中上級者向けのサービスグロースガイド① ~指標設定の極意~
これから3回のシリーズに分けて、サービスグロースにおいて中上級者が意外と見落としがちな3つの重要なテーマについて書いていこうと思います。
第一回目は「グロース指標の設定」について。
グロース指標の概念
グロース指標とは、KGIやKPIなど、サービスを伸ばすための指針として設定する数値のことです。Metrics(メトリクス)とも呼ばれます。
Metrics選定は、グロースのセンスが問われる実は非常に奥が深いテーマです。
グロースに携わっていたら、次の言葉をおそらく一度は聞いたことがあると思います。
North Star Metricとは、
それさえ追っていけば、プロダクトが本質的に成長する1つの指標のことです。
例えばFacebookであればフィードをユーザーが使った時間であったり、Amazonであればセッションや訪問ごとの購入率だったりします。
このNorth Star Metricは概念としてはよく知られていますが、実務で活用できている企業はほとんどありません。
なので、このnoteでは、North Star Metricsの選び方と実務での活用方法を解説していきます。
North Star Metricはなぜ必要か?
North Star Metricは、KGIとKPIの橋渡しとして必要です。
通常、サービスをグロースしていく上で、KGIとKPIの分離を行います。
DAUや売上などビジネスの最終成果を測る指標をKGIとして設定し、会員登録突破率やアクション率などKGIと強い因果関係持つ先行指標をKPIとして設定します。
ここまでは多くの企業でやっていることですが、このままでは2つの問題が発生します。
一つは、KGIがデカすぎる、遠すぎる、こと。これにより、なかなかKGIを伸ばすための有効な打ち手が打てなかったり、KPIを改善していってもKGIが本当に改善していっているのかなかなか分からないことがあります。
もう一つの問題は、こういったKGIは割合ではなく絶対値なので、広告やPRを打てば一時的に伸ばすことができ、簡単にごまかせてしまう、という問題です。
この2つの問題を解消するために、ちょうど良いサイズ感で、かつごまかしが効かない指標をNorth Star Metricsとして設定します。
例えば、Weeklyの投稿継続率などはKGIとKPIを結ぶ指標としてちょうど良い大きさですし、広告などを打っても割合はそこまで変化しないのでごまかしが効きません。
このように、グロースにおけるMetrics設定は3レイヤーの構造がちょうど良いと思います。
そして、KGIはダッシュボードで結果的な指標として会社全体で追い、North Star Metricsをグロースチームがメインの改善指標として追い、そのNorth Star Metricsを改善するために、その指標を分解したKPIをグロースチームが様々な施策を通して改善していく、というのが正しい構えだと思っています。
North Star Metricの選び方
では実際に、North Star Metricをどう選んでいけばいいかについて解説します。
North Star Metricは、「ビジョンとデータの掛け算で選ぶ」べきです。
このプロダクトを通じてユーザーの生活をどう良くしたいかというビジョンをMetricsに翻訳し、それをユーザーのEngagementが高まる数値上の分岐点などのDATAで裏付けをします。
具体例で説明すると、Facebookの場合、
「世界をよりオープンにし、つなげる」というビジョンを持っており、
「自分の興味関心に合った人々とつながると継続率が向上する」というデータが見つかったとします。
そうしたビジョンを達成できている状態とはどのように数値に現れるかを考え、かつそれを実際のデータと照らし合わせると、以下の有名なNorth Star Metricsが導き出されます。
Facebook初期のNorth Star Metrics
「登録から10日以内に7人以上の友人と友達になる割合」
つまり、North Star Metricとは、
プロダクトがビジョン達成できているかをデータの観点から
ヘルスチェックするもの、とも言えます。
METRICSを扱う際の注意点
スタートアップ初期においては、North Star Metricを選んだら、リソースをそこに全投入すべきです。
しかし、Metricsを改善する際には注意点が1つあります。
何かのMetricsを改善したときは、必ずCounter Metricsもチェックするようにしましょう。
Counter Metricsとは、「Metricsの改善に難癖をつけれる可能性がある指標」です。
例えば、LPのクリック率が改善したとしても、その後のCV率が悪化していないか、などです。
これを習慣的に確認しないと、改善を進めているつもりが気づいたら全体改悪されてたという事態になることも珍しくありません。
例えば、投稿率を高めるために投稿を促すポップアップ表示を追加したら、投稿率は上がったが、ポップアップがユーザー体験を毀損し、それ以外のエンゲージメントが下がった、などはグロース初心者がよくやりがちな過ちです。
せっかくチームの時間と労力を使って、サービス改悪してしまっては元も子もないので、必ずCounter Metricsもダブルチェックするようにしましょう。
まとめ
グロースにおけるMetrics(指標)の極意は、
「VISIONとDATAの掛け算でNSMを見つけ、Counter Metricsも確認しながら改善していく」ことです。
指標設定はグロースにおける根幹を成すものですが、意外と正しいアプローチをできている人は多くありません。
正しく指標設定をして、健全なグロースを達成していきましょう。
この第二弾noteでは「指標の伸ばし方の極意」を、第三段のnoteでは「強いグロースチームのつくりかた」について書いていこうと思います。
さいごに
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