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第八話🧙♂️ Bリーグに関わりがありそうなラーメン屋での一幕
冷やし中華
きゅうり多めで…
かつて、こんな注文をした客がいただろうか?
私はすごく恥ずかしかったが、
勇気を出して注文した。
しかし青年は、何のためらいもなく、
気持ちのいい返事で、それに応えてくれた。
彼は、背が高かった。
私の“心眼”では 、さすがに身長まで測ることはできなかったが、
ざっと見た感じ、おそらく2mは超えているように思えた。
「こんな子がバスケットをしてくれたら、
日本のバスケ界は盛り上がるだろうな…」
私はまるで老人になったかのように、
しみじみと、そうつぶやいた。
すると、、、
「バスケットやってます!」
青年が私のすぐ隣で
ハッキリとこう答えた。
(えっ!いつの間に!?💦)
彼が近くに来ている気配はまったくしなかった。
しかし、彼は確かに、私の右後ろにそっと立っていたのだ。
「おまたせしました、冷やし中華です!」
私の頼んだ冷やし中華を
持ってきてくれた。
ガラスの器に、こんもりと、麺と具材が乗っている。
黄色い中華麺に、錦糸玉子と、ハムと、きゅうりと、トマト!
その上に、ゴマが振りかけられている!
これだ!これだ!
これだ!これだ!これだ!
これ以上は、何もいらない!
完璧なラインナップ!
スターティングファイブ!
そして、隣に もうひとつお皿が!
きゅうり!
お皿一枚を使って、きゅうりが盛りつけられている!
感動した。
さて…、切り方はどうだ…?
千切りか?!
輪切りか?!
乱切りか?!
それとも、たたき切り か?!
…
私はそれが気になった。
どうなんだ?
どうなんだ??
どうなんだーーー?!!
…
そこにはなんと、
きゅうりが一本、切らずにそのまんま乗っていたのだ!
ま…丸々 一本、、、!!
私は泡を吹いた。
一瞬、白目にもなりかけた。
これだ!これだ…!💦
これなのだ!!
私が欲しかったのは、これ!
きゅうりが丸々一本!
これなのだ~~……!(アワワワワ…)
店員は高ぶる様子もなく、
いたって冷静、落ち着いていた。
「これがうちのスタイルです!」と言わんばかりに、涼しい顔でこちらを見ていた。
「ごゆっくりどうぞ!」
彼はそう言い残し、
笑顔で、調理場へと戻っていった。
Tシャツの背中に書かれた
「琉球ゴールデンキングス」の文字が
すごく眩しかった。。。
私は冷たい水を一口飲み込み、
「いただきます」の気持ちを込めて合掌をした。
自然の恵みと、生産者たち、
そして、調理者たちへ、
感謝を伝えた。
私は冷やし中華を食べながら考えていた。
なぜあの長身の青年が、ラーメン屋で働いているのか?
バスケットをやっていると言っていたが、
どのカテゴリーでやっているのか?
琉球ゴールデンキングスとの関わりはあるのか?
ズルズルと、冷やし中華をすすりながら、
頭の中で青年のことばかりを考えていた。
(あぁ…美味い!)
(この店の冷やし中華は最高だ!)
私は最後に、一本のきゅうりを噛まずにそのままスルッと喉に通し、ゴクリと飲み込んだ。
正に、きゅうりの「喉ごし」を楽しんでいた。
(やっぱりきゅうりはこの食べ方に限る!)
私はすごく満足していた。
つづく🧙♂️