【独立する前の基礎知識2】独立するってどういうこと?
Question
現在は写真撮影の会社に在籍しています。フリーランスとして独立すると、営業をしなくてはいけないし、経理的な作業もあると聞きます。大変そうなのですが、何かいいことはありますか?
Answer
独立したら、フリーランスとして3つの「自由」が手に入ります。「時間」と「仕事」と「お金」の自由です。これらを上手にコントロールすることで、フリーランスとしての生活を成功に導くことができます。
独立すると、まず自由になるのが「時間」です。フリーランスになると、日々の過ごし方を自由に決めることができます。ただ、人間は弱いので、つい面倒なことを後回しにしてしまいます。
小学生の夏休みに、1日の時間割を作らされた経験はないでしょうか。自由な時間を有効に使うためには、「自律」(セルフ・コントロール)が必要なのです。
日々の仕事だけで精一杯にならないように、将来の仕事を増やすための営業・マーケティングに使う時間や、新しい作品を作るためのアイデアやテクニックを養う時間も確保しておかないと、せっかく独立したのに、仕事が先細りになってしまいます。
2つ目は「仕事」の自由です。いろいろな条件の仕事の中から、自分で引き受けるかどうかを決めることができます。独立したばかりで、ほとんど仕事が無い時期は、単価が安い、納期が短い、といった条件が悪い仕事でも引き受けざるをえません。
でも仕事が増えてきて、作品も評価されてくると、条件が良くて、自分にとってやりがいのある仕事を優先的に選ぶことができます。
これは独立することの大きなメリットです。一生楽しくクリエイターを続けるためには、安易に誰でもできる仕事を引き受けずに、自分の活動に沿った仕事を意識的に増やしていくことが大切です。
3つ目は「お金」の自由です。独立すると、自分が「経営者」ですから、仕事を増やして収入が増えれば、自分のもうけになります。アシスタント時代では得られなかったような高収入も、現実のものになるかもしれません。また、収入を何に使うかも自分で選べます。
仕事道具を増やすのか、新しいスキルを身に付けるための研修費に充てるのか、人を雇うのか、新しい取引先との交際費にするのかなど、自分のサイフを自由にコントロールすることができます。
これら3つの「自由」を、同時に達成するのは難しいですが、限られた時間の中でどうやっていい仕事を増やしていくか、そして目標とする収入をどのように達成するかを、上手にコントロールしていくことがとても大切です。
そして、自由には「競争」が伴います。プロスポーツの世界を想像していただきたいのですが、世界中のアスリートが、誰よりも強くなろうと日々努力をしています。
自由な人が多い分野では、その裏返しで、競争が激しくなります。
クリエイティブの分野でも、中国などアジア諸国の優秀な人材が大量に参入して、デジタル化も進んでくると、きちんと差別化していかなければ、あっという間に競争に負けてしまいます。結果がうまくいかないと「経営者」として責任をとることになり、せっかくの「自由」が失われてしまいます。
「自由」を楽しみながら、「自律」をしっかり意識していくことが成功の鍵なのです。
▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資
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