【独立する前の基礎知識1】独立するってどういうこと?
Question
師匠のもとで培ってきたスキルを生かして、独立したいと考えています。でもそもそも「独立する」とは、どういうことなのでしょうか?
Answer
「独立する」とは、自分1人でビジネス(仕事)を始めるということです。ビジネスで成功するためには、「経営者」と「従業員」という役割を、1人2役でバランスよく演じていくことが大切です。
これから独立を考えている方は、現在は、会社や事務所など、どこかの組織に属しているという方が多いと思います。
組織に属している以上、会社の上司や事務所の先輩などから指示されて、その指示に従って、仕事をすることになります。いつまでに、と納期を指示されて、それまでに与えられた仕事を完成させます。
決められた時間内に、与えられた作業をすること、これが「従業員」としての役割です。
これだけでも大変、という方もいると思いますが、独立するとなると、もう1つの「経営者」としての役割も果たしていかなければいけません。
「経営者」には、いろいろな役割がありますが、一番大切な役割は、「長期的な戦略を考える」ことです。戦略といっても、それほど大げさなことではありません。個人で独立する場合は、「クリエイターとして活動を続けるために、これから何をすればいいか」を考えるということです。
「長期的」といっても、これだけ世の中の動きが早くなると、10年後、20年後のことは誰にもわかりません。そこで、一般的な会社では、まずは次の3年間で何をすべきかを考えて、「中期計画」を立案します。
そして、会社を取り巻く環境の変化に応じて、計画を見直していくという柔軟な対応をしています。
クリエイターの皆さんにとっても、会社と同じように、3年後にどのような分野で活躍したいか、どんな作品を作って、どんな相手と取引をしているか、そしていくら収入をもらっているかといった、目標やイメージを持つことが大切です。これが「経営者」としての視点です。
「経営者」は、他にもいろいろな役割を担っています。新しい分野で仕事を見つけることや、お金のやりくりや税務申告、人を雇ったら人事管理や給与支払、広告宣伝や営業などさまざまな仕事があります。個人であっても、クリエイターとして独立して、長期的にビジネスを続けていくためには、こうした役割も必要なのです。
とはいえ、飲食店や小売店など、他の業種と比べると、クリエイターの皆さんはずっと楽に独立できます。店舗や在庫を持たないので、初期費用も少なくて済みますし、当面は従業員も雇う必要はありません。クリエイターは、金銭的なリスクが小さいのです。
それでも、一生クリエイターとして活動していくためには、「経営者」としての最低限の知識とノウハウが必要です。皆さんの独立が成功するように、さまざまなQ&Aを紹介していきます。一緒に学んでいきましょう。
▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資
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