【詩】チップ
マダムの荷物を運んだら
マダムが僕にチップをくれた。
僕はとっても喜んで
家に帰って包みを開いた。
めんこだった。
マダムが僕にくれたのは
力士が描かれためんこだった。
僕はしばらくそれを眺め
しばらくして腕組みをした。
マダムがくれた1枚のめんこ
とりあえず床に置いてみた。
ポケットから定期入れを出した。
めんこめがけて叩きつけた。
めんこはひっくり返らない。
何度も何度も叩きつけた。
めんこはひっくり返らない。
僕は肩で息をしていた。
力士としばらく見つめ合った。
マダムの顔がよぎったが
僕はめんこに火をつけた。
家ごと燃えた。
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