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うおお書いた公開!な私が原稿ロードマップを作ったが、遅い

(約6000字)


うおお書いた公開!
獰猛なイノシシのように勢いよく原稿を量産し、ZINEを2年足らずで7冊書き上げたわたくし。

しかしある日、イノシシは勢いよく壁にぶち当たります。

「もっと文章がうまくなりたい……!」
打ちのめされたわたしは突っ走るのをやめ、ひっそりと作戦を練りました。
そして、よい原稿を作る手順をマニュアル化した「原稿作成ロードマップ」を作成しました。


このロードマップ、「じっくりコトコト時間をかけていい文章を作る」には強力。
わたしが文章力を上げるうえで学んだことをぜんぶ詰めこんだ秘伝のタレです。


でもこれ、あんまり運用できてなくて涙目。
シンプルに、「遅い」「めんどくさい」。

この記事も、原稿作成ロードマップを使って書いていません。
書こ→note開く→いきなり入力入力ぅ!
というノリで書いています。

せっかく作った原稿作成ロードマップの運用方法をちょっと見直さないといけないんですよね……。
そこで、原稿作成ロードマップを皆さんにシェアして、原稿作成ロードマップの棚卸しを試みます。


この記事はヤス(ウエダヤスシ)さんの企画「私の書くルール」に向けて書きました。

ヤスさん、素敵な企画をありがとうございます!
それではわたしの書くルールを公開しちゃいますね!






物書き2年目までのわたしの爆速執筆法



物書き初期のころのわたしの書きかた:

  1. あたまのなかの考えをダーッと箇条書きします

  2. 箇条書きしたものをWordにコピペします

  3. 箇条書きの間を文章で埋めていきます

  4. 完成!


これは早い。すき家より早い。
正直この書きかたがいちばん楽で気持ちいいです。
だってアウトプットを量産できるもん。


この書きかたは、「勉強しなきゃ」「ちゃんとしたもの書かなきゃ」のドツボにハマってエターナラー(いつまでも作品を完成させられないひと)になりがちな、とにかくアウトプットの量が必要な初心者に激推しです。


ちなみに箇条書きのときは、「アウトライナー」というものを活用しています。
箇条書きにしたものを並べ替えたり、階層構造にしたりできるものです。
「Workflowy」や「Dynalist」といったツールが代表的ですね。


わたしはDynalistを使っています。無料でたくさん使えるので。

「もぐちゃん先生のやる気教室 第1話」のDynalist。
書きたいことを箇条書きにする


この「箇条書き」が死ぬほど大事なんですよ~!

アウトライナーに箇条書きするまで、わたし、書きたいのに書けなかったんです。
なぜなら、いつまでたっても文章が書き終わらないから。


でも、アウトライナーで箇条書きすると書き終えることができました。
なにをどういう順番で書くのか、すべてアウトライナーに洗い出した。
だから、文章を「閉じる」ことができるようになったんです。


プロットなど不要。アウトライナーがあれば十分。
そう思っていましたし、いまもその考えかたがからだに染みついています。



そういうわけで、アウトライナーを活用してジャンジャン作品を作っていました。

しかしある日、エッセイのワークショップで自分の文章をボッコボコに添削されます。
それがショックで筆を休めていました。
精神的に傷ついていたのもありますが、
「いまのやりかたを変えて、いい作品を作れるような書きかたに変えないといけない」という思いをくすぶらせていたんです。



これが「おれが考えるさいきょうの原稿作成ロードマップ」だ!



心身が元気になると、わたしは「原稿作成ロードマップ」の作成にとりかかりました。
そして新しいことを学ぶたび、ロードマップを更新しました。
現時点での原稿作成ロードマップを皆さんに共有しますね。



⓪スケッチブックにあたまのなかの考えを書き出す


これは「書きたいことが多すぎてあたまのなかがうるさいんだ」というときに、とりあえず書きたいことぜんぶ洗い出すためにやります。

スケッチブックはでかければでかいほどいい。
わたしはF8サイズのものを使っています。幼児1人分くらいのサイズなのでかくれんぼに使えそうですね。
ここまででかいと持ち運びに難があるので、それはそれで考えものです。



①アウトライナーに箇条書きする


さきほどのアウトライナー箇条書きですね。

⓪でスケッチブックに書きこんだ場合は、スケッチブックに書いたことをひとつひとつアウトライナーに写します。
写し終えたものはスケッチブックに×をつけてわかるようにします。

スケッチブックから写すとき、「これは書く必要がないな」と思ったものは選別します。



②大事にしている単語について深掘りや連想をする


自分が書きたいことのなかで、重要なキーワードについて深掘りや連想をします。
企画やコンテスト向けの作品なら、その企画のキーワードについて深掘りや連想をします。


今回の企画であれば、「書く」「ルール」を深掘りしてみるとよさそうです。


深掘りの方法は、マインドマップを使うのがひとつの手です。
こういうふうに、キーワードを中心において、そこから連想されることを書いていくやつですね。



深掘りでは、つぎのことを深掘りします。

①理由・目的
②意味
③メリット・利点
④発見
⑤苦労・困難
⑥努力・工夫
⑦思い出・感情
⑧大事
・自分にとって大事
・みんなにとって大事



なぜキーワードについて深掘りや連想をするのか。
理由は3つあります。


①そのキーワードの本質をことばにするため
本質的なことは、読者に深く刺さりやすいです。


②そのキーワードについて読者が知りたがっていることに答えるため
思ったままに出来事を書くのではなく、読者が知りたがっていることを掘り下げて書けるとよいです。


③重要だと感じるキーワードを掘り下げることで、自分がほんとうに書きたいことに気づくため
こだわりのある単語には、書き手の想いが隠れています。
そこを発掘して文章に深みを出します。



