【Netflix】「ハート・オブ・ストーン」 ネタバレされる前にササッと見るべし 面白いが、肝心な点が・・
<概要>
世界を股にかけた平和維持組織に所属する陰の諜報(ちょうほう)員。最も危険な武器となりうる最重要テクノロジーがハッカーの手に渡るのを阻止するべく、彼女の命がけの戦いが始まる。(Netflix公式サイトより)
<評価>(ネタバレなし)
スパイを監視する、スパイのスパイみたいな組織があるらしいのだが、実はーー。
「ワンダーウーマン」のガル・ガドット主演のスパイ・スリラー。(たぶん、タイトルはローリング・ストーンズの曲にひっかけている)
アマゾンオリジナルの新作、いちおう米国映画のはずだが、英国のMI6の話で、ソフィー・オコネドーなど英国の役者が出て、いい味を出している。
この映画、とくに前半は、どんでん返しが身上だ。
ネタバレなしとなると、ほとんど何も書けない。
興味ある人は、予備知識を求めず(ネタバレされてるかもしれない)、早く見ることをお勧めします。
冷戦が終わって一時下火になったスパイ映画が、このところまた隆盛だ。
新たな冷戦が始まっている証拠だろう。
この映画の中で、ある人物が、「いくら秘密組織ができても、世界がよくならない」と嘆くが、その通りだ。
そのおかげで、あいかわらずスパイ映画を楽しむことができる。
ところでこの映画、面白いかどうかといえば、面白い。
アルプスやリスボンなどのロケーションの美しさと、アクションの切れ味は一級品。
そして、普通のスパイものにはしたくない、という意欲は買える。
今、多少お金をかけた映画では、優れたシナリオチームが「面白くなる要素」をたくさん詰め込む。
だから面白い。
だけど、こういう映画って、最終的には、ヒーロー、ヒロインにどれだけ魅力があるか、ではなかろうか。
Amazonの「シタデル」でも感じたが、最近のヒーロー、ヒロインは、ルックス、超人的身体能力とともに、チームへの思いやりとか、幼児体験に起因する弱点と共感力とか、もろもろの現代的に好ましい「人間性」を備えてなければいけないので、大変だ。
性格付けが、どうも複雑すぎて、共感しにくいな、というのが正直な感想だった。
映画としては面白いが、キャラクターが面白くない、というか。それは善玉、悪玉双方に言える。
やはりポリコレがからむのだろうが、スパイに「人格」を求めすぎだろう、と思う。
ジェームズ・ボンドの幼児体験など、だれが気にしただろうか。単純なカッコよさが難しくなった時代だ。
(以下、見た人にしか伝わらないかも)
「チーム」を大事にする、というのは、「ミッション:インポッシブル」をはじめ、現代のスパイ映画の共通する特徴だ。
一匹狼を描いていたはずの「山猫は眠らない」シリーズも、いつの間にか「チーム」主体のスパイものに変身したとnoteで書いたばかりだった。
「多様性」を備えた、パワハラもセクハラもない、チームワーク重視の楽しい「職場」で若者が仕事をしているところを見ても、スパイ映画を見てる感じがしないのは、私が「昭和」の人間だからだろう。スタートアップ企業の新入社員勧誘動画を見せられているようだ。
パワハラ・セクハラしほうだい、差別しまくり、若者に嫌われまくり、内部通報されまくり、組織で懲戒処分されまくり、だけどカッコいい、チームには嫌われるが、ひとりで世界滅亡を防ぐ、みたいな一匹狼のスパイが出てくる映画を、私は見たい。
<参考>
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