「自由」のための「選択肢」
久しぶりの投稿。今実施しようとしている事業は、高校生(あるいは中学生や小学生)に、より自由になるためのきっかけを与えることを目指しています。
「自由」は人によって感じ方や考え方が違うかもしれませんが、「自由」になるためには、あるいは「自由」を実感するためのひとつのポイントとして、「選択肢が多くある」ということがあげられると思います。
今回はフィリピンではなく、ぼく個人が「世界で一番自由な国」と思っているオランダの事例を少しご紹介します。
同性婚
世界ではすでに多くの国で「同性婚」が法律で認められていますが、オランダは、世界で初めて同性婚を法律で制定した国です。*パートナーシップ制度としてはノルウェーが最初とのことですが、法律としてはオランダが初。
そのため、当時は結婚することを求めて、多くのLGBTQの人たちがオランダに渡ったとのことです。おそらく日本人でも多くの方がオランダに渡ったことでしょう。
尊厳死
もう一つ、大きなものとして挙げられるのが、「尊厳死(安楽死)」です。これも欧州などでは導入されている国はいくつかありますが、オランダが最初に合法化しました。もちろん条件は厳しく、例えば①患者の自由意志であること、②回復不可能で耐えがたい苦痛が存在すること、③第三者である医師の承認、などがある。
*植物状態で患者が判断できない場合は、家族や医師の判断でも可能のケースもあります。。
実は先日祖母が亡くなりました。認知症が始まっていた祖母は、転倒し頭を強く打ち、意識を失い、そのまま寝たきりとなり、3年以上入院したままでした。何度も「もう危ない。家族で会える人は会いに来たほうがいい」と医師に言われながらも、そのたびに回復した祖母の生命力には家族全員が驚いていましたが、それでも、「『尊厳死』の選択肢があったらどうしていただろう」と一人で考えたこともありました。
祖母のケースでは自分の意思を表明できなかった時点で、その選択をすることはなかったでしょうが、もう少し状態が悪ければ、とも考えてしまいます。
ワークシェアリング
これは働き方に関するものです。オランダでは、フルタイム・パートタイムでも社会保障の差別がなく、ライフステージによって勤務時間を契約変更することが可能です。
ここでいうパートタイムは、日本のような非正規ではなく、正規雇用になります。つまり「正社員」だけど、「週休3日」などが可能となります。
これをするとどうなるのかというと、夫婦ともにフルタイムを「2.0」とした場合、その時の状況に応じて「1.2」や「1.5」の働き方も可能となるのです。日本では、夫婦で働こうとすると「2.0」にするか、どちらかが「非正規のパートタイム」で調整するしかありませんが、オランダの場合、夫婦で「0.75」ずつ計「1.5」や、「0.75」+「0.5」計1.25にすることも可能です。
特に子どもが小さい場合、家にどちらかがいなくてはいけないことも多くあります。収入は勤務日数により変動しますが、給料は二人で1.5人分でも、子ども(家族)との時間を大切にすることのほうが大事と考えれば、この選択肢は大いに活用できると思います。
日本は選択肢を増やせるか
すでにオランダの事例は、国会でも過去に議論されたことがあるようです。が、ご存じの通り、日本での導入にはまだ至っていませんし、至る気配もありません。
もちろん細かいところは日本にあったものにすべく議論を深める必要はありますが、少なくとも必要な人が「選べる」環境を早くできると、いくつかの社会課題の解決につながるので花はないかなと思っています。
参考文献:『オランダを知るための60章』長坂寿久、2007年、明石書店