アウトプット

【1日1冊】新しい組織の処方箋/OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める(著)北野唯我

こんにちは。

本日は、「OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める(著)北野唯我」を紹介します!

北野唯我さんの著書は、「天才を殺す凡人」「分断を生むエジソン」を読んでおり、3作品目です。今回は小説形式ではありませんが、非常に読みやすく示唆の多いビジネス書でした。

組織の重要性が相対的に高くなる

タイトルにもある「オープネス」とは、情報の透明性や、戦略のクリアさ、経営者の自己開示正のことです。いかに風通しの良い組織化どうかということらしいのですが、現在の日本の組織運営では非常に重要な要素となっているとあります。

本書は、「オープネス」≒ 組織力 が事業の長期的な成長に影響が大きいと説いていますが、長期的な成長に、大事なのはあくまで事業。しかし、現在は事業の変化スピードが早く、事業をピボットする局面も多々あります。そのピボットに対応するためには、組織力が重要になるとあるのです。

言い換えると、経営は「事業」や「場所」だけではなく、「組織」へのコミットメントが相対的に重要になった、ということだ。そして前述の通り、この時代、事業の移り変わりは激しい。よって、経営者は組織へのコミットメントを以前より強化しない限り、事業のピボット(方向転換)に対応しづらい。
引用:北野 唯我. OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める (Japanese Edition) (Kindle の位置No.309-312). Kindle 版.

良かれと思って情報を隠匿される「白い嘘」

オープネスは、組織が悪化する際に、いち早く察知することのできる「組織のカナリア」としての役割があるといいます。これは、組織に「変化」が起こる際に、一番最初に起きることが「オープネスの変化」だからです。

これは事業の「停滞期」や「衰退期」のスタートアップが急成長が終わった時期の経験と一致するものがあります。

たとえば、本書の中に事業、組織に何らかの問題が発生したときに、マネジャーが ありのままを "あえて言わない" ことを「白い嘘」と言います。これは悪意のある嘘を「黒い嘘」とした場合に、よかれと思って情報を伝えないという選択をしたものです。

これは、私が経験してきた数社のIT企業で、事業が停滞した際には、ごくごく普通に発生していました。経営者やマネジメントレイヤーは、まさに「この情報をメンバーに伝えると、動揺してしまう、迷ってしまう、だから、これは伝えないようにしよう。

そして、情報を制限することで、マネジメントの言葉は信頼されなくなり、マネジメントの声は届かなくなっていきます。結果、組織の士気が低下していくことになっていきます。

「オープネスの変化」を活用する 新しい組織の処方箋

本書では、この「オープネスの変化」を察知し、組織が弱体化を検知し、状況にあわせて「①予防」「②早期治療」「③手術」として施策を整理しています。

「①予防」は、オープネスが悪化したときに迅速に改善し悪化するために手を打つこと
「②早期治療」は、事業・組織が悪化するのを悪化しきってしまうまえに食い止めるということ
「③手術」は、悪化してしまった状態を、金や人の流れをコントロールすることで体質改善をすること

「早期治療」の施策として、①白い嘘をつかないこと、②これからの未来となる道筋を描くこと をあげられています。

これは私の経験でも、マネジメントだからこそ実行することがとても難しいと感じます。①と②は、現在の失敗を偽りなく開示し、この先の事業の新しい展開を理解してもらう必要があります。

これは、ただきれいに戦略をスライドに整理し、説明しただけでは効果はありません。まず、組織が悪化している状況ではメンバーからの信頼を得ることができないというのは想像にやすいと思います。繰り返し説明をし、納得してもらうことも重要ですが、マネジメントが、偽りなく失敗も含めて情報開示するというのは、メンバーからの信頼を失うリスクもあるため、恐ろしいと感じると思います。

組織が100人、200人でも、メンバーがどう感じるかを推し量るのは難しいので、1000人以上になると、実行することは精神的にも相当にストレスになるのではないかと思いました。
しかし、ここで明確にどう対応するべきかをまとめてくれています。あとは経営者、マネジメントがこの事実に従って動けるかどうかが問われているなと感じました。

本日のメモ

オープネスとありますが、これは新しい組織の処方箋になると思いました。非常に読みやすいながらに示唆が多くありました。ありがとうございました。


支援は、コミュニティ研究の取材、サービス開発などに費用にあてさせて頂きます。