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柱時計のボーンボーンを聞きながら

♫ 大きなのっぽの古時計、おじいさんの時計 ♪
大きくはないけど、ボーンボーンと時報を知らせてくれる柱時計
律儀さゆえに、いい迷惑だったりするはなし。

***

父が試験外泊のとき
2ヶ月ぶりの我が家に戻ってほどなくして
「床の間のある座敷に布団を敷いてくれ」と言った。
家を建てたときに、大工さんに一番褒められたのがここだったという。
「木目がひとつもない天井は珍しい」とに言われたのがよほど嬉しかったのだろう。
この天井を見ながら眠りたい、と言われるがまま準備した。
いつまた、ここに戻ってこられるのか、わからなかったから。

***

そんな日から2週間して、父はさっさと戻ってきた。
床の間と言っても仏壇はまだ空っぽだし、このご時世、訪ねてくる人もいない。
一番いい部屋で過ごせばいい、と退院した日からここは父の寝室となった。
ベッドを入れ、エアコンを取り付け、もう当分ここにお客様を迎えることはできない。

私はその隣の部屋で寝泊まりすることにした。
ふすまを30cmぐらい開けて、父の様子がわかるように。

この部屋に、柱時計がある。

初日は柱時計の時を刻む音と時報のボーンボーンという音が懐かしかった。
20時の8回、21時の9回ぐらいまでは、まだ覚醒しているので気にならない。
お、8時か、もう9時かと時間を意識するのにちょうどよかった。
しかし、22時の10回はちょっとうるさく感じる。
仕方ないから、いーち、にー、さーん・・・・と10回まで数えてみたり。

24時の12回に至っては、寝入りばなを起こされて、不機嫌になる。
そこから父の覚醒と柱時計のボーンボーンで睡眠不足に・・・。
3日めは、その音が妙に間延びして薄気味悪かった。
丑三つ時うしみつどきのボーンボーンだったのか。
きっと浅い眠りの中で聞いたからだろう。

さすがに、4日目はなんとかしなくては!と時計を止めることにした。
私が小学生時代の柱時計は振り子を止めれば、時計も止まった。
同じ要領で振り子をそっと中央で静止した。
しかし、気がつくとボーン(30分は1回鳴る)!!
また振り子が元気に動き出しているではないか!

どうも昔のぜんまい仕掛けの柱時計ではないらしい。
脚立を取り出して、柱時計の蓋をあけると・・・。
時計上部に ON と OFF の切り替えが!!
なんと、柱時計も進化していた。
すばやく OFF に切り替えて、やっとボーンボーンに悩まされることがなくなった。

その夜はぐっすり眠れた。

翌朝、父が言う。
「昨夜はトイレに行こうと思ったけど起き上がれなくて。
 バタバタしてたらベッドから落ちて頭を打った。」と・・・・・。
あちゃー、ぐっすり眠りすぎた。

いかん、いかん、本来の目的が果たせていないじゃないか!と反省した。
しかしその日以来、父が起きても私は目が覚めなくなった。
疲れているのか、まぁ大丈夫だろうと安心しきったのか
柱時計が鳴らなくなったからなのか・・・。

ただ、よい眠りは人を優しくする。
イライラ、ガミガミが少し減ったような・・・? (*^^*)


タイトル画像は”umico”さんにお借りしました。


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