【著作権の基本7】他人の著作物を利用するには ①許諾や譲渡を受けよう
ということで、何だかいろいろ説明をしてきましたが、著作物を利用するための原則をまとめてみようと思います。
■許諾・譲渡の内容を明確にする
繰り返しになりますが、著作物利用の許諾を得る場合は、あとでもめないように、なるべく文書で、その利用の仕方、許諾の範囲、使用料の額と支払い方法などを確認しておきましょう(口頭でも可)。著作権を譲り受け、自らが著作権者となることもできます。
■許諾を受ける先は著作権者から
著作権者が誰かについては調べられるものと調べられないものがあります。
JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会・以後、ジャスラック)という名前を聞いたことがあるかもしれません。
ジャスラックは、音楽の著作権を管理する団体です。他のジャンルの著作物も、こうした著作権管理団体があることで、著作権者からの許諾を得ることが簡単になることがあります。
管理団体がないものは……どうしましょうね。
探すしかないんです。これ、大変です。探しても見つからない場合には、「裁定」を受けることで使用できる場合があります。
作った人が見つからないときには?
著作権者が見つからないということがあります。許諾は大事だと学びましたが、せっかく許諾を得ようとしても、「誰が作ったかわからない」「どこにいるのかわからない」「亡くなってしまっていて、相続人がわからない」等の理由で許諾を得ることができない場合があります。
このような場合に、権利者からの許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより、適法に利用することができます。これを「著作物の裁定制度」と呼びます。
「通常の使用料額」でいいので、予期しない多額の金額を支払う必要がなくなりますし、侵害リスクも回避できることになります。
制度の対象となる著作物は、権利者もしくは権利者の許諾を得た者により公表され、または相当期間にわたり公衆に提供等されている事実が明らかである著作物、実演、レコード、放送、有線放送です(第六十七条第一項、同第百三条)。
いろいろなパターンが考えられますが、いわゆる「童謡」や地域に伝わるイラスト、物語は右記に含まれることがあります。裁定制度を受けて使われたものについては、データベースに掲載がされていて、例を見ることもできます。
【文化庁 裁定実績データベース】
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/chosakukensha_fumei/saitei_data_base.html
権利者が見つかっていなかったり不明ということは、訴えられたり何かしらを言われる相手方がいないということでもあります。そしたら別にそういうことをしなくてもいいんじゃ……的な発想にもなりますが、不慮の事態が発生することもあります。突然遺族が現れたりして大変なことになる場合もあります。ちゃんとしておくのがいいと思います。
書式も掲載されています。手引を見ながら行えば問題なく理解ができるかなと思いますので、適宜利用してみましょう。
▼出典
『駆け出しクリエイターのための著作権Q&A』
(川上大雅・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資
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