芸術家として生きるということ:画家今井繁三郎さんに触れ(山形県鶴岡市羽黒)
初めに
今回の主役、今井繁三郎さんについて
今井繁三郎は、1910年に山形県東田川郡羽黒町(現在の鶴岡市)で生まれた日本の画家です。
彼は山形県立鶴岡中学校(現:山形県立鶴岡南高等学校)を卒業後、上京して芝絵画研究所で学びました。その後、尾口古典研究所で油絵の古典技法を学んだこともあります。美術雑誌「美之国」の編集に携わり、自由美術家協会の創立にも参加しました。また、第二次世界大戦中は従軍画家として活動し、戦後は山形県で美術振興に尽力しました。
彼の作品は、赤や黄色、青などの大胆な色使いと構図、太い線の中に真っ赤な丸を描いた絵などが特徴的です。80歳の時には自身の作品を展示するために今井繁三郎美術収蔵館(現在は今井アートギャラリー)を設立しました。今井氏は2002年に亡くなりましたが、彼の芸術は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。
訪れた場所の紹介
夏に訪れた際に思ったことを記したnoteです。
今回訪れた場所は、今井繁三郎さんの作品が多く貯蔵されている羽黒・芸術の森。
敷地内には、ギャラリーとレストラン(オーブンカトウ)があります。
ここから本文です。
芸術家として生きるということ
"芸術家として生きるとは、絶えず自己と対話し、時には哲学的な思索に迷い込むこと。彼らの人生は、その作品に反映され、その中で自分自身を映し出す鏡となっている。"
写真家として生きる自分が、地元の芸術家今井繁三郎さんに触れ感じた、芸術家として生きる本分について記しました。
冒頭に記した事が、結論ではありますが、より詳細に下記に記しています。
是非、最後までお読みください♩
哲学的な思考の迷路:自己探究の旅
自分も写真家として生きていますが、しばしば、作家としてのアイデンティティについて考えます。
この創造的な旅路は、自分自身を理解し、表現する手段となります。私の経験では、創作活動は自己発見のプロセスでもあり、それは時に深い思索の迷路に入り込んでしまいます。
繁三郎さんの絵にもその思索が垣間見れます。
美しい霊峰月山の描いたものや、女性の人物画や花の絵。明らかに社会的なメッセージが込められていそうなものや、全く本人の解説なくては、確かなメッセージが伝わりづらい抽象画。
様々な思索の連続が、作品の変遷に比例しているのかと思うと、非常に感慨深いものがありました。
作家として生きるということは、思索し続けること。その変遷の一部が作品となります。
信念を貫くこと:創造性の基盤
作品は、作家の信念と深く結びついています。これは、単なる芸術的表現以上のものであり、自身の人生観、価値観が反映されているからです。自分自身のファクトを表現することで、他者にも深い影響を与えることができるんだと思います。
繁三郎さんの作品は、ただ美しいだけでない、作家としての信念が感じ取れる作品でした。
人に影響を与えるためには、人間が剥き出しかつ、インテリジェンスなものでないといけない。
そんな風に私は解釈しているんですが、繁三郎さんの絵は正にそれを体現しています。
観る者に問いかける:対話の創出
先ほども記しましたが、単に美の表現をするだけではいけません。
それは、観る者に問いを投げかけ、対話を促すことです。自身の作品が、人々に何を感じさせるか、それは観る者に委ねられます。そして、それぞれの解釈は、作品に新たな次元を加えてくれます。繁三郎さんの作品にも多くの問いが隠れていたと感じました。
解釈の多様性:芸術の豊かさ
今回は、繁三郎さんの作品に触れた私の主観を記していますが、作品に対する解釈は、それぞれ異なって当然です。
これこそが、芸術の醍醐味であり、美しさであり、及ぼすパワーだと思います。
個々の視点が芸術を豊かにし、新たな意味を生み出します。
こうして、作家が生み出した創作は、無限に拡張されていくのです。
最後に
芸術家として生きるということは、自分自身の文脈の中で深く生きることを意味します。
芸術家の創造性は、自己探究と社会との対話を通じて、今後も無限の可能性を秘め、社会に影響を与えてくれる尊いものです。
繁三郎さんの作品に触れるということは、彼の魂に触れたと一緒。
そして、繁三郎さんから、
「で、お前はどうするの?」
と、問いを私に与えてくれた気がします。
パワー溢れ、人間味豊かな作品が多い繁三郎さんの作品をどうぞ、近くを訪れた際はご覧になってみてください。
Thank you!
PS.
最後に繁三郎さんが唱える「いろはにほへとちりぬるを」を。
い:いきいきとしていなければならぬ
ろ:労すれば必ず功あり、ねばりなさい
は:ハーモニーは大切である
に:にわかに大家になれる筈はない
ほ:奔放は常に内在していなければならない
へ:変転自在でなければならぬ
と:突然変異を認める心が大切である
ち:秩序を保たなければならぬ
り:理性を失ってはならぬ
ぬ:塗るべきところを塗り描くべきところは描くべし
る:瑠璃も玉も時にはちりばめるべし
を:温故知新を旨とすべし
引用:冊子今井繁三郎作品集より