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【"次世代のGTA"を予感させた名作】『グランド・セフト・オートIV(GTA4)』レビュー
『グランド・セフト・オートIV』は、2008年に発売されたシリーズの9作目です。シリーズは、今作から"HD Universe"と呼ばれる第三世代に移行し、ここから新しいストーリーやゲーム世界が展開されていきます。
※このnoteは、現在公開している動画をテキスト化したものです
犯罪に手を染める"臨場感"
![ムービー (32).mp4_snapshot_00.22_[2022.07.17_22.50.30]](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82854076/picture_pc_5439f7f5d3eb952cef4e1878c7df5d42.jpg?width=1200)
今作からゲーム機の世代が進み、表現力が格段に向上したことで、ビジュアル的なリアリティが増し、それに合わせる形で、ゲーム世界の仕組みやルールなどもリアル化されました。
例えば、今作では体力を回復したい時は救急キットを使い、手配度を下げたい時は、捜索範囲の外に出て身を隠すなどしないといけません。<ハート>で回復したり、<星>を集めて手配度を下げたりと言ったゲーム的な部分は取り除かれました。
![ガンファイト (21).mp4_snapshot_00.20_[2022.07.17_22.51.23]](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82854096/picture_pc_764703fdd19140998fe74983a6914ce0.jpg?width=1200)
そうしたゲーム世界のトーンに合わせるように、ミッション内容もリアル寄りになりました。
銀行強盗や護送車の襲撃など、山場となるミッションも存在しますが、それ以上に、アパートの一室で売人を始末する、トランクの"○体"を車で捨てにいくなど、現実味のある仕事が増えています。
確かに、今作は過去作と比べるとリアルゆえに地味です。
しかし、ゲーム世界が限りなく現実世界に近くなったことで、街の片隅で、人々に紛れて犯罪に手を染めること自体が一つの体験になっており、その生々しい犯罪体験が、新しい魅力として生まれています。
初めて銃で敵を倒した時の感覚は強烈で、敵に銃弾を撃ち込む鈍い感触と膝から崩れ落ちていく敵の様子を見て、なんとも言えない後味の悪さを覚えました。
今作の特徴は、プレイヤーに罪の意識を感じさせるくらいのリアリティを実現し、犯罪に手を染めるという行為自体に焦点を当てている点にあり、クライムゲームとしてのグランド・セフト・オートを再定義したと言えます。
圧巻のオープンワールド
![逮捕目撃 (1).mp4_snapshot_00.10_[2022.07.17_22.50.59]](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82854102/picture_pc_c196b6503def426af5d24d9ecd1fca50.jpg?width=1200)
プレイ面以外では、オープンワールドの作り込みも見事です。
これまでは現実世界をモデルにした都市を作り、その上からカーラジオをふんだんに流し込むことで、その世界における文化を巧みに表現していましたが、今作では、街の空気感や人々の様子、そこで話される言葉から、そこに根付く文化が感じ取れるレベルに達しています。
現在では、より広く、美しいオープンワールドゲームが存在しますが、モニター越しからでも人々の息遣いが感じられる世界はそうなく、今作の<リバティーシティ>は、2022年の水準に照らし合わせても目を見張るものがあります。
ゲームとしては数歩後退…
![ヘリ撃破.mp4_snapshot_00.23_[2022.07.17_22.51.54]](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82854113/picture_pc_aa38a6f2a0f43c0e839a041b85824489.jpg?width=1200)
ただ、「グランド・セフト・オート」としては、『グランド・セフト・オートIII』の頃に逆戻りしてもいます。
シリーズで初めてマルチエンディングが採用されるなどしていますが、『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』にあった豊富なカスタマイズや多種多様なミニゲーム、RPG要素などはほぼすべてなくなり、一旦リセットされています。
GTA5への布石?2本の追加ストーリー
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『グランド・セフト・オートIV』には、二本の追加ストーリーが配信されています。この「ザ・ロスト・アンド・ダムド」「ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」は、本編と同じ<リバティーシティ>を舞台にしながらも、バックグラウンドが全く異なる主人公を用意している点が特徴です。
「ザ・ロスト・アンド・ダムド」の主人公は、<オルダニー>を根城にするバイカーギャング<ザ・ロスト>のジョニー・クレビッツ。「ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」の方は、ナイトクラブのボディーガードであるルイス・ロペス。
本編の主人公だったニコ・ベリックは、アメリカンドリームを求めてやってきた不法移民の苦労人でしたが、ジョニーは落ち目のバイカーギャングを率いる地元の底辺犯罪者で、ルイスの方は、"一応成功した"ナイトクラブのボディーガードになり、同じ街の異なる場所で、それぞれのストーリーが描かれます。
![ムービー (46).mp4_snapshot_00.17_[2022.07.17_22.55.26]](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82854345/picture_pc_0d69c42603d503cb743b9dbbfe1ea668.jpg?width=1200)
そして、それぞれのストーリーのある地点で、ニコとジョニー、ルイスの人生がクロスオーバーという形で交差します。本編と二本の追加ストーリーを通して、ダイアモンドを巡る大きな物語が形成されていきます。
もう改めて言う必要はないかも知れませんが、こうした同じ街で三人のストーリーを描くというのは、『グランド・セフト・オートV』と同じですよね。
ニコ、ジョニー、ルイスは、GTA5ではマイケル、フランクリン、トレバーになり、三人それぞれのストーリーを描きつつ、最終的には全員が関与する大きなストーリーが描かれます。
その辺りは、後日公開予定のGTA5のレビュー記事で触れますが、GTA4は、今思えばGTA5の三人の主人公を一足先に体験できる作品でした。
まとめ
今のゲーム環境で遊ぼうと思うと、PCかXboxが必要になるので、世界的に大ヒットしたゲームですが、遊ぶハードルは地味に高いです。「GTA4のために遊ぶ環境を用意すべき」とは言いませんが、もし、今後リマスター版が出ることがあれば、絶対に遊んでみて欲しい作品です。
最後に、GTA4は"シリーズの新機軸となり、かつ当時のオープンワールドゲームの基準を一気に押し上げた作品"でもあり、シリーズやジャンルを語る上で欠かせない作品です。