
【日本保守党3】池内恵・飯山陽戦争のゆくえ 編集者は右往左往?
(以下、敬称略 タイトル画像は飯山陽のYouTubeチャンネルから)
戦線拡大中
日本保守党周辺で起こっている、池内恵・東大教授と、飯山陽・麗澤大客員教授との戦争は、いまだ収まりそうにない。
16日までの経緯は以下の記事にまとめたが、
18日に飯山は、さらに過激な池内攻撃動画をYouTubeに投稿。
【公金チューチュー】日本保守党と飯山陽をディスる東大教授・池内恵氏の真相!(飯山陽のいかりちゃんねる)
また、同じ日本保守党シンパの島田洋一・福井県立大名誉教授も、19日に援軍として池内攻撃動画を公開した。
島田名誉教授チャンネルLIVE14(飯山陽氏を攻撃するエセ・ブロック学者たち!)(島田名誉教授チャンネル)
島田は、池内らの反応を、「2016年の米大統領選でトランプが勝ったときのリベラルの錯乱を想起させる」と述べている。
いっぽう、池内恵のX連投も激しさを増しており、こちらには、従来の篠田英朗・東外大教授、東野篤子・筑波大教授に、細谷雄一・東大教授もくわわって、いっそう「アカデミ連合」らしくなっている。
(細谷雄一・東大教授の20日のXポスト)
日本がおかしな方向へと転がり落ちぬよう、池内さんの言論界における矜持は貴重。戦前の日本にはそのような矜持がおそらく足りなかったのだろうと思います。多くの民主主義国ではすでにポピュリズムなどで民主主義が、空洞化、分極化しています。日本も正念場。(20日1:53)
日本がおかしな方向へと転がり落ちぬよう、池内さんの言論界における矜持は貴重。戦前の日本にはそのような矜持がおそらく足りなかったのだろうと思います。多くの民主主義国ではすでにポピュリズムなどで民主主義が、空洞化、分極化しています。日本も正念場。 https://t.co/di5PZwEWRT
— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) November 19, 2023
さらに、ネット保守言論人のKAZUYAや、上念司らが、日本保守党の批判を始めており、中立というより、池内陣営を擁護する側に回っている。
日本保守党の攻撃性は魅力ではあるが、党勢拡大を阻む要因にもなる(KAZUYA channel 17日)
以下のKAZUYAのポストを、池内はリポストしている。
せっかくの機会なので犬笛評論家として、百田尚樹氏の手法をまとめておきたいと思う。
— KAZUYA (@kazuyahkd2) November 19, 2023
日本保守党の百田尚樹氏のXにおける手法というのはパターンが決まっている。
彼は「返信」「ブロック」「示唆」を巧みに組み合わせてフォロワーをトレーニングしている。
そのやり方は見事と言う他ない。…
特殊な構図
まさに、イスラエル・ハマス紛争のように拡大する様相だが、ここで2つのことを確認する必要がある。
1 日本保守党が本営ではない
いまのところ、熱量が最も高い主体は池内恵と飯山陽であり、この二人が主役の「池内・飯山戦争」と呼んでいいと思う。
池内恵が「ネットイナゴ」と排撃しているのは日本保守党員であり、その意味では日本保守党を標的とした戦いだ。
だが、飯山陽は、日本保守党シンパではあるが、日本保守党幹部でも正式なブレーンでもなく、いまのところ日本保守党員とも名乗っていない。それは、島田洋一も同様だ。
日本保守党代表の百田尚樹と、事務総長の有本香は、初期からXで池内にからんでいるとはいえ、池内はそれに直接応えておらず、応酬になっていない。
つまり、日本保守党は、いまだ正式な交戦主体ではない。
ただ、池内が日本保守党を「ファシズム」と呼び始めたことで、保守党が何らかの反論をせざるをえない局面になってきたと思う。
だが、論戦になったとき、池内ら名だたるインテリ連中を相手に、日本保守党に勝ち目があるのか。かつて「朝ナマ」で、百田尚樹が、井上達夫・東大教授にコテンパンにやられた過去がある(井上は、篠田英朗らとは距離を置いているが)。
2 右VS左ではない
池内恵、篠田英朗、東野篤子、細谷雄一、といった人たちは、左翼ではなく、むしろアカデミズムの国際政治畑で、左翼に対抗する「現実派」として自らを位置付ける人たちだ。
リベラリズムの範囲ではあるが、従来より柔軟な姿勢をとる人たちで、狭い意味の「岩波・朝日」文化人ではなく、保守系の媒体にも登場する。
護憲派でもないから、従来の左翼メディアからすれば、彼らも「保守系」とみなされることがある。
上念司やKAZUYAが日本保守党批判にくわわっていることも含めて考えれば、「右VS左」の戦争ではなく、むしろ「保守の内戦」に近い。
紛争範囲は、右翼、保守、リベラル、までで、左翼と極左は積極的にくわわっていない。
だから、この話題は、主流の左翼メディア(既成メディア)では取り上げられない面がある。(彼らは、右どうしで潰し合え、と高みの見物かもしれない)
戦争の流れのまとめ
