【開業するために必要なこと3】事業計画の立て方を教えて!
Question
今まで制作中心に活動をしてきたので、いきなり「事業計画」と言われても、どこから考えればいいのかわかりません。何かとっかかりとなるヒントをください。
Answer
自分なりに考えをまとめつつ、同業の先輩や各分野の専門家にも相談してみましょう。独立のイメージを具体的な計画に落とし込むことによって、着実に開業準備を進めることができます。
「独立開業するにはまず何をすべき?」で説明したように、独立開業するためには、事前にしっかりとした事業計画を作ることが重要です。
銀行からお金を借りたり、国や自治体から助成金をもらうためには、10ページ以上の詳細な事業計画書を作成しますが、クリエイターは自己資金+αでスタートできる方が多いので、最初から正式な事業計画書を作る必要はないと思います。
しかし、このタイミングで、おおまかにでも事業計画を考えてみることには、たくさんのメリットがあるのです。これまでの制作活動を振り返りながら、自らの強みや弱みを分析したり、将来どの分野で活躍していくのかといった方向性を、この機会に考えることは、クリエイターとして活躍していくために、極めて重要なプロセスだと思います。
独立することは、1人の「経営者」になるということです。そして「経営者」としての初めての仕事が、事業計画を作ることなのです。これから経営者として、自分という「従業員」を解雇することなく、給料を払い続けなければいけないのです。
「経営者」というと大げさに聞こえますが、最初のうちに「従業員」よりも高い視点で仕事の方向性を考えておかないと、これから山あり谷ありの仕事の中で、対応がブレてしまいます。
独立する前に、何を目指して事業を始めるのか、自分のスキルをどのような分野で発揮していくか、どのようなクライアントを増やしていくかなど、明確にしておくことが大切です。
事業計画の中で、具体的に検討しておきたい事項は、下のの表の通りです。自分のこれまでの活動実績やスキル・経験を改めて見直すことから始めて、独立の動機や目的を再確認して、事業の内容や営業方法、収支計画、資金計画、全体のスケジュールなどを文章や数字に落とし込んでいきます。
事業計画の主な記載内容とポイント
これらの項目を、1つずつ具体化していくためには、相応な時間がかかりますし、自分1人だけではいいアイデアが浮かばないことも多いです。理想的には、会社を辞める3か月くらい前から、各項目の内容を具体的にしていく作業を始められるといいと思います。
ただ、いきなり考えよう、と言われても、なかなかハードルが高いです。まずは、周囲で先に独立した先輩や友人に会って話を聞くことです。この本でも各分野で活躍しているクリエイターの先輩方にインタビューをしていますが、参考になるお話をたくさん聞くことができました。ぜひ皆さんも、できるだけ多くの方に会って相談してみてください。
さらに、私のお勧めは、自治体の創業支援窓口を利用することです。ここ数年で、国や自治体のレベルで、独立開業する方やフリーランスを支援する動きが高まっています。
例えば、東京都は、「TOKYO創業ステーション」という支援活動を行っていて、事業計画書の作成に関するアドバイスを無料で受けることができます。アドバイザーには、さまざまなバックグラウンドの方がいて、気軽に相談できるので、一度利用してみるのもいいと思います。
私も相談に行ってみましたが、広告代理店出身の方との面談を通じて、違った視点からアドバイスをもらえたことで、計画をブラッシュアップすることができました。
また、お住まいの市区町村にある役所や商工会議所といった公益団体でも、独立開業のためのサポートや、事業計画に関する無料セミナーを開催しているところが増えています。
中小企業庁が運営する「ミラサポ」や、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する「TIP*S」(ティップス)というウェブサイトでは、創業や起業をしたい方や、中小企業や小規模事業者の経営者をサポートするための情報が掲載されており、メルマガも発行しているので、ぜひ利用してみましょう。
▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資
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