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生き物と酒の歌など8首

<生き物の歌>
数か月前まで住んでいた部屋ではある虫の大発生に悩まされており、一年前もそのネタを出しました(苦手な方は飛ばしてください)。ちなみに土屋文明氏の晩年のゴ〇〇〇短歌もわりと好きです。

・害虫を避けて移りし新居にもメノウの色の卵鞘見たり
・虫の糞残る辞典を厭う子と勉強好きのゴキねと話す
・針閉じて逆向きに添う山嵐 ジレンマのなき仲睦まじさ

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<野芥子の歌>

今年の春、あちこちで咲いていました。タンポポに似てタンポポでない、ケシと呼ばれてケシではない、ちょっと残念な花です。

・野芥子の根抜く郷の庭 蒲公英であればそのまま咲けただろうに
・野芥子とは蒲公英に似て名も知れず名も無き土地に綿毛蒔きおり

<酒の歌>

今は節酒中ですが父譲りの酒好き。ただ、歳を取るごとに、家族を含めて酒を酌み交わす機会はほとんどなくなってしまいました。

・空缶をむなしくすすぐ 乾杯のなき家飲みはまるで服薬
・独り住む母の静かな楽しみはストローで吸うフルボディの赤
・紹興酒・電気ブランの寝覚めよさ日頃の銀の缶と異なり

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(@TOYOTA MEGA WEB,  HISTORY GARAGE)

<塔 第66巻第8号(2019,8)/第9号(2019,9) 作品2より 若月香子〉ありがとうございました。

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