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十三機兵防衛圏は「ゲームならではのSF体験」が詰まっている天才的な傑作

先日、Nintendo Switchで『十三機兵防衛圏』をクリアしました。

めっちゃくちゃおもしろすぎる!もっと早くやればよかった!と思う素晴らしい大傑作でした。

「何がそんなにおもしろいの?」という問いに対してはたくさんの理由があるのですが、個人的には「ゲームでしか味わえない濃密なSF体験」が最大のおもしろさだと思ってます。

十三機兵防衛圏は、ロボット・怪獣特撮・タイムトラベル・異星人などなどSF要素てんこ盛りのゲームなのですが、

「SF群像劇をプレイヤー自身が物語の順番を決められる」
「物語・追体験・考察が一つのメディアできる」
「怪獣と戦うロボットを自分でカスタマイズできる」

という「ゲーム=プレイヤーが自分で操作するメディアだからこそ」の要素がバチっと噛み合った、映画やアニメ・小説の傑作とは別の味わい深さが魅力的でした。

ゲームが好きな人はもちろん、「SF映画やアニメは好きだけどゲームはやらない」という非ゲーマーのSFオタクたちにもぜひ遊んでみてほしい、と推しまくってます。
※もちろんゲーム好きにも1度は遊んでみてほしい!

そんな「十三機兵防衛圏」のゲームならではのSF体験の楽しさを、極力ネタバレなしで語りたいと思います。


十三機兵防衛圏とはどんなゲーム?

普段ゲームをやらないSFオタクにも遊んでほしい!という思いがあるので、「十三機兵防衛圏がどんなゲームか?」を超簡単に紹介したいと思います。

※十三機兵防衛圏の詳細なゲームレビューや考察は、すでに素晴らしいブログ・動画がたくさんあるので、あくまで概要だけ

十三機兵防衛圏の基本情報

  • タイトル:十三機兵防衛圏

  • 発売元:アトラス

  • 開発元:ヴァニラウェア

  • 発売年:2019年(PS4)2022年(Switch)

  • ジャンル:ADV、タワーディフェンス

  • クリア時間:筆者は30時間

十三機兵防衛圏の設定・物語(ネタバレなし)

十三機兵防衛圏は1980年代の日本を舞台に、13人の主人公たちが機兵と呼ばれるロボットに乗って怪獣たちと戦う…というお話です(ざっくり)。

といいつつ、実際には1980年代以外にも過去・未来の複数の時代が登場し、主人公たちの中にも1940年代、2025年代の人間がいたりします。

魅力たっぷりの13人の主人公たちが「なぜ1980年代の日本で機兵に乗って世界の滅亡を防ぐのか?」それは物語を進めていくとわかります。

ゲーム性:アドベンチャー・戦闘・アーカイブを行き来する

十三機兵防衛圏は以下の3つのモードから成り立っています。

  • 追想編(会話・探索などアドベンチャーパート)

  • 崩壊編(戦闘=タワーディフェンスパート)

  • 究明編(用語集やイベント集を見直すことができる)

街を襲う怪獣たちとのバトル(最終決戦=Now)がバトルパートで、その決戦前に起こった13人の主人公の物語を追想編で知ることができる…という感じで、バトルとアドベンチャーを行ったり来たりします。

その過程で、徐々に世界の真実やそれぞれが「なぜ機兵に乗って戦うこととなったのか」などが明かされていきます。

また、究明編は追想編・崩壊編で入手したり解放した用語やイベントをじっくり見ることができます。

十三機兵防衛圏はさまざまな時代・13人+ほかの重要人物たちの物語・怪獣や機兵などなど、多くの要素が複雑に絡みながら伏線回収していく構造になっているので「あれ、これ誰だっけ」「えーと、この人が言ってた○○ってなんだっけ?」となりがち。

その際に、用語集やイベント集でしっかり復習すれば「あーなるほど!」とつながることが多く、ある意味謎ときのような感覚でも楽しめる設計になっています。

古今東西のSF要素がてんこ盛り!

十三機兵防衛圏はSF好きならニヤニヤしちゃう要素がたくさんあります!

ジャンルを言うだけでネタバレになる可能性もありますが、E.T.などの名作SF映画、ゴジラのような日本特撮などなどさまざまな映画・アニメ・小説などのオマージュと思しきSF要素がてんこ盛りです。

異星人、未来人、怪獣特撮、ロボット、タイムリープやトラベル、人工知能やナノマシン…こういったものが登場するSF映画・アニメ・小説などにハマったことがある人なら、必ず刺さる要素があると思います。

以上が十三機兵防衛圏の簡単な紹介でした。

そして、ここからが本題。ただ「SF要素があるからおすすめだよ」という話ではなく「ゲームならではのSF体験」ができるからこそ、十三機兵防衛圏はおすすめしたい作品なのです。

十三機兵防衛圏で「ゲームならではのSF体験」がおもしろい3つの理由

十三機兵防衛圏の「ゲームだからこそ」楽しいSF体験には3つの要素・理由があると思ってます。

  1. SF群像劇を「自分の好きな順番」で進められる

  2. アーカイブ・資料集を物語が終わる前からいつでも見られる

  3. 「機兵(ロボット)」を自分でカスタマイズして怪獣と戦える

順番にみていきます!

