条例素案(制定経緯・プロセス等)に関する市民意見への対応についての会議に傍聴してきました。*会議録付き*
市民意見に対する回答(検討会議の考え方)作成に向けた検討会議の傍聴をしてきました。
日時:4月1日(木曜日) 午後2時
場所:広島市議会議会棟 3階 第1委員会室
内容:条例素案(制定経緯・プロセス等)に関する市民意見への対応について
傍聴する市民への対応が変わりました
今回から、広島市市政記者クラブに加盟する報道機関に所属する方を除き、傍聴される方による動画の撮影及び録音は行うことができなくなりました。(許可を得た上での写真撮影は可能です。)そのため、様々な理由で傍聴できない人、音や声が聞こえない、あるいは聞こえにくい人が、政策立案検討会議の内容を知りたいと思ったら、「会議録を読む」しかないということになります。会議録にアクセスする方法を議会事務局市政調査課に質問したところ、会議録作成には3か月程度はみてほしいとの返答でした。
【追記】4月末に状況が変わり、GW連休明けに4月1日・15日分が公開されることになりました。
市議会図書館(平日9時〜17時15分・土日祝日休み)での閲覧と、広島市公文書館(平日9時〜17時・土日祝日休み)の閲覧と印刷が可能です。
ただし、広島市公文書館は「緊急事態宣言」発令に伴う新型コロナ感染拡大防止集中対策として、公文書館閲覧室を一時閉室しています。
念のため、議会事務局市政調査課に会議録のSNSへの掲載可能かどうか聞いたところ、「いいともいけないとも言えない」とのこと。お願いもされなかったので、今までのものも追って掲載させていただこうと思います。
市民意見の対応協議の進め方
前回の会議で、
・条項ごとに、政策立案検討会議の若林代表と碓氷副代表が論点整理する
・委員は事前に発言を準備したうえで、全員が発言し協議する
・追加して議論すべき論点があれば、提案・協議する
・全会一致が原則、合意できるところを目指しながら協議する
することになりました。
なお、市民意見への返答については、担当委員がまとめて、会議で再協議して形にすることになっています。
政策立案検討会議の代表と副代表主導で行われた論点整理はどのように行われたのかは、公開されていないのでわかりませんが、市民意見→まとめ→論点整理と集約されていくことで協議の効率化を図ろうとされています。
しかし、ここで扱われる論点とは、条例案に関する市民の問題意識であり、論点がずれてしまえば、すれ違ってしまう。採用されなければ、協議さえしてもらえないことになります。
傍聴席から発言することはできないので、「そういう意味じゃないと思うんですけど・・・」と思っても、何も言えません。アンケート形式ではなく、対話や議論であれば、真意を伝えるための補足もできるのに。2回目にして、傍聴の切なさを知りました。
今回の会議録と手元資料
会議は、論点整理した項目ごとに進めることで全会一致しているので、手元資料をもとに、【制定経緯・プロセス等について】が話し合われました。
*手元資料に関しては、市議会事務局市政調査課に公開可能であることを確認した上で、公開しております。
4月1日の政策立案検討会議の会議録が↓こちら↓
今回の会議内容まとめ①②
今回の会議での論点①は、「なぜ議員提案で?」「なぜ条例なのか?」を過程を含めて知りたいというもの。
すでに前記事で書いた真庭議員の話の簡略版みたいな協議でした。
つまり、「前期の平和推進・安全まちづくり対策特別委員会の提言を受けて」。「平和に関する予算配分に関しては、積極的につけるという文言はなく、法的根拠によってでなければ、今後の市民ニーズによっては減額される可能性がある。」というものです。
私たちが確認したかった
・平和行政の定義
・今までは何に基づいて平和行政が行われてきたか
・何が不足しているから条例が必要なのか
という具体的な説明をしてくれた議員はいませんでした。
議員提案については、「市民の代表たる議員が作ることに意味がある」とおっしゃる方が複数いらっしゃいました。議会制民主主義、間接性民主主義を主張されていることは伝わりましたが、市民に信託されているからなんでも代わりに決めていいわけじゃないと思います。
