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【舞踊・邦楽】明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会

 2023年4月22日(土)、国立劇場小劇場に、舞踊・邦楽を観に行きました。「明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会」です。以下、メモを残します。古典芸能の関心を持って9か月ほどですが、新しく気づくことが多い日々です。

■(邦楽・胡弓)鶴の巣籠

鶴が巣を作り、卵を産み、ヒナが誕生して巣立つまでを描いたものです。<中略>鶴の鳴き声や羽ばたきの音などが、胡弓のさまざまな奏法を使って表現されます。途中で「ツルテンツルテン」のように繰り返し聴こえて来る音も、鶴を表しています。胡弓は、<中略>弓を使うことで音を長く延ばすことができ、そこから生まれる哀調を帯びた音色が多くの人を魅了してきました。

配布されたパンフレットより

 胡弓の演奏は木場大輔さんでした。始めは鶴の巣籠のどんな場面なのだろう、と想像しながら聞いたのですが、後半は胡弓の音に耳を傾けるようにしました。また、パンフレットの木場さんのコメントにありましたが、『鶴の巣籠』は、文楽や歌舞伎の「阿古屋」「琴責め」の胡弓の演奏で弾かれます。物語から入りがちな私は、こちらの角度から視ることで、演奏が身近に感じられました。

■(邦楽・清元)助六

 『助六』は、歌舞伎十八番の一つ『助六由縁江戸桜』の主人公の名前です。詞章にも、助六のトレードマークと言える紫の鉢巻や傘などが登場し、最後は花魁の揚巻の名前も出て来ます。
 こうした邦楽を聞きながら思うのですが、どういう場面を唄っているのか、清元節の良さや特徴はどんな所にあるのか(常磐津節などとの違い)など、まだまだ理解不足で、もう少し基礎知識を身に着けないといけないなぁと思います。

清元節の音楽はとても高い声と巧みな節回しが特徴で、かん高い声を使った、太夫の聞かせどころもあります。三味線の音色は華やかであり、また、しっとりとした落ち着きも感じさせてくれます。一オクターブ高い音で演奏する上調子という役割の三味線も使われます。

配布されたパンフレットより

■(舞踊・義太夫)猩々

能『猩々』に取材した作品です。猩々とは中国古来の想像上の霊獣のこと。お酒が好きで無邪気に酔い戯れる妖精のような存在で、日頃は水中に住んでいると伝わります。

配布されたパンフレットより

 能舞台の他に、美術館の絵画でも『猩々』は観ることがあります。私の中では、赤くて毛がフサフサしているイメージです。演者の藤間翔央さんは、ふっくらとした出で立ち(嵩張る拵え)で舞踊をされました。
 舞台には、緑色の酒甕が置かれ、(たしか)月が出ていました。赤い猩々と緑の酒甕の色の対比がきれいでした。
 何度か(何度も?)美味しそうにお酒を飲み、舞台を舞います。霊獣であり、お酒に酔っているようでもあり、細かな足捌きをされるところもありました。
 パンフレットに「キレの良い踊り」とありましたが、猩々の舞踊を観て、もう少し日本舞踊の用語や型について、知りたいなと思いました。

■(邦楽・地歌・箏曲)松風

須磨に流され、この地で(松風と村雨の)姉妹に出会った(在原)行平が都に帰るときに残した烏帽子と狩衣を身に着け、行平を想いながら狂おしく舞う松風の姿が描かれています。平安時代の歌人在原行平に愛された松風と村雨の姉妹を描いた能『松風』のクライマックス、「クセ」の部分から最後までの詞章がほとんど使われています。

配付されたパンフレットを少し加工しました

 なんと今回、知識面で一番の驚きがありました。私は在原行平と在原業平を混同していたのです。行平が兄で、業平が弟でした。流される方向が異なるな〜、などと呑気に考えていたのですが、別人でした。新しく学ぶことは色々と多いですね。

立ち別れ いなばの山の峰に生うる 待つとし聞かば 今帰り来ん

百人一首、中納言行平の和歌より

■(舞踊・長唄)静と知盛

新歌舞伎十八番のひとつである長唄『船弁慶』を集約した作品です。<中略>能『船弁慶』をほとんどそのまま歌舞伎舞踊化しています。

配布されたパンフレットより

 これまで『船弁慶』を目にする機会が何度かあったのですが、話の流れを含め、落ち着いて観ることが出来たのは今回が初めてでした。
 一人の演者が、静御前と平知盛という異なるキャラクターを踊り分ける(演じ分ける)という点に醍醐味や面白さがあるのでしょう。逆に言えば、演目の構成に演者を試すような面白さがあると言えます。
 特に、今回は素踊りでしたので、シンプルにストーリーや踊りを観ることが出来たように思います。知盛のような激しい役を踊る(演じる)場合、どれぐらい感情を入れるのか、少し考えさせられました。色々な人のインタビューなども読んでみたいと思います。

以上です。

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