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首尾一貫感覚

とんでもない感染症のおかげで、世の中が一変した。
もう3年目ともなると、マンネリ化しているところもあるのかもしれないが、医療現場はそうはいかない。

もともとハードな職場だ。
それでも日々の小さなストレスは、飲みにいって騒いだり、歌ったり踊ったりして解消していた。
この業界、割りと単純でイケイケなところがあった(たぶん、過去形)。

けれど、今はそれができない。
新人さんのマスクを外した素顔すら知らない。
昼食は黙食で、いつ親睦を図ればいいのだ。
オンライン飲み会も一時話題になったけど、ホントのところどうなんだろう。それで鬱憤晴れているのだろうか?
タンスの上のホコリは、一見きれいに見えても掃除しないとそれなりにたまっていく。
私たちの心のホコリも同じ。結構たまっているんじゃないかな。

というような話を去年の今頃、精神科の医師に話した。
新人看護師のメンタルサポートの相談の流れで。
そのときに、おもしろい話を聞いた。

今、注目されているストレス・マネジメントに「首尾一貫感覚(SOC)」と呼ばれる考え方があるそうだ。
このことば、初めて聞いた。
もともとは、ユダヤ人強制収容所に入れられ、厳しい難民生活を生き抜き、年をとっても良好な健康状態を維持している女性たちがいて、その人たちに共通する考え方や特性を分析した結果見つけられたものらしい。 

「首尾一貫感覚」とは
■把握可能感(=「だいたいわかった」という感覚)――自分の置かれている状況や今後の展開を把握できると感じること。
■処理可能感(=「なんとかなる」という感覚)――自分に降りかかるストレスや障害にも対処できると感じること。
■有意味感(=「どんなことにも意味がある」という感覚)――自分の人生や自身に起こることには意味があると感じること。

舟木彩乃(ふなき・あやの)

そして、この感覚は後天的に鍛えられるものらしい。
知識を得て、何かにつけ思い出して、考え方を見直してみる。
つらいときは得てして、視点が内へ内へ向かってしまうもの。
蟻地獄のように、もがいてももがいても這い出せなくなってしまう。
そうなる前に、客観的に自分を見ることを習慣づけたい。

この話を聞いたとき、私は「首尾一貫感覚」って結構持ち合わせている。
だから、大抵のことには耐えられるなと、お気楽に考えていた。
しかし、それから程なくして、自分の本心に気づくことになる。
それは、心に反して身体が起こした防衛反応だったのかもしれない。


タイトル画像は”中目黒土産店”さんにお借りしました。
タイトルとはだいぶずれたけど、こんな日早くくるといいなぁーと思って。

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