③書きたいことについて調べる


自分が書きたいことについて、ほかのnote、記事、書籍を調べます。

  • タイトル

  • これまでにすでに書かれていること

  • 真似できる要素

リサーチをしたら、ほかの作品と差別化できる要素はなにか考えます。


また、SNSで自分が書きたいことを調べます。
これは、自分が書くことについて悩んでいるひとのリアルな声を知るためです。



④書きたいことについて質問を投げかける


これはエッセイストの大阿久佳乃先生が推奨している方法です。
書きたいことについて、5W1Hで質問を投げかけます。

質問はなんでもいいです。
ただ、質問に答えているうちに「この質問はなくてもいいかな」という質問がわかってくるので、それは省いてもOKです。


わたしが使っている質問リストはこんな感じです。

〈Who〉
・だれに読んでほしいのか
・だれに読んでほしくないのか/誰は読まないほうがいいのか
・だれに読まれるのか
・だれから感想をもらいたいか
・だれからこの考えを学んだのか/だれの影響か
・だれのことを思い出しているのか

〈Why〉
・なぜこの原稿を書こうと思ったのか
・なぜそのことを伝えたいのか
・なぜそのことを書きたいのか
・なぜいまそのことを書くのか
・なぜ発表したいのか

〈What〉
・この原稿が言いたいことはなにか
・なにが議題となっているか
・この原稿にたいして考えられる反証はなにか
・なにに悩んでいるのか
・なにが文章のなかで重要なのか
・問題はなにか
・なにがこの原稿の新しい点か
・この原稿によって読者のなにが変わるのか
・なにがこの原稿の必要条件か
・読者になにを手渡したいのか
・タイトルから読者が抱く疑問はなにか
・この原稿によってなにを得たいか

〈When〉
・この原稿はいつ役立つのか
・読者はこの原稿をいつ読むのか
・いつから行動が変わったか
・いつ気づいたのか
・いつからそう考えるようになったのか

〈Where〉
・どこで引っかかっているのか
・どこを強調するか

〈How〉
・読者にどんな感想を抱いてほしいのか
・読者にどのような影響を与えたいか
・読者からどんな意見が出そうか
・この文章はどう受け取られると想像できるか
・読者にどうなってほしいのか
・この原稿は読者のどんな素朴な悩みに応えているか
・読者の悩みをどう解決するか
・想定読者はどんなひとか
・想定読者の関心を引くにはどうしたらいいか

〈Yes/No〉
・この原稿の言いたいことはシンプルか
・この原稿は自分、または過去の自分が読みたいと思えるか
・死ぬまでにこの原稿を公開したいか
・この原稿は読者の素朴な悩みに応えられているか


ここがいちばん退屈でしんどい!
もう、早く本文を書きたくて書きたくてしょうがない。
でもこれらの質問に答えると、書きたいことを深掘りできると思うんですよね。多分。

原稿を書く上で有益な質問があれば、ぜひわたしに教えてください。



⑤原稿のターゲットを設定する


いわゆるペルソナですね。
だれにどんな価値を届けるのか、具体的に設定します。

やりかたはこちらの本に書いてあります。



⑥倫理的な問題を検証する


これは物書きはみんなやったほうがいいです。
エッセイストはもちろん、小説書きさんもです。


文章を書くまえに、つぎのような倫理的な問題がないか確認するようにしています。

  • 特定の人物・団体の個人を特定できるような情報が入っていないか(身体的特徴、名前、住所、職業)

  • 特定の人物・団体のプライベートな情報が入っていないか(健康、性、内面的な問題、個人間でなされたやりとりなど)

  • 守秘義務に抵触する内容が書かれていないか

  • 二次加害やトーンポリシングなどの問題のある表現になっていないか

  • 特定の属性の人を傷つける表現になっていないか



エッセイ漫画「毎日かあさん」で、作者の娘さんが「自分のことを勝手に漫画に描かれた」と告発しました。
そこから、エッセイで他者のことを書くことの問題点が浮き彫りになりました。


小説では「石に泳ぐ魚」という作品で、登場人物のモデルとなったかたが「自分のプライベートなことを勝手に小説に書かれた」として、プライバシー名誉の侵害であると訴えました。


