特別支援教育は「特別支援」を必要とする生徒だけのものではない
現任校でも研究主任をしています。
前任校では研究したくなる学校を目指して、校内で授業を見合う週間を設定して、意見交換をチャットで行ったり、職員会議終了後、30~40分程度のミニ研修会を毎回行うなどの企画を実践してきました。
現任校では1年目ということもあり、最初からガンガンやると反発もあると考え、ゆっくり取組をしています。研究部からテスト廃止やテスト前の質問教室の改革など業務改善を行い、先生方から「お、今年の研究主任ちょっとはやってくれるなあ。研究主任の計画にも少し協力的になろうかな」という雰囲気を醸し出して、職員会議では10分ぐらいのミニ研修を行うなど、着実に少しずつ研修に対する雰囲気を高めています。
その中の一環として比較的長めの研修会が年に2回設定されており、そのうちの1回は夏季休業中にICT講習会を行いました。そして10月にもう一度研修会を行うのですが、前から特別支援の研修を行いたいと考えていました。
その研修では、特別支援を必要とする生徒を数名ピックアップし、その生徒が活躍した場面を先生方と共有し、なぜその生徒が活躍できたのか、もう一度活躍するために、我々教師はどんな支援を意図的にしていくべきなのかということに関して意見交換をしました。
その後、研究主任である私から、以下のような説明を加えました。
特別支援教育については、今後の教育に関して核となる考え方がたくさんあると考えています。
①「発達障害」は「障害」と表記されることが多いのですが、それは教室という環境の中では「障害」になるかもしれないけど、他の場所では強みになることもありうるという考え方
②発達の凸凹は誰にでもあることであり、「発達障害」より「発達特性」ととらえることで、特別支援での工夫や支援が、「発達障害」を持つ子供たちだけでなく、すべての子供たちがよりよい学校生活を送ることができるようにするために役立つという考え方
一見するとあまりにもポジティブすぎる、楽観しすぎる考え方という捉えをする先生もいらっしゃると思いますが、「一斉授業」で何を教えるかというステージから「生徒一人一人がどう学ぶか」を大事にしていくというステージ移行していくであろう今後の教育では、生徒の特性をとらえ、一人一人に学びが成立するように支援していくという考え方がとても大事であると考えます。
これは、ユニバーサルデザイン商品が、特定の障害を抱えた人だけでなく、その他の人たちにとっても使いやすい商品になった現象とよく似ていると思います。
先生方の気持ちが「生徒をそろえること」から「生徒一人一人が自分の強みを生かしてのびのびと学習する」ことへ少しずつでも変化できればと思い、研修を終えました。