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組織の目的

適材適所における「所」(組織)の役割について

その組織が 
・何を目的としているのか?
目的を達成するために何をしなければならない(目標)のか?
・どのような所か?つまり、
どんな強みがあり、どのような考え方を基本として(理念)持っているのか?

を明確にし、それを発信することと述べた。

ここからは1つ目の

・何を目的としているのか?目的を達成するために何をしなければならない(目標)のか?

について書いていきたい。

目的と目標の定義

本題に入る前に、ここで使う「目的」と「目標」、
この2つの語の定義をしておきたい。
辞書的意味はそれぞれ

目的
→実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて。
目標
→行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。

となっている。
似たような語だが、

「目的」は、「目標」に比べ抽象的で長期にわたる目あてであり、内容に重点を置いて使う。「目標」は、目ざす地点・数値・数量などに重点があり、「目標は前方三〇〇〇メートルの丘の上」「今週の売り上げ目標」のようにより具体的である。

goo辞書

という違いがある。

ここで使う組織の「目的」と「目標」もほぼ同じ意味合いとし、以下のように定義する。

組織の「目的」、というのはその組織が活動していくにあたって実現しようとしている内容を抽象的にあらわしたもの。しかし、いわゆるスローガンやキャッチコピーほど抽象的ではないもの。

組織の「目標」、というのは組織の目的を達成するためにおこなわなければならない具体的なこと。ただし、段階的な数値目標を除く。

組織の目的を明確にすることの意義

従業員を自分のパートナーにしていくためには、「事業の目的、意義を明確にする」ことが、必要になる。

「誰にも負けない努力」稲盛和夫

「皆さんにやってもらっている研究は、こういう目的で、こういう意義があるんです。東大の教授でも京大の教授でも、同じ無機化学の先生で、この分野には誰も手を出していません。今、そういうところを研究しているんです。素晴らしい研究なんですよ。粉をこねたり、形をつくったり、毎日毎日単調な仕事だと、皆さんは思っているかもしれない。単純にみえるけれども、この酸化物の焼結という研究は、世界中でも一、二の大企業がやっているだけの最先端の研究なんです。もしこの研究が完成すれば、こういうものに使われる可能性があります。社会的にたいへんな意義があるんですよ。この研究が成功するかしないかは、皆さんの協力によって決まってきます。頼むよ。」
ただ単に「乳鉢でこの粉をすりなさい」というふうにしてしまえば、全然面白くありません。ですから、それがどういう意義があることなのかということまで話をするわけです。

「誰にも負けない努力」稲盛和夫

学校を卒業して、やっと会社に入ったけれども、ただサラリーマンになっただけという人たちも、自分のやっていることに対して意義を見出せれば、気持ちが高ぶります。

「誰にも負けない努力」稲盛和夫

人は一人の力ではどんなに優秀な人でも大したことはできない。
一人の力では到底できないことを成し遂げるために、人を集める。
ただ集めただけではうまく動けないから、一定の仕組みにより秩序をもった「組織」をつくり、その組織によって実現したい事柄にあたる。

組織となっているからには、どんな内容であろうと必ず目的が存在しているのである。

一人からはじめたことで、最初の方に加わった人であれば、その目的をよく理解しているかもしれない。

ただ、組織としてある程度の期間存在していると、その組織の目的をちゃんと理解して入る人は少なくなってくるのではないだろうか?ましてや、大きな組織、安定した組織となってくると、なおさらそうではないだろうか。

ある組織に入って、とりあえず与えられた仕事を頑張ってこなす。
働いている側としては、捧げた労力と時間に見合った給与が渡されればそれでいいとも言える。

しかし、自分がしている仕事が何のためにある仕事なのか?この組織の目的においてどんな位置づけの仕事なのか?そもそも、この組織の目的はこの社会においてどんなふうに役立っているのか?意義のあることをしているのか?

そういったことが全く念頭になく、ただ目の前の仕事をこなしていると、待遇が悪くなれば嫌になるし、ゆとりをもって仕事をしていたとしても、ある時点で迷いが生じたりする。
自分はこのままでいいのだろうか?自分がやっている仕事に意義はあるのだろうか?自分がやらなくてもいいのではないか、自分がいるべき場所はここではないのではないか、と。

自分がしている仕事にどんな意義があるのかが分かり、さらにその意義に自身が納得できれば、より一層目の前の仕事に励めるだろう。

逆に、その意義に納得できなければ、他の組織を求めるという選択肢も出てくる。
組織の目的に納得できていない人に働かれても成果が出しづらいだろうから、組織にとってもその方がいいのではないだろうか。

組織にこれから入ってくるであろう人にとっても、組織の目的が明確であるほうがよい。
最初からその目的を認識して入ってくれば、「こんなことがしたかったのではない」といったミスマッチも起こりづらく、与えられる仕事に取り組む意欲も高くなるからだ。
そのことにより仕事の成果も出やすくなるだろう。

組織の目的やその仕事の意義が明確に示されることは、現在その組織で働く者、また、これから働こうとする者にとっても必要なことだと思う。


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