「もの派」の巨匠、李禹煥。今年は再び彼の年に。
今年の8月から、国立新美術館で、李禹煥(リーウーハン、リーウーファン、Lee Ufan)の大規模な個展が開かれます。
そういえば同じ六本木の森美術館でのSTARS展での展示も記憶に新しいところです。
今世紀に入ってから、日本の60年代70年代を牽引するふたつの現代美術の流れがあり、それはやがて世界の現代美術シーンも揺るがすものとなりました。
それが「もの派」と「具体」の流れです。
「もの派」は関根伸夫と李禹煥の役割が大でしたが、いわば哲学と美術の融合、あるいは美術でやる哲学のようなものでもありました。
私達は、ほぼ無意識に「美術」とは人間の心を表現するものだ、と思ってしまいます。20世紀、すなわち近代の意識とはひとりひとりに自我があり、感情があり、それを「表現」するのが美術だ、というほとんど無意識な前提があります。
たとえば19世紀末のウィーン分離派・エゴン・シーレやクリムトが展開したセクシャルな人間像、大正期の竹久夢二などのロマン主義は、人と人との感情的な関係が表現の中心にあったといってもよいでしょう。
しかし、もの派は、むしろ様々な哲学を援用しつつ、美術とは「もの」と「もの」、『物事』と『物事』との関係を呈示する、シンプルなものであるべきだ、という理論を打ち立てました。
もちろん、もの派、というのは、彼ら自らが名乗った、という性格のものではありません。むしろ、ときには皮肉を込めて言われたような言葉でもあったようです。それがやがて、敬称ともいえ、あるいは自らたちも名乗るようになった経緯は、明治期の日本画運動「朦朧体」とも似ていなくもありません。
「もの派」の精神的支柱とも言えるふたりのアーティスト、関根伸夫と李禹煥は21世紀にも旺盛に活動を続けましたが、関根は2019年に鬼籍に入り、いまや「もの派」の現役のアーティストはわずかになってしまいました。(多分、Lee李さんと、菅木志雄さんだけじゃないですかね。原口も亡くなってしまったし)
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