江川紹子は偉いのか
ジャニーズ事務所の2度目の社長会見で、また望月衣塑子らが問題を起こしていた。
それについて、現時点では、国民民主党の玉木代表が、私の言いたいことを代弁してくれていた。
ジャニーズ事務所をメディアは叩いていますが、バッド会社とグッド会社に分けジャニーの名前を使わないことやジュリー前社長も税制優遇使わないこと決めたり、やることはそれなりにやってると思います。それに比べて前代未聞の人権侵害を放置してきたメディア自身の検証や自己批判はないのでしょうか。
いっぽう、江川紹子が、朝日新聞系の日刊スポーツで、望月ら既成マスコミを擁護していた。
水道橋博士、津田大介など左派系の人びとがそれに賛同している。
ジャーナリストの江川紹子氏が2日、X(旧ツイッター)を更新。同日開かれたジャニーズ事務所の会見で、“1社1問”のルールを無視するなどした一部記者に対する批判に、異論を唱えた。(中略)
江川氏は「もし、記者会見で長々と自説を開陳し、マイクを離さない人がいたら確かに迷惑でしょうが」とした上で、「かといって『一問一答がルール』という官邸報道室みたいな言説が当たり前のように飛び交うのもまた違うと思います」と指摘。「更問い(重ね聞き)ができてこそ、やりとりは深まります。短い問いを重ねるのが理想」だと説明した。
この投稿に、タレントで前参院議員の水道橋博士は「正論ですね。『一社一問』も相手側の一方的なルールなので」と賛同。また、ジャーナリストの津田大介氏も云々
(日刊スポーツ 10月3日)
江川紹子は、こういうところで、よく大物ご意見番然として、登場する。
そして、ちょっと既成マスコミを批判しつつ、結局は既成マスコミを擁護する。
たいがいは左翼的に決着するようにコメントする。
こういう役割は、昔は吉永みち子などが担っていた。
マスコミから独立し、公平にマスコミに意見をしているように見せて、実は左翼マスコミのお仲間である。
こういうところで恩を売って、また仕事をもらおうとしているのか。
こいつ、偉いのか?
江川紹子って偉いんですかね。
業界にいたときから、ずっと疑問だった。
オウム報道で有名になったけど、有田芳生といい、オウムで有名になったやつにろくなのはいない。
私の周りで彼らを尊敬している人など皆無だったが、なぜかマスコミから批判されない特別席にいる。
彼らはべつにオウム事件を防いだわけではない。
私に言わせれば、オウム事件を起こしたほうの人だ(詳しくは小説「平成の亡霊」参照のこと)。
江川紹子がサンデー毎日にオウムねたを持ち込まなければ、坂本弁護士一家惨殺も、地下鉄サリン事件もなかった。
問題を追及して、それらの事件を防いだのならともかく、中途半端にオウムを追い込み、社会に大損害を与えただけだった。
オウム事件と江川紹子
江川紹子と坂本堤弁護士には、たぶん日本共産党のバックグラウンドがあった。党員であったかどうかはわからないが。
元党員だった有田芳生もふくめ、彼らは唯物論者だから、宗教がわからない。最初からオウムをバカにしていた。
だから、私に言わせれば、オウム真理教を過剰に叩きすぎ、過剰な反応を引き出してしまった。
坂本弁護士一家が「失踪」したあと、サンデー毎日(毎日新聞)がおじけづいて追及をやめたので、江川は共産党系の新日本出版社(有田芳生がいた会社)などの出版物で追及をつづけた。
当時、坂本弁護士は、左翼の内ゲバで姿を消したとうわさされた。神奈川県警もその線を追い、それで初動捜査を誤ったと言われる。
このデマを流したのはオウム側と思われるが、それに信憑性を与える背景が弁護士と江川にあったのも確かである。
大手新聞社が離れた後の、江川の執拗なオウム追及は、賞賛に値する。オウムが武装したあと、それは命の危険をともなった。その功績にたいして菊池寛賞が贈られたことに異論はない。
だが、オウムをそのような「猛獣」に変えたのも彼らであった。
そして、繰り返しになるが、江川は真実を暴けず、地下鉄サリン事件を防げなかった(地下鉄サリン事件で逮捕された実行犯の自供で、ようやく坂本事件の真相がわかった)。
江川がオウム追及をやめなかったのは、坂本一家に個人的な責任を感じたからだと思う。たしかに坂本事件の責任は、毎日新聞とともに彼女にあったし、彼らは、私に言わせれば地下鉄サリン事件にも責任があった。
江川紹子の現在位置
だが、江川のその責任を、誰も問わない。江川やサンデー毎日のオウム追及は正しくおこなわれたのか。被害を大きくしたのではないか。それが問われない。(私はそれを問うために「平成の亡霊」を書いた)
なぜ、それが問われないのか。
江川の責任を問いはじめると、ほかのマスコミも無傷ではいられないからだ。
それはちょっと、colabo問題で福祉利権の「ラスボス」と言われる村木厚子が、マスコミで「アンタッチャブル」的に批判されないことに似ている。マスコミは、一度は村木を犯罪人あつかいしたことで、うしろめたさがある。村木がマスコミを責めないかわりに、マスコミは村木を批判できない。
江川はともかくもオウム追及をつづけたが、毎日新聞をはじめ、「大マスコミ」はオウムにおどされて腰が引け、文春のような雑誌ジャーナリズムに完敗だった。
それも、今回のジャニーズ事件と似ている。
江川にたいして、マスコミにはそのうしろめたさがある。
江川が悪いとすれば、マスコミはもっと悪い。
その図式が、マスコミにたいして、江川の優位を決定している。
江川は、新聞社やテレビ局などのマスコミを批判できた。しかし、それをしないことで、いわばマスコミの「弱み」を握る。
マスコミは、江川をうるさいと思っても、さからえない。
「ジャーナリスト」の残務
オウム真理教事件のときの図式が、ジャニーズ性加害事件でも共通している。
江川は、マスコミを批判できるのだが、それをしない。むしろ擁護することで恩を売る。
そのようにして、江川は、マスコミのうえに「ご意見番」として君臨している。
繰り返しになるが、江川はオウム事件を防いだわけでも解決したわけでもない。
他のマスコミよりもましだっただけだ。
ジャニーズ問題でも、江川は、玉木の言う「前代未聞の人権侵害を放置してきた」一員である。
しかし、テレビ局や新聞社のような既成マスコミは、江川よりも、もっと悪い。江川は問題を放置してきただけだが、既成マスコミはそれによって利益を得てきた。
一般人から見れば、江川も既成マスコミも、似たようなものだ。それがまともな見方だと思う。
しかし、マスコミ内の論理では、江川はマスコミにたいして「意見が言える立場」になる。マウントをとれる。
私は江川紹子を偉いと思わない。
彼女は、もう地を這うようなジャーナリストの仕事をしなくても、マスコミ御用達コメンテーターで食っていける身分のようだ。
だが、忘れないでほしい。
あなたは、オウム追及に成功したわけではない。追及そのものは功績だとしても、自分がはじめた報道の収拾ができず、事件の防止と真相の解明に失敗したのだ。それによって社会は大損害を受けた。社会にたいして、まだ借りがある。ジャーナリストとして、まだ偉業をなしていない。偉そうにふんぞり返る前に、借りを返してほしい。
<参考>