので、正直私は、それほど興味がなかった。
いや、小泉さんが書いた文章には興味があったけれど、私は極度の(精神的な)動物アレルギーなので、こっちの本はさらっと読んで、また別の小泉さんの著作を読みたいと考えていたのだ。
猫の写真が随所に入った本を、パラパラとめくってみる。
2ページずつで1つのエピソードが書かれている。
何となく開いた途中のページを読んでみる。
タイトルは、「ウオザのオンナ」。
「わたくし、小雨は、2003年3月15日生まれの魚座の女。」
なんと、私と同じ誕生日ではないか。
曰く、小泉さんの周りには、魚座の女が多いらしい。
私、もしかして、この方に会いに行った方がいいのではないか、、、?
唐突にそう感じて、勢いで、5月に行われる「マイ・ラスト・ソング」という公演を予約した。
小泉さんの朗読と、歌手の浜田真理子さんによる歌で彩れられるライブ。
大学生から社会人になりたての頃は、ライブ好きで、月に1回ぐらいはライブに行っていた。
最近は、めっきり回数が減っていたので、久しぶりのライブは楽しみだ。
アイドル時代の小泉さんを知らないので、「キョンキョン」って呼ぶのは恥ずかしいけれど。
飼い猫と同じ誕生日だからって、何もライブに行く事まで決めなくても、とは思うけれど。
でも、この世はなんてったって、ご縁でできているのだから。これもその類ということで、いいじゃないか。
小泉さんの最近の著書として、「ホントのコイズミさん」なるタイトルのエッセイもあるらしい。そっちも読まなきゃ。
遠い憧れの存在に会うために、もう少し東京で頑張らなければ。
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