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【本の紹介】ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常

幸せはわれわれの生活を操るのに便利なものになった。なぜならわれわれが執拗な幸せさがしの僕(しもべ)になったからだ。

エドガー・カバナス・エヴァ・イルーズ著、高里ひろ訳
『ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常』(みすず書房)p198


「ハッピークラシー」という耳慣れない言葉は、「happy(幸せ)」による「cracy(支配)」という意味の造語なのだそう。

幸せであることが大切で、幸せを目指して生きるべき。ほぼ無意識に、何の疑いもなくそう信じて生きているような気がします。幸せに関する科学的研究も行われるようになりました。しかし、「幸せってそもそも誰もが目指すべきものなんですか?」というのが本書で提示されている疑問です。

幸せな人生を送っていないのは自己責任?自己啓発や自己実現を中心とした幸せの追求は、結局のところとても個人主義的で、資本主義や新自由主義とも相性が良いのでは?幸せを追求すればするほど、幸せになれないことによる不幸や、「幸せビジネス」への依存を生んでいるのでは?……ここまで考えたことはなかった、というのが私自身の正直な感想でした。それこそ、タイトルの通り、幸せに支配されている証拠なのかもしれません。

誰もが同じように幸せを定義し、同じ幸せを目指しているとしたら、たしかにちょっと不自然な気がします。SNSなどを通して、他人が幸せそうな様子が常に見えるようになっていることで引っ張られてしまう、ということもきっとあるのでしょう。そんな中で、「そもそも幸せって何だったっけ?」と立ち止まって考える機会をくれる本だと思います。



*こちらの本はオンライン購入可能です→からだとこころと暮らす棚

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エドガー・カバナス、エヴァ・イルーズ著、高里ひろ訳『ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常』(みすず書房)


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