これをイスラエル・ハマス戦争になぞらえるなら、ハマスに当たるのは池内だろうか。
先月末から、日本保守員のポストに対して、最初に「過激に」反応したのは池内だという印象がある。
改めて戦争の流れを振り返ると、
1 池内がXで、「保守党員はすべてブロック」発言(10月30日 保守党員への宣戦布告)
プロフィールに「日本保守党」と書いてあればブロックします。(池内恵 10月30日 7:30)
プロフィールに「日本保守党」と書いてあればブロックします。 https://t.co/Al6G57cD8G
— Satoshi Ikeuchi 池内恵 (@chutoislam) October 29, 2023
この流れで、有本が池内に真意をただすポストを投稿するが、池内は無視。(11月7日)
池内先生、グレンコ・アンドリー氏の発言と、日本保守党に何の関係があるのでしょうか。氏は保守党と無関係です。氏の発言について、唐突に「日本保守党の方々はどうする」と問いかけられる理由がわかりません。理由をご説明ください。理由もなくわが党の名前を出されているのであれば甚だ遺憾です。 https://t.co/tQdisHSsV0
— 有本 香 Kaori Arimoto (@arimoto_kaori) November 7, 2023
2 篠田英朗が11月14日、日本保守党員が飯山陽に影響されていると見て、飯山陽と日本保守党の関係をただす投稿。
日本保守党は、いずれ飯山陽氏らSNSインフルエンサーとの関係を明確にする必要があるのではないか。(11月14日 12:54)
日本保守党は、いずれ飯山陽氏らSNSインフルエンサーとの関係を明確にする必要があるのではないか。 https://t.co/bOmt7Gio85
— 篠田英朗 Hideaki SHINODA (@ShinodaHideaki) November 14, 2023
3 篠田の投稿に対して飯山が11月15日、YouTubeで名指し反撃(飯山の篠田への宣戦布告)
【は?】篠田英朗・外大教授「日本保守党は飯山陽との関係を明確にせよ」?!(飯山陽のいかりちゃんねる 11月15日午前)
4 それに池内がXで反応し、15日から飯山を直接攻撃(池内の飯山への宣戦布告)
たんまり虚言が連打されるようになって批判のしようもなくなった。虚言癖になる理由があったんでしょう。(11月15日19:25 のちに「たんまり」は「単なる」の誤記と訂正された)
たんまり虚言が連打されるようになって批判のしようもなくなった。虚言癖になる理由があったんでしょう。 https://t.co/qArBi19b1E
— Satoshi Ikeuchi 池内恵 (@chutoislam) November 15, 2023
5 飯山が16日、YouTubeで池内を名指し攻撃(飯山の池内への反撃)
【下劣!】池内恵・東大教授「日本保守党は変質者集団、飯山陽は狂乱インフルエンサー」?!(飯山陽のいかりちゃんねる 11月16日夕)
6 全面戦争化(現状)
発端は篠田英朗の二枚舌外交?
この流れを見ると、
池内恵VS保守党員
↓
飯山陽VS篠田英朗
↓
池内恵VS飯山陽
と、紛争の様相が変化していったことがわかる。
流れを変化させたのは、篠田英朗である。
篠田は、月刊HANADAに、飯山陽や島田洋一とともに「日本保守党を応援する」というメッセージを寄稿していた。

篠田の「日本保守党は飯山陽との関係を明確にせよ」というポストは、飯山と同陣営に見られる危険を感じた篠田の、アカデミズム内での保身のための一手ではないか、というのは、先の記事で指摘した。
本当は、その前に、篠田こそ「日本保守党との関係を明確に」しなければならなかったはずである。
篠田が月刊HANADAに寄稿した経緯は知らないが、日本保守党にも、アカデミズム主流にも、いい顔をしようとした篠田の姿勢は、パレスチナとイスラエルの関係をこじらせた、イギリスの「二枚舌外交」を連想させる。
彼の専門が「平和構築」であることを考えれば、これはいっそう皮肉に感じる。
(篠田の難しい立場を察して、彼をかばうために池内が前面に出た、という印象すらある)
どちらが「売れる」か
今のところ、
「タイマンの喧嘩」を売る飯山軍と、「ちょっと上から目線」の池内軍
という印象だ。
この戦争が注目されるのは、参加者が、いま旬の、「売れる著者」が多いからだ。
私は編集者だったので、つい、どちらが正しいか、より、どちらが売れるか、と考える習慣がついてしまっている。
どちらの陣営につくほうが得か、現役の編集者で、いま考えている人もいると思う。
両陣営に自分の担当する「先生」がいる場合は、とくに悩むだろう(私にも同様の経験がある)。
この記事が正確で公平だという自信はないが、主にそういう業界の後輩のために、客観的にまとめようとしたものだ。
出版界で「売れた」ほうが、勝負にも勝つ、という現実もある。
私だったらどっちにつくか、より主観的な評価は、また別の機会に書きたい。
<続報>
<参考>