カムイを見た日。前編
この日は朝から何やら沖が騒がしかった。普段はわかるはずもないのだが、早朝から肉眼でもわかるほど水平線の先で鳥達が騒めいているのだ。
この日は仕事で午前、午後と船に乗って海へ行く。風が若干強く吹いていて、何とも揺れそうな天気だ。
ホールウォッチングの観光船に乗ると何とも奇妙な感覚を覚えた。先程まであれだけ騒がしかった沖が、ほとんど何の生物もいない。私たちの船を合わせて5隻も出航し2時間半探し続けたが、見られたのは小さなハシボソミズナギドリの群れとイシイルカだけ。どちらにも言える