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ルーマニアの詩人、Daniela・Varvaraの詩を読む

友人で、ルーマニアの詩人・俳人のDaniela・Varvara(ダニエラ・ヴァルヴァラ)の詩を読んでみよう。彼女は、ルーマニアの黒海沿いの観光地でもあるコンスタンツァの町の少し北にある、コルブの町で学校の先生をしている。ビーチが綺麗な小さな町だ。彼女が主催するコルブの詩祭にも参加したことがある。何年か前に、彼女の詩集『Lodebar』を貰ったことがある。この詩集は旧約聖書が背景となった詩群からなるらしい。らしい、というのは、この詩集がルーマニア語で書かれていて、私には読めないので、彼女に内容を聞いてみたのだ。それはともかく、今回、彼女の詩の一つを、オーストリアの大学の学生でもある彼女の姪が英訳したというので、それをもとに日本語訳してみた。何回かルーマニアを旅して実感したことであるが、ルーマニアという国は、ルーマニア正教会が文化として地域にしっかりと根ざしており、彼女のみならず、ルーマニアで知り合った詩人は宗教的な側面を持つ詩を読む人が少なくない。ウズベキスタンの詩人を訪ねた時も、やはり、イスラムという宗教が彼ら自身にしっかりと根ざしていた事を感じた。(トルコは都市部では幾分世俗化しているように感じたが、それでも最近来日したトルコの詩人は、彼自身はクリスチャンだというものの、やはり豚肉を口にしなかった。)つまり、特に私のように日本の都市に住み、宗教的に根無し草だとなかなか実感しえないことなのであるが、世界的に見ると宗教を持たない人々の方が珍しいのである。日本で宗教の話が出てくると、私のようなものは、やや警戒するものだが、ルーマニアの詩人やウズベキスタンの詩人がごく自然に彼らの宗教を口にするとものすごく納得するのである。今回の彼女のこの詩も宗教的ではあるが、彼女自身をみつめた詩と言ってよい。神を謳っているようで、彼女自身を考察しているのだ。「死を終わらせる方法」とは彼女が必要としていて、彼女が生かしているのは神ではなく、彼女自身なのである。ちなみに、キリスト教や正教会に疎いわたしは、「この金曜日とは聖金曜日のことなのか?」と聞いてみたが、必ずしもそうではない、ということらしいが、、

în fiecare vineri
            by Daniela Varvara

sub pielea ei se așeza
rănit de moarte zeul
ea îl învia cu sâgele propriu
pielea ei devenea sidefie
carnea ei strălucea strălucea
între o vinere și alta nu mai erau zile
între piele și mușchi dormea el
dincolo de el nu mai era nimic
ea respira lumină se hrănea cu lumină
și stomacul îi era o aură uriașă
devenit apoi un văzduh în care
înaripatele străluceau libere

mă privesc:
în carnea mea se așază rănit de moarte zeul
el vine cu tot cu lumină și adoarme
imediat ce închid ochii
îmi vine să merg cu ochii închisi
ca nu cumva să-i tulbur somnul
se întinde sub piele îi împrumut forma osaturii
a muschilor și a organelor mele vii
caut prin manuale de medicină
moduri prin care se poate închide moartea
în timp ce sângele circulă
în fiecare zi invăț metode de resuscitare-
e zeul meu și trebuie să-l țin în viață.

every Friday
      english translation by Delia Barnă

beneath her skin lays
the mortally wounded god
she was resurrecting him with her blood
her skin became pearly
her flesh glowed glowed
between one Friday and next there were no more days
between skin and muscle he slept
beyond him there was nothing
she breathed light she fed on light
and her stomach was a vast aura that became a heaven where the winged ones shone free

I look at myself:
in my flesh lies mortally wounded the god
he comes with light and falls asleep as soon as I close my eyes
I feel like walking with my eyes closed lest
l disturb his sleep he lies under my skin I borrow
the shape of his bones
of my muscle and living organs
I search through medical textbooks for ways to close the death
while the blood circulates
every day I learn resuscitation methods-
he is my god and I must keep him alive.

金曜日にいつも 
          日本語訳 三宅勇介

彼女の皮膚の下に
瀕死の神が横たわる
彼女は自らの血で彼を復活させた
彼女の皮膚は真珠のように輝き
肉体は大いに輝いた
もはや金曜日の次の日は金曜日だった
皮膚と筋肉の間で彼は眠った
彼の外側に何もなかった
彼女は光を呼吸し光を食べた
彼女の腹部は広大な霊気であり
翼を持つものたちが
自由に輝く天国になった

私は自分を見つめる:
私の肉体には瀕死の神が横たわる
彼は光とともにやってきて
私が目を閉じるや否や眠りにつく
私の皮膚の下に横たわる
彼の眠りを妨げないように
まるで目を閉じたまま歩いているようだ
私は彼の骨の形を借りて
私の筋肉と内臓を作る
医書を調べて死を終わらせる方法を探す
私の血が体を巡っている間に
私は毎日彼の蘇生法を学んでいる-
私の神である彼を生かせ続けるのだ。



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