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【読書】「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント

よく耳にする「個人の時代」という言葉では、次の2つのことが語られています。1つ目は、終身雇用の崩壊や副業の解禁などの雇用の変化していることを受けて、「個人として市場価値を高める必要がある」という社会的背景の話。2つ目は、SNSやクラウドソーシング、スキルシェアなどのサービスにより「個人での仕事がやりやすくなった」という土壌が整ってきているという話。

上記の流れから「個人の時代」=フリーランスとして働くべき。というコンテンツも多くありますが、行き過ぎた結論だと思います。個人と組織を比べて、組織の力を活用すれば、市場価値を高め、自分がやりたい仕事を生み出すことも可能だと感じています。

本書、「「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント(著)仲山進也」は、自らがキャリアを作っていかなければならない「個人の時代」における会社員のロールモデルとして参考にります。


組織にいながら自由に働くトラリーマン

本書では、組織にいながら自由*に働きながら、高いパフォーマンスを発揮する人を「トラリーマン」と呼称しています。トラリーマンは、組織の資産を活用しながら、自分の使命を優先して活動することができます。

フリーランスとして働いていると組織の柵はありませんが、組織としての力(人・金・モノ・情報)がありません。トラリーマンは、フリーランスとしての自由さと、会社員としての組織力を存分に生かした、最強な働き方の一つだと思いました。

*ここでいう「自由」とは、「自分で考えて動く」といことであって、わがまま放題にやるという意味ではありません。

本書では、組織に所属している場合の働き方の4タイプをまとめています。

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参考)amazon 商品ページ

上記図のタイプは、下記の2軸で分類されています。

・何に従って行動するのか
・パフォーマンスの高さ

タイプごとに4つの動物で表せれています。
・組織に忠実で、パフォーマンスが普通なイヌ
・群れを統率し、パフォーマンスが高いライオン
・自分に忠実で、パフォーマンスが普通なネコ
・社命より使命を優先し、パフォーマンスが高いトラ

私の経験ですが、スタートアップやベンチャーなどの小さい組織は、ネコやトラが多かったと思います。会社としてモデルが確立できておらず、マネジメントもあまりないなか成果を出すために自分で考え行動する必要があるため、結果として、ネコやトラになることができたと言えるかもしれません。

ネコからトラになる方法としては、「組織にいながら、自由に働く(著)仲山進也」で紹介されている「加減乗除の法則」が本書でも紹介されています。


トラリーマンの共通特性


本書では、トラリーマンの共通特性として下記を上げています。

【組織のトラの共通特定】
①社名よりも使命で動く(社内で浮いている)
②「レールから外れた経験」などの「痛みを伴う転換点」がある
③突出した成果と個性がある(お客さんの一部に熱狂的なファンがいる)
④経営層に理解者(庇護者)が存在する
⑤1人で全部やる「一気通貫型」の仕事をした経験がある
⑥群れに組み込まれるのがニガテすぎる
⑦異種のトラ(ベンチャーのトラ、ヤンキーのトラ)仲良くなれる
⑧社外の人とチームをつくっている
⑨人をつないだり、自走支援の活動をしている
⑩展開型キャリア(運ばれるキャリア)で活動が広がっていく

*引用)「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント

トラの共通特性やトラリーマンの紹介をみて感じるのは、「個人でも十分にやっていける」という点でした。たとえば、社名よりも使命で働き、自ら社外の人とチームを作ることのできるトラリーマンが会社に所属する理由は自分だとできないことを会社にやってほしいということではないと思います。

安定のためではなく、自分が個人でやるよりも大きな成果を出すために、会社の資産を活用することができるから組織に所属しているとしか考えられません。

強みの判断基準

本書では、「強みの旗が立ったかどうか」の判断基準を紹介しています。

「本を一冊分かけるかレベルか、ひとつのテーマで2000字分の記事のタイトルを50個書き出せるかどうか」とあります。

このひとつのテーマで、2000字分の記事を50個かけるレベルというのは、かなりのレベルです。自らがアウトプットしようとすると、ネタがつきたり、同じ内容になったりします。

ひとつのテーマで、それだけの記事種類をアウトプットできるというのは、多くの経験をしつつ、その経験を内省し、たとえば、再現性ある形で整理できる必要があります。

これは、結果論として、強みの旗が立っている人(トラリーマン)は、これくらいのことができるだろうという話から来ていると思いますが、強みを身につけるために、自らがテーマを探すために、自らの強みを定義し、深堀りし、色んな切り口で見ていくというのは強みを作るために有効な作業ではないかと思いました。

これからの「個人の時代」にぴったりな組織の人の本だと思いました。


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