シェア
Kaito Imahori 今堀魁人
2021年6月23日 21:20
朝から濃い霧の中に包まれていた。視界はたった10mあるかどうか。とても遠くのものは見える気配がない。風は穏やかだが、それがいけなかった。海霧が海峡に溜まり消え去らないのだ。風もなく、波もない。ひたすら船は見えない海上を行く先の見えないどこかへ向かって進ませる。聴こえるのは船のエンジン音と、船が走る波飛沫の音だけ。何時間経っただろうか。船はゆっくりと岬の方へ出た。するとあの視界を奪っていた海
2021年6月10日 22:50