『明るい悩み相談室』中島らも 「電車の中で読めないよ」と、笑いながら
このnoteは、本の内容をまだその本を読んでない人に対してカッコよく語っている設定で書いています。なのでこの文章のままあなたも、お友達、後輩、恋人に語れます。 ぜひ文学をダシにしてカッコよく生きてください。
『明るい悩み相談室』中島らも
【中島らもを語る上でのポイント】
①単純に笑えると言う
②思想の深さに言及する
①に関して、中島らもはユーモアが溢れていて、生前はトーク番組にも出て芸人さんと共に笑いをとっていました。
②に関して、深い思想の持ち主で、生きている中色々と苦悩していました。この人の著書などを見るとその思想の深さに驚かされます。
○以下会話
■ユーモアが集積されている本
「軽く読める本か。そうだな、そしたら中島らもの『明るい悩み相談室』が良いかな。中島らもは、演劇とか小説とかコピーライターとか多方面で活躍した人なんだ。もう亡くなってるんだけど、生前はテレビにも出てて、爆笑問題とかダウンタウンとかと共演してたんだ。今でもYouTubeで見れるよ。『明るい悩み相談室』は、朝日新聞のコーナーで、読者からの悩み相談に中島らもが答える形式の連載をまとめた著書なんだ。読者からの手紙と、それに対する答えで完結している本だからすごく読みやすいよ。いくつも面白い相談があるんだけど、僕が気に入ったのは2つかな。
■飛び降り自殺をやめさせる方法
一つ目は飛び降り自殺を思いとどませる方法についてなんだ。自殺が問題になってる昨今、飛び降り自殺をやめさせるにはどうすれば良いか、という質問。中島らもの答えとしては、
飛び降り自殺をする人にむかって、「そんなことはやめさなさい」とか「親が悲しむぞ」とか言っても効果がない。そういう時は、大きいゴミ袋を持ってきてこれに入って飛び込むように言って下さい。何でって聞かれたら、「死んだ後の後片付けが楽だから」と答えて下さい。
っていう答えなんだ。面白いでしょ。例え死んでも体はそこに残るのだから、それを想像させるとグロテスクで、バカらしくて、死ぬのが嫌になってしまうっていうカラクリだよね。面白いよね。
■トイレで鶴を折る
あとは、子供の教育についての質問で、我が子をどんな風に教育すべきか分からないっていう悩みに対する中島らもの答えとして、
子供にとって親は世界の全てであり、そんな子供に対しては幻想をしかけてあげるのが大切です。例えば、「トイレットペーパーを使う時は、鶴を折ってから使うんだよ」って教えたら、それを信じて大人になった時大きな花火が打ち上がります。トイレという密室性がポイントです。「お風呂に入る時は手拭いで作った兜を被らなくちゃいけない」とかだと家族でお風呂に入る時その幻想に付き合わなきゃいけないし、銭湯とかでバレてしまう機会が多い。けれどもトイレの中だったら、密室でお互い確認し合うことは少ないから、もしかしたら死ぬまでその幻想は守られるかもしれない。
って言ってるんだ。めちゃくちゃ面白いよね。そして僕も子供ができたら鶴折らせたいって思っちゃったよね。
■中島らもの愛
中島らもの凄いところは、相手がどんなに深刻に悩んで相談してきても、斜めの角度の回答で、取るに足らない笑える悩みにしてくれるところなんだ。もしかしたら、「真剣に悩んでるのを馬鹿にしやがって」って怒る人がいるかもしれないけど、決して中島らもは馬鹿にしてる訳ではないんだよ。絶望に対して同じく絶望で迎え討っていたら、一緒に沈むだけで光は見えないよね。時にはそういう悩み相談も必要なのかもしれないけれど、中島らもは質問者の絶望を裏返しに置いて「ここに毛が生えてるよ」って「笑い」という愛を入れてるんだよね。「笑いは救う」だよね。
こんな調子で、読者と良い空気感でやり取りしてて面白いから読んでみて。」