【著作権の基本8】他人の著作物を利用するには ②引用の基本と正しい利用法
引用のルールについてはちゃんと覚えておく必要があります。
一般的な言葉で言うところの「引用」と、著作権法でいうところの「引用」は多少違いますが、困ったらとりあえず「引用」と言っておけば大丈夫という都市伝説もあるくらい、この世界では多用されています。
「正しい知識を身につければ創作が楽になる」の記事にはこんなことを書きました。
どこが引用されているか明確に分かれていて、引用されている部分が、あなたが創作する著作物全体のボリュームに対して量が少なく、作品名と作者の名前がはっきり書いてあれば、まあ大丈夫でしょう。
具体的にはどんな感じで引用をしていくのでしょうか。先ほど触れた要件について満たすことが必要なんですが、具体的に最低限やっておいてほしいことを詳しく説明しておきます。
■どこが引用で、どこが引用じゃないかを区別する
引用が認められる要件について、「b 引用部分と自己の著作物の区分が明瞭であること」と書きました。引用部分とそれ以外の部分が区別されている必要があるということです。
区分の方法は、カギ括弧(「 」)でも、クオーテーションマーク(〝 〞)でもよいので、引用部分を特定することが必要です。
■誰がもともと作ったのかはっきりさせる
同じく引用が認められる要件について、「e 必要な場合に出所を明示すること」と書きました。できる限り、著作権者の表示をしておく必要があります。いわゆるⒸマークはここで使いましょう。Ⓒの「C」はCopyrightの頭文字です。
■もともとの制作物がどこに載っているのかはっきりさせる
「e 必要な場合に出所を明示すること」として、書籍なら、本のタイトル、インターネットから拾ってくる場合には、もともとのアドレスを載せましょう。
■画像そのものや、「画像埋め込みリンク」を載せるときは要注意
画像そのものや、「画像埋め込みリンク」を載せることについては要注意です。これらの利用については引用の範囲を超えてしまう判断がなされる可能性があります。
実際、世の中の「キュレーションサイト」には、引用の名のもとにこうした利用形態を取ったものもあります。いわゆる「直リンクOK」ルールです。しかしながら、これらの利用形態は引用の範囲を超え、すでに画像そのものの利用に該当するとも言われてきていますから、注意がとても必要です。
■引用は万能なようで万能ではない
実際の紛争例では、「引用」の名のもとに無断転載、無断使用を行う事例がやみませんし、それが原因で炎上する事例も見てきました。
ですので、引用を行う際には、とにかくひたすら丁寧に行っておく必要があります。引用は万能なようで万能ではないのです。
ということで、下に引用の要件を満たす記述例を載せておきます。「そもそも著作権が切れている作品の引用じゃん!」ということはさておき、こういうときの例示はわかりやすいほうがいいですもんね。
要件を満たす引用の例
▼出典
『駆け出しクリエイターのための著作権Q&A』
(川上大雅・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資
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