十月大歌舞伎第一部(『鬼揃紅葉狩』『荒川十太夫』)
2022年10月15日、歌舞伎座に十月大歌舞伎を観に行きました。第一部から第三部まで、休み休みですが(うとうとする場面もありましたが)、通しで観ました。今年の6月に歌舞伎座に来て以来、2回目(もしくは3回目)の歌舞伎座です。なぜ来たかというと、能や文楽で観て比較してみたい演目があったためです。
以下、第一部の筋書などをもとに振り返るメモと私個人のコメントです(主に、『鬼揃紅葉狩』になります)。第二部、第三部は別途書きます。
■鬼揃紅葉狩
①能「紅葉狩」を題材に、河竹黙阿弥の作詞で歌舞伎舞踊にしたのが、②新歌舞伎十八番の『紅葉狩』。その後、能の小書(特殊演出)の「鬼揃」を取り入れたのが、③本作の『鬼揃紅葉狩』だそうです。
①は、まだ観たことありません。
②は、今年七月の歌舞伎鑑賞教室で観ました。
その他に、今年の夏、文楽でも『紅葉狩』を観ました。
今回は、更科姫が市川猿之助さん、平維茂が松本幸四郎さんでした。
何回観るんだという感じですが、個人的に好きな演目であり、今回も楽しんで観ました。「今回見逃すと次いつか」などと思う部分もあるのですが、ここまで頻繁に観る演目もある訳で、細く長く続けて行きたいと思います。
また、今回はイヤホンガイドの解説で学ぶことがたくさんありました。
演奏は、舞台に向かって左手が常磐津、右手が竹本でした。常磐津が使用する見台は主に「蛸足」と言われる朱塗りの物で、こうした点からも区別して行きたいです。
そして、更科姫の舞あたりから、舞台正面奥に長唄が配置されました。大薩摩とイヤホンガイドで言っていたように思いますが、これは立ち廻りからなのか、記憶が定かでありません。すみません。
私の熱が入るのも、更科姫の舞あたりからです。
②を観たときも、イヤホンガイドで雪月花の舞と記載しました。その時とは文脈が異なるかもしれませんが、唄いの中に「田毎の月」というのが出てきました。インターネットによると、「田毎の月」とは、長野県千曲市にある姨捨山のふもとの水田に移る月のようです。確かに、姨捨山についても唄われていました。実際の地名が入ると臨場感が沸きます。
②や文楽では、二枚扇でしたが、今回は一枚扇でした。局に扇を投げ渡していました。
間狂言は、②では、男性(?)の山神でしたが、今回は、女性の神女八百媛でした。
局が1人に侍女が5人(以下、侍女達)いて、紅葉する木々の名前がついていました。(かえで、ぬるで、かつら、もみじ、いちょう、にしきぎ)。
侍女達の髪型は下げ髪でした。扇を使って、酒を酌み交わしたり、逆に持って山を表現したりしていました。
後半は、更科姫を筆頭に、7人が鬼になり、立ち廻りとなります。
更科姫には、能で出てくるような古塚が用意されていました。
※説明が多くなってしまい、すみません。やはり個人的に好きな作品なのだと思います。
■荒川十太夫
講談師の人間国宝、神田松鯉さんが得意とする講談を、尾上松緑さんが言い出して、今回新作歌舞伎としたものです。
私は、合間の時間に、筋書であらすじを最後まで読んでしまいました。あらすじを読んだだけで、ホロンとくるストーリーでした。
これが失敗だったように思います。
事前に読まなければ、なぜ荒川十太夫があのような行動をとったのか、ミステリーとして追えたように思います。ここでもあらすじは伏せます。
荒川十太夫役は尾上松緑さん、堀部安兵衛は市川猿之助さんでした。
余談ですが、セットの入れ替わりなどは、やはり新作の感じがしました。