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Nuclear racismとは何か
年末年始いかがお過ごしでしょうか。
今回は、Nuclear racismという考え方についてご紹介したいと思います。
Nuclear racismとは、核兵器の生産や実験、使用の過程などで、人種差別が伴っていることを示した言葉です。核兵器が投下された日本ももちろんのこと、ウランの採掘などにおいても、多くの有色人種や先住民が犠牲になっています。具体的にどのようなことが起きているのでしょうか。
ウランの生産
ウランの主要な生産国は、カナダ、オーストラリア、カザフスタン、ニジェール、ロシア、ナミビア、アメリカ、南アフリカ、中国、ブラジル、インドなどです。世界のウラン採掘の約75%が先住民族の大地で行われており、その地域の人々は放射能・放射線の被害の犠牲となっています。さらに、核廃棄物の処理場も先住民の大地にてつくられることもあり、先住民の生活が核兵器の生産によって壊されている現実があります。
核兵器製造と核実験場
核実験場を見ると、先住民族の人々の居住地の周辺に集中していることがわかります。核実験は、人がおらず遠くに位置する場所だと中央政府によって見なされた地域にて行われましたが、実際は先住民族が生活していた地域でした。ニューメキシコ、ネバダ、モンテベロ、マーシャル諸島、ナキリバス、カザフスタン、アルジェリア、ポリネシア、マラリンガ、エミューフィールド(オーストラリア)新彊ウイグルなど、多くの核実験場が先住民の居住地に建設されてきました。その結果、別の地域への移住を余儀なくされたり、がんや精神障害に罹患したり、周辺の環境が破壊されたりなど、人々の日常に深刻な負の影響をもたらしています。
核兵器の標的
広島や長崎が核兵器の標的となったのは偶然でしょうか。実際、核兵器の投下は、人種差別的な意味合いがあると批判されてきています。
戦時中、日本人は「人間以下の存在、場合によっては絶滅に値する存在」として描かれ、アメリカの間で日本の原爆投下は広く支持されていました。また、アメリカ歴代大統領は、敵対する国の中でも、核兵器を使用する標的として、台湾、北朝鮮、北ベトナム、中国などの有色人種の国を中心に攻撃を考えてきたといわれています。
このような人種差別に対して、マルコムX、デュボイス、マーティン・ルーサー・キングなどの黒人指導者たちは、人種差別の抗争の一環として核兵器廃絶を訴え、日本の被爆者たちと連帯して行動していました。
このように、先住民や有色人種が往々にして核兵器の被害者となってきました。もちろん、アメリカの軍人を含めた白人の方々でも、実験などを通じて核兵器の被害を受けており、しばしば被曝者であることを公にできずに暮らしていることも、同時に見逃してはなりません。しかし、先住民族や有色人種への人種差別と、核兵器は密接に関わっていたことは事実です。これを踏まえると、核兵器を廃絶する運動は、現在も続く人種差別に抗う意思を示すことにもなります。
これらの人々の存在を忘れずに、核兵器のあり方について考えてみませんか。
参考
豊崎博光「論考 棄てられる日本と世界のヒバクシャ」
ICAN. "Racism, Colonialism, and Nuclear Weapons" https://www.icanw.org/racism_and_nuclear_weapons
編集後記
さて、2024年もいよいよ終わり、新年を迎えました。核のち晴れの活動を応援、協力してくださった皆様、本当にありがとうございました。
メンバーが大学生/社会人であり、それぞれの時間を合わせて活動していたこともあり、多くの活動を実施することはかないませんでしたが、未来アクションフェスの参加や、議員面会など、対外的な活動を継続して実施することができました。
2025年も、他政党への議員面会を依頼していき、イベントの開催も企画していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!