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第十一話🧙♂️あれよあれよというまに
志村哲という選手は沖縄出身のバスケットボール選手らしい。
今まで知らなかったのが恥ずかしい。
ハワイでの生活が長く、今秋に始まる新シーズンから初めて日本のBリーグに所属し、プレーをするという。それが“琉球ゴールデンキングス”だったのである。
なぜ、ジョブ・トーマスHCは彼の名前を上げたのだろう?
志村哲とは、いったいどういう選手なのだろう?
すごく気前がよく、さっぱりとしていて、それでいて妙に愛嬌を感じる好青年。
言葉数は多くないが、ハキハキと、明るく、優しい声で接客をしてくれる、気持ちのいい店員であった。
ただ、その身長には驚かされた。
ぱっと見ただけで、190cm代では収まらない、、、おそらく2mを超えるのであろう、、、そんなオーラを感じた。
私は彼にバスケットボールをしていてほしいと思った。こんな選手が日本代表だったら、日本のバスケ界には夢がある、希望が持てる、と思った。なんと、その夢が叶いそうである、、、(ジュワ~⛲)
驚いた。こんなことがあるなんて、、、
あの美味いラーメン屋に、こんなすごいバスケットボール選手が働いていたなんて、、、
私の頭頂部からは、歓喜の汗が止まらなかった(ジュワ~~⛲)
私はこれから彼が日本代表でどんな働きを見せてくれるのか楽しみになってきた。
たくさん取材にいきたい。
彼をスターに押し上げる、、、そんな記事を書きたい。
そしてまた、彼とラーメンの話がしたい。
あの時食べた冷やし中華がうまかったこと、きゅうりを多めにしてくれたこと、一本まるごと見事に乗せてくれたこと、、、お礼を言いたい。
彼との会話を妄想すると、やっぱり汗が止まらなかった。
その汗は希望で光輝いており、頭上に昇る蒸気から見事に一本の虹が架かった。(🌈)
私は書きかけの記事を一旦中断し、一度、川に飛び込んだ。
そうだ。私はカッパだ。見た目は人間のようだが、紛れもなく、私は文才のあるカッパなのだ。河田童子という名前で、人間社会で生活することを決めたカッパなのだ。紙とペンが私の生きる武器。この世界では、しゃべれなくても「文字」さえ書ければ生きていける。「名前」さえあれば人間だと認めてもらえる。私はそう信じてここまでやってきた。
今日の川の水は温かく、優しい。彼との出会いを祝福してくれているかのようだ。
私はそのまま川の流れに乗って、下流へと流されていった…
おぼれていた。
浮かれていた。
きっと人間が私の姿を見たら、こう言ったと思う。
あれが “かっぱの川流れ” だよと。
そう笑ったであろう。
わたしはなんとか川岸に伸びていた植物のつるに掴まり、河口まで流されていくのを阻止することができた。
私の体力は限界だった。
土手にあがって少し休もう。。。
眠たくなってきた。
時刻は夜の20時を回っている。
今日の風も優しい。。。
月もきれいに見えている。。。美しい。
この世界は美しい。
私はその場で一夜を過ごした。
私の体力は限界であった。。。
つづく🧙♂️