歌舞伎『義経千本桜』「椎の木」「小金吾討死」「鮓屋」(Bプロ)
10月9日、※を追記しました。
2022年10月8日、国立劇場に『義経千本桜』を観に行きました。
通し上演で、尾上菊之助が、知盛・権太・忠信(源九郎狐)の三役を演じます。
本日は、権太一家の悲劇が描かれる「椎の木」「小金吾討死」「鮓屋」のBプロ(三段目)でした。
話が少し反れますが、私が『義経千本桜』の作品を知ったのはもう四半世紀前になります。
大学の日本中世史の講義で、ある先生が話されていました。文学作品が好きだった私は、ワクワクしながら聞いたのですが、怠け者だったこともあり、そのまま放置していました。
25年の時を越えて歌舞伎で観られたことに幸せを感じます。
話を戻しまして、尾上菊之助さんの権太の演技に驚きました。素の菊之助さんを知らないのですが、『カムカムエヴリバディ』に出演されていた時の印象が強く、今回の小気味よい小悪党(※)の演技に、演技の幅を感じました。知盛・忠信はまた違った性格の役所でしょうから、これから観るのがまた楽しみです。
※権太が椎の木に石を投げて、椎の実を落とす場面に小気味良さや子どもに対する優しさを感じました。「椎の木」の場と名前がつけられているのも、何となく納得です。
さて、印象に残った場面を1つあげると、これは菊之助さんではないのですが、中村萬太郎さん演じる小金吾の「小金吾討死」の場面です。大勢の捕手相手に大立廻りが繰り広げられます。私がまだまだ歌舞伎初心者で、大立廻りをあまり見たことがないこともあり、縄を使って繰り広げられる点が印象に残りました。
今回、一言でいうと、維盛一家を助ける権太一家の悲劇でしたが、家族(親子)、主従の義を感じる場面が幾つかありました。細かくは挙げませんが、最後の権太の述懐はしんみり来ました。
最後に、以前観た文楽の『奥州安達ヶ原』でも感じましたが、今回の歌舞伎『義経千本桜』でも、追われた義経や敗れた平家の武将達に光が当てられていて、日本人の「判官びいき」を実感しつつあります。
以上です。