#7ぶどう山椒の夜明け「高校教諭のチャレンジ」

有田川町はぶどう山椒発祥地であり、日本屈指の産地です。
しかし、山椒の栽培研究は活発ではなく、現場では突然樹が枯れる等の事象が起きますが根本原因がわからないこともしばしば。

そのような産地事情を改善しようと奮闘するのが有田中央高等学校の仲里長浩教諭です。沖縄県出身の仲里さんは前職でイヌマキ等の雌雄異株(しゆういかぶ)の植物について研究していました。その経歴に白羽の矢が立ち、2017年、同町の依頼を受けて仲里さんの山椒研究が始まりました。奇しくもぶどう山椒は雌雄異株であることから運命的な出会いを感じたそうです。

今年で6年目を迎える研究は、当初苦難が続いたと仲里さん。
長年、植物に携わってきた経験をもってしても、初めて目にする現象が多く、山椒に翻弄されては思索する日々が続いたそうです。「大変ではあったが、新鮮で楽しかった」と嬉(うれ)しそうに当時を振り返ります。

農家の協力を得ながら、コツコツと研究を続けていく中で、接木(つぎき)技術の向上や幼木の成長促進等の研究が進んでいます。また、仲里さんが勤務する高校には農業を学ぶコースがあり、生徒も枝数や収量の調査に関わっています。「生徒にとって、地域の産物に関わることは、農業の根幹に触れることにつながり、とても貴重な経験だ」と教育的な意義を語ってくれました。

仲里さんは、今後も農家や地元企業等と更なる研究を進め、農家の所得向上につなげることを目指されます。この動きが新たな就農者を呼び込み、「産地が継承される流れをつくりたい」と語ってくれました。

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