SF群像劇を「自分の好きな順番」で進められる

個人的には十三機兵防衛圏の最大の楽しさである「13人の主人公たちの物語=群像劇」がゲーム体験としてかなり優れていると感じました。

十三機兵防衛圏はある程度、時系列や縛り(このミッションをクリアしないと先へ進めません)はあるものの、「どの主人公の話を今日は遊ぼうかな?」とプレイヤーの意思で順番や進め方を基本的に選べます。

例えば、あるキャラで怪しい未来のロボットとエージェントが出てきたら「そういえば違う主人公でもこいつらいなかったか?」と思いだし、今度はそちらの主人公の物語を進める…といった具合です。

この「群像劇を好きな順番に遊べる」っていうのはまさに「ゲーム的体験」なのかなと思います。

映画や小説って(当たり前ですが)作者が提示した通りに物語が進んでいき、受け手はそれを順番に見ていくわけですね。

僕も映画や小説は好きなので、観続けたり読み進めていくうちに伏線がどんどん回収されてめちゃくちゃおもしろくなる…という素敵な体験を何度もしたことがあります。

十三機兵防衛圏ってネタバレなしに語るのがやや無謀と思えるくらい、
タイムトラベル・ループ・宇宙・ナノマシンに人工知能などなど様々なSF的展開が複雑に絡みつつも、徐々にアッと驚く衝撃的な世界の真相が明らかになる…という天才が作ったの?としか思えない物語になっています。

それを多少の縛りやルート制限はあるものの、自分の好きなキャラや話から進めてもきれいに伏線回収されていく…というスゴ技な展開は、プレイヤーが能動的に物語を進めていく「ゲーム」というプラットフォームだからこその快感がありました。

逆にいえば、この「好きな順番で進めても誰もがアッと驚くSFもの」を映像化・漫画・小説にするのは極めて難しいだろうな…と思いました。

アーカイブ・資料集を物語が終わる前からいつでも見られる

十三機兵防衛圏の優れたゲーム性として「究明編」という用語集やイベント集がいつでも見られる仕様になっていることです。

例えば、アドベンチャーパートで登場した人物やゲーム内の専門用語について、後から振り返り復習できます。

あるいは、物語の途中で得た知識やイベントをいつでも振り返りながら「つまりあいつの正体は・・・?」みたいな考察や妄想も完結前から捗りやすいです。

映画や小説は「鑑賞が終わってから考察や妄想をする」「設定資料集はパンフレットを別途買う」というのが一般的ですが、十三機兵防衛圏の場合は「完結する前から資料集をいつでも見て整理できる」というのがSFが好きな人にはたまらない仕様だと感じました。

もちろん、考察に直接関係ないことでも、例えば出てくる怪獣の設定を眺めて「こいつウルト〇マンに出てくるあの怪獣のオマージュやん」とかニヤニヤできるメリットもあります。

未来の世界の主人公にとっての思い出のお店や食べ物の設定も細かく描かれているので、本編で直接語られない背景や人物像に思いをはせながら、気づいたらめちゃくちゃ感情移入しちゃっている…という構成も見事です。

他の映画や漫画で補完する必要がない、ゲーム単体でこれほど設定資料がいつでもプレイヤーが見たり考えたりできるのも十三機兵防衛圏ならではの体験です。

「機兵」を自分でカスタマイズして「怪獣」と戦える

最後に「機兵のカスタマイズ」の魅力についても、特にロボット物や怪獣特撮物が好きな方にはぜひ知ってほしいところです。

今作はちょっと癖のある「タワーディフェンス」という形での戦闘があります。

ミッションによりますが、1戦闘につき4~6人くらいの機兵を出撃させ、RPGみたいに「技」「移動」をボタン(コマンド)で指示して戦いを進めていくモードです。

このタワーディフェンスのおもしろさについては、もっとコアゲーマーの方々がブログ・動画で素晴らしいレビューをたくさん出していますので、ここではカスタマイズについてのみ触れます。

「俺だったらこの怪獣とこう戦うのに」みたいな妄想をウルトラマンやゴジラを見て思ったことはないでしょうか?

十三機兵防衛圏は第1世代・第2世代・第3世代・第4世代と4つのタイプの機兵がいて、それぞれ「短距離パワー戦が得意」「ミサイルで遠距離砲が得意」みたいな特色があります。

そして、同じ第1世代でもAくんとB君によっても覚える技や特技が異なるため「よし、この主人公はこの技を覚えさせて、その代わり兵装を厚くして防御を高めていこう」「この怪獣が出てくるからこのミッションは誰それで行くか」みたいな作戦立案が面白いです。

個人的には怪獣特撮物が子どものころから好きなので、怪獣と戦う機兵をどう強くするか?誰をどんな風に育てるか?はめちゃくちゃ楽しい要素で「科学特捜隊」にでもなった気分でした(笑)

最後に:SF好きならゲームをやらない人にも遊んでほしい

今回は十三機兵防衛圏のゲーム的SF体験について、おもしろさを語ってみました。

十三機兵防衛圏は古今東西のSF要素がてんこ盛りで、それだけでもSF好きならそそられる面白さがありますが、何より「自分で操作して物語を進めていくゲーム」というプラットフォームならではの楽しさが満載でした。

いわゆるゴリゴリのアクションやシューティングみたいなテクニックを求められるゲームじゃないので、普段ゲームやらない人にも気軽に遊んでみてほしい、そして十三機兵防衛圏がもつSF沼に一緒にハマろうじゃないか!という思いで書いてみた次第です。

稚拙なレビューというか紹介記事で恐縮ですが、本記事をもって一人でも十三機兵防衛圏に興味を持ってくれる人が出てくださったら、これ以上うれしいことはありません。


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