地方自治体として情報開示や市民参加の制度や仕組みを改善することは当たり前のこと。前例にないからしなくていいわけでもないのでは?市民に直接影響する条例作りをしているにもかかわらず、初めての議員提案条例案の作成過程がどうであったか顧みる議員が誰もいなかったことは非常に残念でした。
私たちは、憲法第95条の特別法で制定された平和都市建設法、特に第6条で「広島市の市長は、その住民の協力及び関係諸機関の援助により、広島平和記念都市を完成することについて、不断の活動をしなければならない。」とされているので、広島市はすでに平和行政推進の責務があると思ってました。それは、今までの平和行政の根拠でもあり、広島市の基本構想・基本計画にも反映されていると考えていました。
だからこそ、明文化されていないから条例が必要とおっしゃっている議員のみなさんが、説明もしくはヴィジョンを示していただけるものと思っていました。
明文化されるメリットがあれば、デメリットもあります。説明がなければ理解・判断しきれないので、市民意見の回答にならないのではないかと思いました。
<参考資料> 平和推進・安全社会づくり対策特別委員会
https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/33236.pdf
論点② 市民等への周知と市民等との対話・議論が不十分であるため、性急な本条例の制定(2月議会)に反対する。
市民への公開説明会や市民との協働により条例案を作る仕組、対話・議論の場などが必要なのではないか。
「前期の段階で助走期間が長かった。2019年6月以降からたたき台、水面下で出てないですが、充分な議論はしてきたので、もういいんじゃないかと思う。
」
「議員は市民の代表者であることは大前提。この場は、その代表者の代表、各会派からの代表者なので、top of the topという感じで。1年半以上検討され続けている経緯を重く受け止めたい。」
「議会はサークルではない。いちいち意見を聞いていたら、間接性民主主義、議会制民主主義の根底が崩れてしまう。収拾がつかない。」
「前段でアンケートや市民意見をやってきて、ある程度キャッチボールをしてきたので、対話議論の場の必要があるとは言い切れないのではないか。」
「受けとり側の問題では?できる限り周知を図ってきた。
平和関係団体への対話は、アンケートでお願いした。メンバーで聞きに行く・無作為で来てもらうというアイデアがあったが、政治的な立場の違いが生じ、公平なものにならないのでは?ということでアンケートにした。アンケートがなしのつぶてだった方は、意見がないという判断しかできない。」
私たちは、条例という市民生活に直結するルールを決めるというのに、説明も情報開示も市民参加も不十分と感じています。
それは、下記にも示したような漠然としたアンケートではなくて、丁寧な説明と対話、平和構築に必須な信頼を築くプロセスがなかったと感じるからです。説明だけではなく、情報開示や市民参加(有識者・平和団体を含む)にも共通して言えると思います。
平和推進条例ならば、なおのこと、そのプロセスも平和的であってほしいと思うのは自然なことだと思うのです。
この条例案は、広島市議会初の議員提案条例案です。
今起こっていることは全て、今後の「前例」になりかねません。
条例案の内容とともにプロセスも改善してほしいところです。
平和の推進に関するアンケート(2019年10月実施)
このざっくりとしたアンケートは、市民の声を反映させたという根拠にもなっています。
このアンケート対象は3者。資料館に登録された約150の平和団体と有識者、そして一般市民(オンラインで公募)です。
資料館に登録された約150の平和団体と有識者に付けられた「広島市平和の推進に関する取組(事業費一覧)【平成31年度】」という資料は、市民局国際平和推進部平和推進課という部署の予算にあたります。
これは、なぜか市民アンケートでは資料は添付されていませんでした。
アンケート文中、「これまでの広島市の平和行政(平和の推進に関する取組)を将来にわたり着実に継続、推進するための指針となるものを定める、平和の推進に関する条例」という説明と、平和推進課の事業費の資料。
平和推進課の事業を継続・推進のための条例を作ろうとしていたのかと勘違いしそうです。