わたしも、実際の登場人物のプライバシーを守るために架空事例を用いることがあります。
事実を書くときは、可能な限り本人の掲載許可を得るようにしています。


ただ、こういう場合は書く基準を緩めにしています。

・そのひとが職務としてやったこと
・暴力や不正に関すること
で、それを書く社会的意義があること



⑦読者に向けて祈る


原稿を書く前に、読者に向けて祈ります。

このとき、

  1. だれが

  2. どんな状態になってほしいか

  3. どんな状態になってほしくないか

を考えます。


「想定読者にこうなってほしい。こうはなってほしくない」
「想定読者でないひとにはこうならずに、こうなってほしい」
ということですね。


そして、祈ります。

「○○なひとが~~~になりますように。……になりませんように。△△なひとが×××にならずに、***できますように」



⑧アウトラインを作る


ここでようやくアウトラインです。

  • タイトル

  • 冒頭

  • 構成

  • 本文

  • おわり

について、作戦を練っていきます。


ここについては、ひとから学んだことのオンパレードなので、詳しい内容は割愛します。

ただ、3点紹介しますね。


まずはこちら。

WordならA4の用紙の最初の半分、noteならPCで見た最初の一画面分。
ここだけ読んで面白い文章になっているかどうかチェックします。

ここがつまらないと、紙なら読者が退屈しますし、noteなら読者が離脱します。


つぎはこちら。

  • 感情(どんな気持ちだったか?)

  • 具体的な動作(どんな行動をしていたか?)

  • 理由(それはなぜか?)

は省かずていねいに描写することを意識しています。

これらの点って、ひとに読んでもらったときに「もっと知りたい」ってツッコまれるんですよね。


さいごにこちら。

表現技法を要所要所にちりばめると読みやすく面白くなります。

  • 台詞

  • 情景描写

  • 問い

  • 比喩

  • 倒置

  • 動きの描写

  • 対比

  • ユーモア

  • オノマトペ

  • 伝聞・引用

  • パンチライン



⑨人物・団体・場所のチェックリストを作る


こちらも倫理的問題を検閲するためのものです。
作中に登場する人物・団体・場所についてつぎのようなことをリスト化します。

1. 人物・団体・場所の名前
2. 描写の内容
3. 事実かフェイクか
4. 事実とフェイクの共通点
5. 事実とフェイクの相違点
6. 掲載許可の有無
7. 掲載許可の依頼が可能か
 ①可能
 ②連絡手段がない/連絡できる関係性を築けていない
 ③利益相反により掲載許可をもらうのが難しい
8. 掲載の可否
 ①掲載許可が必要
 ②フェイクを改良する必要がある
 ③掲載許可は不要
 ④掲載してはいけない


なんでこれをやるかというと、倫理的な課題を抱えたとき、わたしたちは自分に甘くなりがちなんです。
ほんとうは掲載許可が必要だったり、書いちゃダメな内容だったりしても、書きたい気持ちに負けて「まあ、書いてもいいでしょ」ってなってしまう。
だから、こうやってリストに書き出して、自分で自分を律します。



⑩初稿を書く


初稿を書きます。とにかく立ち止まらずに書きます。



⑪それぞれの文章について質問を投げかける


初稿ができたら、ひとつひとつの文章に質問を投げかけます。
投げかける質問はつぎの7つ。

  1. だからなに?

  2. なぜ?

  3. 具体的には?

  4. どういうこと?

  5. この文の意図は?

  6. なぜその表現でないとダメなのか?

  7. そのときどんな気持ち?


こうすることで、つぎのようなメリットがあります。

  • 説明不足や重要な部分の書き忘れを防げる

  • 文の役割を確認し、文章の目的に沿うように調整できる

  • 不要な部分を見つけてそぎ落とせる



⑫表現技法を意識しながら2稿を書く


学んだ表現技法を意識しながら、新しく2稿を書きます。

なぜ初稿を修正するのではなく新たに2稿を書くのか。
それは、初稿をベースに書くとどうしても初稿の表現に囚われるからです。



⑬わかりやすい文章にする


最後に、文章をわかりやすくしていきます。

やりかたはいろんなかたが発信しているので、具体的な内容は割愛。


ひととおり文章を整理したら、文章を音読して録音します。
文章を声に出したり音で聞いたりすると、おかしな点に気づきやすいです。



週1更新に間に合わない(泣)



原稿作成ロードマップを書き出してみて思った。
これ、ちゃんとやったほうがよさそう……!


ただ、この原稿作成ロードマップには難点があって。
原稿作成ロードマップに沿ってていねいに書いていたら、週1更新に間に合わないんですよね。

なんせ13ステップもあります。
それに、単体で1日以上かかるステップも何個かある。


どうにか時間を短縮できないだろうか。
1週間で、質の高い記事を書きたい。

早く書きたいけど、中途半端なものは書きたくない。
じっくり文章を練ると、時間がかかってしまう。
どーすりゃいいんだ!(泣)



以上が、突っ走って迷走し、立ち止まってはまた迷走しているわたしの書くルールです。
打開策が見つかったら公開するかも。

真似できるところはじゃんじゃん真似しちゃってください!
まだまだ文章修行をしてまいりますので、お互い励んでいきましょう~!



「原稿作成ロードマップ」を使って書いた代表作はこちら


この記事を書いたのはこんなひと


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駆里もぐ
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