500円を握りしめて

今日も僕は外を歩いている
ママがくれた500円を握りしめて
今日はどこへ遊びに行こうかな？
ワクワクが止まらない夜の街

今日のママは優しいママだった
いっぱいお怪我をしてたけど笑ってた
いつも怖い顔してるか泣いているママ
今日はいつもよりニコニコ笑ってた

毎日パパが来る前にもらう500円
好きなのに使ってと言ってくれるんだ
僕は何に使おうかいつも悩むけど
ずっとお腹が空いてるから　
パンを買いに行くんだ


パパはいつもいないけど
お仕事じゃない
だってよく違う女の人と一緒だもの
働くママと違ってあそんでばかり
どうしてママは
なんでパパと一緒にいるのだろう？

お家に帰ったら大きな袋があった
あたりに漂う気持ち悪い匂いがする
玄関の前立ち尽くす足が動かない
パパはお酒を飲んでテレビを観てる
明日の朝一
このゴミ捨てにいくと
低く恐ろしい声が僕の耳に届く

怖くなった僕は玄関をあとに走った
走って走ってどこまでも遠くに
まだ状況がわかるわけじゃないけど
ママはどこだろう？
ママはどこいったの？

次の日僕は病院のベッドの上にいた
横を見たらおまわりさんがいた
テレビに僕の家が映ってる
パパが捕まったとアナウンサーが伝えてる
そしてパパのせいでママがいなくなった事も知った
だけどうっすらでしか覚えてない

僕はずっとお腹が空いていた
最後に食べたのいつだっけ？

もうこの500円はママに使えないな