試着室で思い出したら本気の恋だと思う。~自分にとっての「いい人」は、自分で決めるしかないのだから~ #読書感想
概要
年下に片思いする文系女子、不倫に悩む美容マニア、元彼の披露宴スピーチを頼まれる化粧品会社勤務のOL・・・・・・。
恋愛下手な彼女達が訪れるのは、路地裏のセレクトショップ。不思議な魅力のオーナーと一緒に自分を変える運命の一着を探すうちに、誰もが強がり屋諦めを捨て素直な気持ちと向き合っていく。繊細な大人たちの心模様を丁寧に綴った恋物語。
感想
5人の女性それぞれの物語が描かれている短編小説。
一人一人の物語の最後に、「物語を締めくくる一行」が特徴的だった。
とてもよかった。
それぞれの女性の人生を同じだけ掘っているので5人分の人生を体感した気持ちになった。
特にハッピーエンドとか甘い恋というわけではなく。
長期的に続く「恋愛」のなかで自分の心境の変化。心はどういう時に動くのか。こういう、気持ちの変化。過程を描いている作品が私は好きなのかもしれない。
好き
この文章はスッと心に入ってきた。
当たり前のことだが、大切なことだと思う。
"自分にとっての「いい人」は、自分で決めるしかないのだから。"
つまり、"自分にとっての「いい人」は他人が決めることではない。"
人によって「いい人」と思う人はそもそも違う。
他人からの「いい人」はただの一つの価値観でしかない。だからこそ、自分にとってのいい人は自分で決めるしかない。
人生の中でなんとなく私自身もそう思っていたけど、改めて考える機会をもらえた。
私にとっての「いい人」とはなんだろう。
私がなりたい「いい人」とはなんだろう。
とても素敵な言葉だと思った。
恋は実らなくても、自分の人生の中で確実に実っているものがある。
それは初めはつらいく受け入れられないものでも、後から「ふりかえれる」ということはそれだけで何かが実っているんだと思う。
今も昔も未来も肯定してくれる。そんな気がした。