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光の戦士たち(24)お疲れナマです!?ビールが美味しい【小説】

いつもの居酒屋よさくで、祭あつし、武田徳太郎、そして風谷蒼の3人は久しぶりの再会を楽しんでいた。焼き鳥の香ばしい匂いと、生ビールの泡立つ音が心地よい空間を彩る。

カウンターの奥では、ダンディーな大将が手際よく酒の肴を作っている。もみあげ部分が、アルゼンチンのミレイ大統領を彷彿とさせる風貌で、どこか愛嬌を感じさせる。

武田:「ねえ、祭さん、最近お腹が少し出てきたんじゃない?」
祭:「はは、バレたか!運動する機会もないし、ビールが美味しくてさ。つい飲み過ぎちゃうんだよな。」
蒼:「ダメよ、祭くん。10代のときのようにはいかないのよ。食べたり飲んだりしたエネルギーはちゃんと蓄積されるんだから。」

蒼が指摘すると、祭は苦笑いを浮かべながらグラスを置いた。

蒼:「ところで、1キロの脂肪を燃焼させるのに必要なエネルギーって、どれくらいか知ってる?」
祭と武田は顔を見合わせる。
祭:「うーん、考えたこともないな。」
武田:「僕も分からない。どれくらいなの?」

蒼は冷静な顔で答えた。
蒼:「およそ7200キロカロリー。1リットルの水を72回沸騰させることができるくらい。」

2人は驚いた表情を見せる。
祭:「すごいな!脂肪って、キャンプの火にもってこいじゃないか!」
武田:「確かに、それだけ燃えれば焚き火の代わりになるかもな。」

蒼はクスッと笑いながら続けた。
蒼:「だからダイエットって大変なのよ。ただ食べる量を減らすだけでは不十分。筋肉をつけて基礎代謝を上げることが重要なの。」

武田:「基礎代謝って、じっとしてても消費するエネルギーのことだよね?」

蒼:「そうよ。筋肉はエネルギーを多く消費するから、筋肉量を増やせば効率的に脂肪を燃焼できる。でも、そのためには自分自身を追い込むことが必要。筋肉は負荷をかけないと成長しないから。」

祭:「確かにそうだな。でもどうしてこんなにダイエットって難しいんだろう?」

蒼は少し真剣な表情になり、語り始めた。
蒼:「それはね、ホモ・サピエンスとしての私たちの進化が関係しているのよ。人類は、食料が少ない時代を生き延びるために、エネルギーを蓄える仕組みを進化させてきた。だから、わずかな食料でも効率よくエネルギーを吸収して生き延びることができたの。」

武田:「なるほど。でも今は食料が豊富だから、その進化が裏目に出ているわけか。」

蒼:「そう。現代では餓死する人よりも、肥満が原因で亡くなる人のほうが圧倒的に多いのよ。それなのに私たちの脳や体は、12000年前とほとんど変わっていない。」

祭はビールのグラスを見つめながら呟いた。
祭:「つまり、食べ過ぎちゃうのはしょうがないってことか。」
蒼:「その通り。でも、だからといって諦めるのは簡単。難しいのは自分自身に勝つことよ。」

蒼はさらに力強く語りかけた。
蒼:「トレーニングをサボることは増税するのと同じなのよ。政治家は楽をしたいから減税でなく増税したいっていつも言ってるでしょ?それと一緒。」

武田:「確かに、増税議員を批判するなら自分もちゃんとトレーニングしないと説得力がないよね。」

祭は笑いながら頷いた。
祭:「よし!これからは自分に勝つために頑張るよ!
トレーニングして引き締めるのは減税、ソファでジュースとスナック菓子は増税だ!」

蒼:「その意気よ。筋肉をつければ、健康的な生活にもつながるし、自信もつくわ。」
武田:「じゃあ、まずは何から始めればいい?」
蒼:「まずは動ける身体作りのストレッチ。そして簡単な腕立て伏せやスクワットからね。慣れてくればジムに通うのがおすすめよ。」

3人はお互いに拳を突き合わせ、力強く誓い合った。

武田:「最後は自分との戦いだね!」
蒼:「その通り!頑張りましょう。」
祭:「よし、まずはビールを控えるところからだな!」

笑い声が響く居酒屋よさくで、3人の新たな決意が生まれた。

続く…

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