私たちは、広島市の平和行政と聞いた時、国際交流や国際協力、人権啓発、男女共同参画など様々な取組を思い起こしました。
条例で採用されている平和式典は市民局市民活動推進課、採用されていない被爆者援護は健康福祉局が担当になりますが、平和の推進に関する条例を作るならば、いずれも含まれるべきだと考えるのです。
「平和行政」「平和推進」。平和という言葉が溢れる広島では、行政においても日常においても定義が曖昧なまま多用されているものがたくさんあることに気がつきます。
それならば、言葉の定義づけはしないと趣旨にあった回答は返ってこないのではないでしょうか。
回答率の低さは、突然送りつける丁寧さに欠けたアンケート方法と漠然としすぎたアンケート内容になったのではないかと思います。
今回のまとめ③④⑤
論点③本条例に対する市民ニーズはどのようなものを把握しているか。
市民ニーズがあってというよりは、被爆者の高齢化や子どもたちの現状を踏まえて条例が必要だと議員が判断したということでした。前期の委員会提案であったからと答えた議員もいらっしゃいました。
「アンケートをとった意見の中では、被爆体験の継承、核兵器廃絶、平和教育のために作ったらいいのではないかと言う意見があった。」
という議員がいらしたので、あのアンケートでニーズ調査まで出来ている模様で、ざっくりしたアンケートにしておけば、政治の世界では、後からいろんな用途に使えるんだと初めて知りました。
論点④本条例制定後において、本条例をどのように生かすのか。
「今だけでなく、これから広島市が市長や政治体制の変化があろうとも平和行政を続いていく根拠として生かしていく。」
「第1条 この条例は,平和の推進に関し,本市の責務並びに市議会及び市民の役割を明らかにするとともに,本市の施策の基本となる事項を定めることにより,平和の推進に関する施策を総合的かつ継続的に推進し,もってヒロシマの心である核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に寄与することを目的とする。 の通り。」
そもそも、議員の皆さんが推進すべきと考えている平和行政って何のことなんだろう?条例案は、条例素案には、市民活動推進課の平和式典と平和推進課の事業しかないみたいだけど。「平和行政」はそれだけでいいというお考えで?謎が深まるのです。
私たちは普通、「どう生かすのか?」という質問の裏には、「なぜ必要なのか」「何をするのか?」かも知りたいんだと思うのです。この会議で使われる平和行政という言葉を理解するためには2条の平和の定義を当てはめて見ると「世界中の核兵器が廃絶され、かつ戦争その他の武力紛争がない状態にするための行政」なんですけど・・・いいわけなくないですか?
論点⑤本条例の提案理由と条文ごとの解説が必要である。
「法律の逐条と条例の解説は別。」「必要ない。」
「パブコメの意見をいただいており、附則も含めて全て検討することにしている。検討結果をホームページに掲載し、示される予定。」
この意見を寄せられた方は、この条例案に不安があって、なぜこういう条例になったのか知りたい、理解したいという思いがあったのだと思います。また、分かりやすい言葉であっても、どういう意味なのか、意図なのかという条文がありますので、お気持ちわかります!と傍聴席から思ってました。解説が無理なら説明してほしい。
論点⑥ 重要な条例であるにもかかわらず、市民意見募集の期間が短いと言う状況もあったため、十分な期間を設けて、再度の市民意見募集を行う必要がある。
「必要ないと言うか、十分な期間でやってきた。」「他の意見募集と比べて同じ。」「何を持って短いと意見を言ってらっしゃるのか。妥当だと思う。」「周知されたこと、報道されたことで多くの市民から多くの意見ががあった。」
真の不満は、説明と情報開示と市民参加が出来ていないことにつきます。
市民意見はどうすれば伝わるのか、アンケート形式の限界を感じます。
対話であれば伝わりきらない部分を説明することもできるのに・・・
このようなやりとりで対応協議され、総務担当によってまとめられた回答が後日市民に提示されるそうです。
発言が許されない傍聴は、心身ともに消耗することを知りました。