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このお話はセファルディ歌手の岡庭矢宵さんに教えていただきました(※)。

矢宵さんが歌っていらっしゃるのは、シャブオットというユダヤ教の祝日に歌われる、シャブオートのためのピュートという音楽。

シャブオット???

これは、軽く調べただけですが、宗教的な位置づけとしては、エジプトから逃れてきたユダヤ教を信じる人達(サイトによって表記がバラバラなので)が、出発して7週目にシナイ山で神様から啓典を授かったことを記念しているそうです。

https://www.chabad.org/multimedia/video_cdo/aid/4757399/jewish/What-Is-Shavuot.htm

民間では、小麦が熟す時期と重なる収穫の祝いなんだとか。

この祝日に神様の教えを再確認することで、これから一年きちんと生きていこう、と気を引き締めるという訳ですね。

この歌をご紹介した理由はその逸話にあります。

その昔、この歌を歌っていたトルコのセファルディのラビ(※)たちは、ラマダンの時期、断食をしているイマーム(イスラム教の指導者)たちのために食事を用意して、断食明けには彼らをシナゴーグに招いて一緒に食事をした、という素敵な話がある。
"マフティリーム"と呼ばれた彼らの聖歌は、イスラムのスーフィー音楽から大きな影響を受けた。この聖歌もその一つ。今ほどこの歌の存在が大切な時はない。                 (引用:岡庭さんFacebook

(※)セファルディのラビというのは、スペインから追放されたユダヤ教徒の人々のうち聖職者を指します。冒頭の”セファルディの歌手”も同様にここで伝わる曲を歌う音楽家を指します。

つまり、ユダヤ教の聖職者がイスラム教の聖職者を招いて、自分達の祈りの場で歌を歌ってもてなしていた、というお話です。

為政者の書く歴史書には残らなくても、音楽に乗せて。

昔の人の心は歌い継がれています。


岡庭さん、有難うございました!

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