るろうに剣心最終章〜The Beginning
ついにこの日がやってきてしまった。
本日、グランドシネマサンシャイン池袋にて、
The Beginningを拝見してまいりました
今回は書きたいことで溢れているので、
時間のある方は読んでいただければ幸いです
冒頭、剣心が刀を咥えながら一種の機械のように戦うところから始まる
剣心を演じる佐藤健がもはや同じ人間には私には見えなかった
現代では刀で人を斬ることはない、
ましてや刀を咥えて戦うことなどあるはずがない
壁走りや屋根走り、ドリフト走りなど高い身体能力を遺憾無く発揮してきた佐藤
それでも私は今まで一番の佐藤の身体能力の高さを見た気がする
動きが取りずらい小さな部屋の中で動きを大きく見せることの大変さ
そこに如実に現れるのは演者の技量
佐藤のアクションが日本を飛び出し、海外で評価される日が近いのかもしれない
そんなこんなで話が始まっていくわけだが、
次に取り上げたいのが窪田正孝の演技について
窪田が演じたのは清里明良
清里は佐幕派である志士の集団である京都見回り組に所属する志士である
彼は御家人の次男で彼はこの物語の軸となる雪代巴の婚約者であり、
近く祝言をあげる予定だった
そんな時に緋村抜刀斎と対峙する
力の差は歴然で、一瞬にしてやられてしまう
しかし、清里は「俺には大事な人がいる。だから死ねぬ。」と
何度も何度も立ち上がる
そして、その時に剣心の頬に一本の刀傷つける
そうして、彼は死んでいった
この場面、尺としては数分
しかし話の中でとても重要な場面となる
短い芝居の中で観るものにインパクトを残すことが求められる
一瞬だけの出演には役者の演技力がもろ反映される
そんな中でも、しっかりと話をつなぎ、
なおかつ爪痕を残す窪田正孝という俳優
彼の演技はるろうに剣心に必要不可欠だったように思う
次に高橋一生演じる桂小五郎について
高橋一生については以前話した気がするが
今回もいい味を出していたように思う
彼は話に溶け込むのが非常にうまくて
なおかつ爪痕を残せる稀有な役者である
「桂小五郎はこの人のためにあった役だ」と
思わせる演技力
他の人が演じてたら、もっとよかったという類の話を
よく耳にするが高橋一生が演じた役に対するそういった声は
あまり聞いたことがない
それだけ彼が役との一体化の能力が優れていることを示している
次に有村架純演じる巴の心情の移り変わり
夫・清里を殺され剣心に対して憎しみを覚える
しかし、剣心と生活をともにするにつれてそれが愛に変わっていく
愛と憎悪は回転扉のようである、一瞬で回転する
まさに巴はその回転扉を行き来する
鏡映る一筋の涙
彼女は孤独の中で葛藤していく
最後、剣心をかばい死んでいく
その場面で彼女は清里がつけた刀傷に交差するように短剣で傷をつける
そして「ごめんなさい、あなた」と言って剣心の腕の中で死んでいく
この言葉は果たして誰に向けられた言葉だったのだろうか
刀傷をつけた巴はほっと一瞬微笑む
それはおそらく自責の念からの解放を意味しているように感じた
婚約者を殺した憎き相手を愛した自分を開放するかの如く…
だからこそ「ごめんなさい、あなた」は剣心に向けられた言葉のように思う
その言葉に含まれる意味を推測するに
「あなたに近づいたのは敵討ちの為だった、ごめんなさい。
でも共に生きる中であなたを愛してしまった、
しかし清里への思いとあなたへの思いを抱えて生きるのはとても苦しい。
だから、清里様の元へ参ります。ごめんなさい。」だと思う
この言葉には巴の苦悩がとても表現されているし、
それを表現できる有村架純の表情とセリフの伝え方
巴をうまく演じていたと思う
次に衣装の観点から
冒頭、黒の衣装に身を包む剣心
終盤、巴のところへ向かう剣心の衣装は白
2人の生活の中で剣心は徐々に浄化されていく
そんな白一色の衣装は血で赤く染まっていく
黒→白→赤と変化していく剣心の衣装は
まるで剣心そのもので衣装の重要度を見た気がした
最後にカメラワーク
今回のBeginningはカメラを固定して映像をとっている部分が多々あった
剣心と巴の最後の場面でもそうだった
映画のカメラワークを学んだことは全くないのため、
ど素人の意見だが
映像を切らず、同じアングルから取ることによって
一連の動きがよく見えるという利点はあると思った。
しかし、これは一種の賭けで
カメラの位置が全ての鍵を握る
総じて考えると、とても今回の作品では良かったと思う
まだまだこれでもいい足りないところではあるが、
(村上虹郎くんのこととか、手へのカメラワークとか、斎藤一とか、、、)
私の中で全てのことを書いてしまうとそれこそ完結になってしまうので、
まだ完結させたくないという私のわがままです
主演を10年務めた佐藤さんが言っていましたが
「完結ではなく完成」
この物語を描かずに全てをやり遂げたとは言えない
1つの大作が今回完成したわけだ。
そんな大作を生み出した
監督・キャストを始め制作陣一同(本当は制作陣一同というまとめた表現を用いることは避けたいのだが、書いたらまとまらないのでご容赦ください)に対して、
ありったけの感謝と大きな労いの拍手をお送りいたします
あと最後にこのスチール写真が好きすぎて、
撮った方にとても話が聞きたくなった
では、また