全員が発揮すべきリーダーシップ(宇宙兄弟「完璧なリーダーは、もういらない(著/長尾彰)」
「宇宙兄弟」に登場する六太がモデルとなる「リーダーシップ」についての本です。
本書ではタイトルにもある通り、完璧な「賢者風リーダーシップ」ではなく、「愚者風リーダーシップ」を推奨しています。賢者=優秀なリーダーですが、優秀がダメというわけではなく、優秀ではなくとも良いという内容です。
愚者風リーダーシップのモデルが、宇宙兄弟の六太ですが、六太はリーダーではありません。(*33巻で、月に残るときにBチームコマンダーになってますが、)メンバーとしてリーダーシップを発揮しています。
リーダーシップの役割は、「目標達成機能(Performance function:P機能)」と「集団維持機能(Maintenance function:M機能)」の2つの機能があります。六太は、目標達成機能のために、自らのWant(vision)を提示します。そして、集団維持機能として、コミュニケーションをとり、また集団のなかに敵を作りません。
そうやって聞いていると、たしかに六太は様々な場面でリーダーシップを発揮しています。
とにかく六太は、どんなときでも一貫して敵を作りません。相手が六太を敵(ライバル)と認識して挑んでくることはあっても、当の六太自身は、その人をまったく「敵」と見なしていないのです。まさに「無敵」です。これは、六太のすばらしい部分だと思いますし、六太を敵視していた人間が、やがて彼を認めてしまうのも理解できます。
引用:宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない 第一章 どんな人でもリーダーになれる
また本書を読んでいて、大きな学びが2点ありました。
まず、チーム内におけるコミュニケーションについて、コミュニケーションを「集団の中での情報の流通」として定義し、「相手を観察すること」も情報の流通 として重要だと説いています。
情報をどう流通させるかという視点は、会話や、社内wikiやSNSなどで情報を発信する点を考えてしまいがちですが、「チームメンバーを観察して自ら理解すること」をコミュニケーションと考えさせられる点が多くありました。
一般的に「コミュニケーション」と言うと、双方向でのやりとりをイメージすると思いますが、僕は、コミュニケーションとは「集団の中での情報流通」だと考えています。ですから、ただおしゃべりしている時間のことだけを指しているのではなく、相手を知ろうと観察することも、1つのコミュニケーションなのです。
引用:宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない 第二章 愚者風リーダーシップのススメ
次に、ヒエラルキー型とネットワーク型のチームにおける重要な点が書かれているのですが、
・ヒエラルキー型は、愛情や信頼が重要
・ネットワーク型は、規律と秩序が重要
これは、それぞれの組織形態で失敗する要因になりやすいものをあげています。
ヒエラルキー型は、規律や秩序は生まれやすいですが、だからこそ、信頼関係が必要になってきます。信頼関係がないヒエラルキー型の組織では、指示命令に対してモチベーション高く実施することが難しくなります。
またネットワーク型は、個人で判断して行動はしやすいですが、だからこそ、秩序が必要になります。全員が自由になってしまった場合に、誤った行動をしないように最低限の管理やルールが必要になります。
コミュニティのような自発的に集まったネットワーク型では、自由だからこその規律と秩序を得る必要があり、会社組織などのヒエラルキー型は秩序があるからこそ、愛情や信頼が重要になります。このあたりは、バランスになると思いますが、それぞれかけているものをいかにうまく補っていくかが重要だと思いました。
ヒエラルキー型とは階層構造になっていて、ピラミッドのように下にいけばいくほどメンバーの数が多くなり、上にいけばいくほどメンバーの数は少なくなります。1番上は、CEOや代表取締役などの役職が一般的。トップによって物事が決められ、トップダウンにより下が動いていくイメージです。
ネットワーク型は、複数の自律したチームが同じ階層上で網の目のようにつながっている形態です。情報や物事が上から下に流れるのではなく、それぞれのチーム内で決めた指針に沿って進んでいきます。
引用:宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない 第三章 自分らしいリーダーシップを発揮するコツ
本日の1枚のまとめ