【独立する前の基礎知識3】個人事業主とサラリーマンの違いは何?
Question
現在、デザイン事務所で働いています。サラリーマンとして会社に勤務している形ですが、独立すると、今の状態と何が変わるのでしょうか?
Answer
サラリーマンとフリーランスとの大きな違いは、会社のために働くか、自分のために働くかにあります。サラリーマンは、会社に拘束されることと引き換えに、いろいろな面で会社に守られています。一方、フリーランスは自由を得る代わりに、自分自身で生活を守る必要があります。
まず、サラリーマンとは何かを簡単に説明しておきます。いわゆる「正社員」として働いている方を前提とします。サラリーマンは、会社との間で「雇用契約」を結ぶことになっています。
最初に入社するときに、雇用契約書にハンコを押しているはずです。正社員には、契約上いつまで働くという期限がありません。会社をサボったり、お金を横取りするなど悪いことをしたら別ですが、普通に働いていれば、定年まで働くことができます。
会社としては、正社員として採用する以上、定年まで働いてもらう前提で雇うのです。普通の会社であれば、通勤手当も出ますし、社会保険にも入れてもらえます。仕事机も用意されていますし、会社の経費でパソコンや文房具も買ってもらえます。
退職すれば、退職金がもらえるなど、いろいろな面で生活が保障されています。とはいえ、雇われる側は、どうしても会社よりも立場が弱いので、「労働基準法」という法律で守られています。
皆さんが普通に働いていれば、会社は勝手に解雇できません。業績が悪くなるなどやむを得ない事情で、会社側の都合で退職してもらう場合は、30日前までに事前予告をするか、30日分の手当を払わないといけない、といったように、サラリーマンは法律でも守られているのです。
さらに、この「労働基準法」では、勤務時間の上限も決められていて、原則として週40時間以内、1日8時間以内となっています。これを超えないように、会社はそれぞれ自社の勤務時間を決めています。これを「所定労働時間」といいます。
この所定労働時間を超えて働くと残業となり、別途残業代を払わないといけません。残業時間の制限も決められていますが、これを守らずに社員を長時間働かせていると、「ブラック企業」と呼ばれてしまいます。
一方で、フリーランスとして独立すると、税務上は「個人事業主」と呼ばれて、いわゆる1人の「経営者」として扱われます。時間も、仕事も、お金も自由になる反面、誰も守ってはくれません。自分で仕事を見つけて、仕事をする場所を確保して、お金のことも自己管理になります。
いまのお金のやりくりだけでなく、仕事を辞めた後の将来のお金もこともしっかりと考えておかなければなりません。独立を検討するにあたり、まずは心構えとして、サラリーマンとの違いをしっかり認識しておきましょう。
▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資
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