小津安二郎とローライフレックスの素敵なカンケイ
お世話になっております。
写真事務所プリズムライン専従者のmoeです。こんばんは。
今回は普段わたしが使っているカメラは、どういう理由があって選んだのか?ということについて書いていきたいと思います。
前回の初投稿記事である「はじめまして。」でもちょこっと私の愛機として紹介させてもらった、ローライフレックスについて少しばかりお話をさせていただきますね。
そもそもローライフレックスとはなんぞや?ですが、
ローライフレックス・通称ローライは、中判サイズのフィルムカメラです。
まずローライは2眼レフのカメラです。多分お洒落な外観なので、そんなにカメラに興味がなくても見た事ある!ってヒト多いかもしれません。
同じローライでも実は色々と種類があって、私が使っているのは、露出計の付いていないタイプの機種で、テッサーf3.5というものです。
そうです。レンズの開放値はf3.5です。
f2.8まで開放できる機種もあります。露出計のついてる機種もあります。
でもね、すごい高いんです。桁が違うんです。
私は初めて買う中判フィルムカメラだったので、まずはこのテッサーf3.5から始めて、地道に露出計で露出を測っては撮り・露出を測っては撮りを繰り返しています。(でもその作業も実は好き)
とまぁ、愛機であるローライの紹介はざっくりとにします。
今日はローライのことを書きたいのではないのです・・・!
どちらかというと、書きたいは、なぜこのデジタル化社会に私はわざわざ高いフィルムを無理してでも買って、ローライで写真を撮っているのかということ。
そこで、関係しているのが大好きな映画監督「小津安二郎」について。
なんで?突然のオヅ??
小津安二郎といえば日本を代表する映画監督のひとりですが、
1940年代や50年代に作られた代表作も多いので、古すぎてとっつきにくいって人も多いかもしれません。
もともと、昔のカルチャーや音楽が大好きな私です。
20代になってから小津安二郎の映画に出会うと、すんなりと私の心に染み渡って、なんて馴染むことよ。。。
なぜ私には染みたのでしょうか。
登場人物の演技が決して上手なわけではないし、シナリオは似たような物も多いです。父と娘の物語が結構多いです。
いつまでも結婚に乗り気でない娘を心配した父が(娘役は原節子で、父親役は笠智衆のパターンが好き)、縁談を進めると、「お父さんがひとりになるのが心配で結婚はまだできない」という娘。なんやかんやあって、娘はお嫁にゆき、結婚式を終えた父は、モーニング姿のまま友人と酒を飲み、酔ったまま帰ると部屋には昨日まで一緒に暮らした娘の姿はもうなく、その部屋を見つめる何とも言えない父親の表情や後ろ姿に私までジーンとくる。。。
という、何か決定的な事件が起きるわけでもないけど、
心のどこかにじんわりと語りかけて来るような物語。
私はそういう素朴な世界観とか人間臭さが好きで小津映画を見続けています。
でも、それだけではなくて、
私が好きなのは、小津映画の圧倒的ローアングルの徹底された構図にあるのです。
それがなぜか私には安心感があって見ていると、好きだな〜って写真的に見ている自分に気づかされました。
小津安二郎の映画は、一つひとつの場面を静止画で切り取っても、
とっても写真的でそれが大好きなんです。
でも小津映画はなぜローアングルが特徴と言われるようになったのでしょう。
以下はMUJI BOOKS・小津安二郎の巻よりの引用になります。
"これは、まだ喜劇ばかり撮っていたころ『肉体美』のセットで始めた。バーの中だが今より少いライトで仕事していたので、カット毎にあっちこっちからライトを運ぶので、二、三カットやるうちに床の上は電気のコードだらけになってしまう。一々片付けて次のカットに移るのでは時間もかかるし、やっ介なので、床の写らないように、カメラを上向けにした。出来上がった構図も悪くないし、時間も省けるので、これから癖になり、キャメラの位置も段々低くなった。しまいには「お釜の蓋」という名をつけた特殊な三脚を度々使うようになった。" (MUJI BOOKS 小津安二郎 「小津安二郎芸談」より抜粋)
ローアングルになったのにはこういう理由があったそう。
現場の作業効率を考えた結果、自然とカメラを構える位置が低くなり、それが小津映画の特徴と言われるローアングルの構図を生み出したのですね。
勉強になります。
カメラマン達は、床に寝そべって撮るようなことも多かったようで、「小津映画に参加すると首が痛くなる」なんて言われていたそうですよ。
ここまで、ずらっと小津映画について語ってしまいました。
では、最初に登場した、中判フィルムカメラのローライフレックスとはどんな関係があるのでしょう。。。。
ここからはあくまでも私個人の好みや見解ですが、
ローライフレックスはローアングルで撮ることに適したカメラなのです。
ファインダーを覗いて撮る際に、普通にカメラを目の高さに持ってきて構えるのではなく、ローライはお辞儀をするような形で、上からファインダーを覗くのが特徴的です。
となると、
自然に構えるとお腹の位置くらいになります。
だから、目の高さで構えるカメラに比べるとだいぶローアングルになるんです。
これが、私の安心感。
小津映画を見ている時に感じる写真的な好みと、ローライを使って自分でポートレートを撮った時に感じる安心感は、ここで繋がっていたのです。
別にデジタルカメラや他のカメラでもローアングルの写真は撮ることができるし、いくらでも小津感を出すことはできるのですが、
何だかしっくりくるのが、ローライでした。
現像してあがった自分の写真を見た時に感じる温かみや、決して簡単とは言えないカメラの操作性、眺めているだけでうっとりするような見た目。。。
中判サイズのフィルムはどんどん値上がりしていて、正直言ってすごく高いです。でも、私にとっては、自分の作品を作るモチベーションをあげる意味でも、新しい洋服を買うのを我慢してでもフィルムを買って写真を撮りたくなるカメラです。
などなど、このカメラを選んで使う理由は他にもあります。
どんなカメラを使おうかな〜って考えた時に、
選ぶ理由は様々だし自由だと思います。
画質や機能性・値段・デジタルなのかフィルムなのか、見た目が好きとか、自分の持っているレンズに合わせられるかとか。
私がローライを選んだ理由は、自分的安心感のある写真を撮ることができるから。
こういう視点でカメラと出会って、使ってみて、それを使い続けるのも面白いかなと思います。
好きな写真の雰囲気とか安心する構図ってそれぞれにあると思います。
小津安二郎×ローライフレックスは、今のところ私的写真を作り出してくれる最強のタッグです。
こんなコアなせま〜いゾーンの話を、たらたら書いてしまいました。笑
今回はひとまずこの辺で・・・
以上、偏愛的モノづくりへの考察でした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
それでは引き続きよろしくお願いいたします。
写真事務所プリズムライン
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