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ももいろのきりん
幼い頃、本を読むのが好きだった。
母が揃えてくれたたくさんの本たちは、今思えばほるぷ出版のシリーズだったのかな。
「ひとまねこざる」「ちいさいおうち」「はなのすきなうし」「エルマーのぼうけん」…覚えるほど何度も読んだ。
中でも一番のお気に入りの一つが「ももいろのきりん」だった。
絵を描くのは苦手だった私は、りりこの描くきりんが生き生きと動き、濡れてもまた蘇るさまに、上手に絵が描けたらなあと思いながら読んだものだ。
その作者中川李枝子さんが亡くなった。
大人になって教職につき、子どもたちに人気の「ぐりとぐら」シリーズの作者が「ももいろのきりん」と同じ人だと知った。「ぐりとぐら」は1963年刊行なので私が子どもの頃からあったはずだが、私はまったく知らなかったことにも驚いた。
作画家の妹 山脇百合子さんが亡くなった時にも寂しい気持ちになったけれど、中川さんの訃報を聞いて今度こそ本当にこれらの作品とお別れなのかという気がした。
私が育った本たちの作者の多くはこの世を去り、子どもたちを育ててもらった作者も次々といなくなっている。その度にとても寂しい気持ちになるが、作者はいなくなっても作品はなくなることはない。
よい作品がずっと出版、再版してもらえることを心から願う。
私が育ててもらった本たちは、残念ながら今は一冊も手元にない。中学生になった頃だったろうか、母が部屋に来て「もうこの本いらんじゃろ?〇〇(子育て中の他県の親戚)にあげるよ!」と言った。「えー?」と反論したものの「置いといてどうするん?」といつの間にか送られてしまったのだ。
その時はさほど喪失感はなかったのだけれど、子育ての時期になり、あの時の本があったら…(子どもとあの気持ちを共有できたのに)と何度も思ったものだ。
今でもその気持ちは心の底にあるけれど、断捨離を始めなければと考え始めたこの頃、あの本がないことは良かったのかもしれないという気もしている。
我が子のために揃えた「ぐりとぐら」シリーズを、今は孫のリクエストに応えて(もっぱら夫が)繰り返し読み聞かせている。
私のコレクションは古い本が多いのだが、それらを「読んで読んで」と何度も持ってくる様子を見るにつけ、いい本はいつまでも愛されることを実感している。
孫たちに「読んで」と言ってもらえるうちはまだまだ処分できそうにない。そして、実はお気に入りの本屋さんができてしまって、どんどん新しい絵本が増え続けている今日この頃である。
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