見出し画像

【Netflix】「スクリーム(2022)」 ホラーファンの心を熱くする快作【ネタバレなし】

<概要>


あの「スクリーム」の新作だ。

https://www.netflix.com/jp/title/81305962

「ホラー映画は好きかい?」

またあの電話がかかってくる。

25年前の惨劇の舞台ウッズボローに、ゴーストフェイスの殺人鬼が帰ってきた。

被害者たちは、昔の事件の関係者であるらしい。

今度の事件は、どんな「ホラー映画の法則」に従うのだろうか・・


<評価>


今は亡きウェス・クレイヴン監督へのリスペクトが溢れた快作。

長年のホラー映画ファンとしては、心が熱くなる作品だ。

監督はマット・ベティネッリ=オルピンとタイラー・ジレット。


「スクリーム」であるから、例によって「ホラー映画の法則」の議論が、劇中でおこなわれる。

こんな議論だ。


人気ホラーシリーズのファンが望む「新作」とは何か?

最近の「高級化 elevated」したホラーじゃ駄目だ。古き良きスプラッターでなくては。

(elevated horror とは、「ヘレディタリー」や「ミッドサマー」のようなホラーのニューウェーブのこと)

でも、いろんな可能性があるよ。

続編か? リメイクか? 前日譚か? 後日譚か?

「最近の傾向はね、1作目に回帰する。オリジナルに、ね」


その議論に従うように、「青春スプラッター」の原型を保つ若い役者たちにくわえて、1作目の役者たち(ネーブ・キャンベル、デビッド・アークエットら)が再登場する。

(初代「スクリーム」は1990年代の映画なので、オリジナルの役者たちも、初代が1970年代で2018年の「ハロウィン」に再登場したジェイミー・リー・カーチスほど老けていない)

この映画は、どんな「新作」にもなれる。というところからスタートする。

「ファンのあなたは、どんな『スクリーム』の新作がお好みですか? こんな感じ? それともこんな感じ?」

映画に、そう聞かれているように感じる。


ゴーストフェイスは次々に、むごたらしく、人を殺していく。

殺害場面は、一切茶化さない。そのあたり、古き良きスプラッターへのリスペクトは一貫していて、心地よい。

観ている者は思う。シリーズ2作目、3作目・・で使った手が使えないとすれば、どんな続編がありうるのか。本当に第1作への回帰なのか。あるいは、そう見せかけて、裏をかこうとしているのか。

どこに新味、意外性が用意されているのか。

というか、

「どこに意外性があれば、私はいちばん面白いと思うだろうか」

と、観客に常に考えさせる。

そう考えさせながら、映画はその裏をかいたり、かかなかったりする。

そういう形で、映画を観ながら、映画に参加させられる映画である。


考えてみると、「スクリーム」とはそういう映画だった。それが「スクリーム」という映画の本質だ、と、亡きウェス・クレイヴンの意図が正しく把握された新作なのである。

「スクリーム」は、「考察系」を流行らせたミステリーの1つの原型だ。観客を「考察」に誘う映画なのである。

「スクリーム」は「映画のパロディ」のようだが、そうではない。

アメリカの映画大学でやる「映画教育」のパロディだ。

というより、映画教育のパロディに見せかけた、クレイヴンによる映画教育そのものだ。


最後の方では、「ホラー映画の法則」が発動しまくり、「死亡フラグ」が立ちまくって、登場人物が思わず顔を見合わせて笑うようなところまでいく。

そして、殺人鬼の正体は? まことに納得のいく結末だ。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集