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働きながらプロボクサーをやるメリット

「日本チャンピオンになってもアルバイトしている」

「世界チャンピオンにならないと食っていけない」

ボクシング業界ではよく耳にする話です

現状プロボクサー1本で生計を立てている選手は全体の何%でしょうか

限りなく少ないのは間違いありません

ただ、私は昔からボクシング1本で生活するということに憧れがありません。今日は働きながらボクサーをやることのメリットについて、私の現役時代のファイトマネーも含めて私の考えをまとめていきます

○もらっていたファイトマネー

私のジムは非常にクリーンでした、というかルールに則ってファイトマネーを支給してくれていました

なのでC級から日本ランカーまで決められたファイトマネーを毎試合もらっていました

何故あえてこういう言い方をしたかというと、悲しいことにルールを守らないジムもあるからです

マネジメント料で33%引かれるのは当たり前なのですが、その前に50%も引くなんていうとんでもない話も聞いたことがあります

そんな中、私のジムの会長は「別に33%引かなくてもいいぞ」とまで言ってくれる人でした。もちろん、それは申し訳なさ過ぎるし、ルール違反なので払いました

会長が選手分のチケットを売ってくれて現金そのまま選手に渡す、なんてこともありました。そんなジムの会長聞いたことがありません。良い人すぎます。もちろん、関係性ができた上での話です。

私のファイトマネーはチケット、激励賞、スポンサー含めて、最低補償額〜最高でも20万円くらいです。チケットよりも激励賞とスポンサーの割合が大きいです。これだけではもちろん食べていけませんし、日本ランカーだったことを考えるとかなーり少ないと思います。

理由は明白でチケットを売る努力をしないからです。仲の良い友達や知り合いが来てくれたら十分と考えていました。そんな自分にわざわざ声をかけて買ってくださった人達には未だにいくら感謝しても足りません

売る努力をしない理由は単純で、本業の看護師で生活費は十分得られるからです

ボクシングでめっちゃ稼いで楽で派手な生活したい!なんてことも考えたことがないです

あくまで"好きだから"やっているボクシングだったので、最低補償額さえもらえればそれで十分なのです

これ言って「綺麗事いってんなよ」と誰かさんに突っつかれたことありましたが、事実だからしょうがないです笑

○働きながらボクシングをするメリット

日本ランカーになった時、「日本のトップ10に入った訳だし、これだけで生活できるくらいもらえてもいいよな」とシンプルに感じたのを覚えています

しかし、ボクシングでそのくらいの収入があったとしても間違いなく看護師の仕事はしていたでしょう

さらに、私は現役時代は看護師として働く以外にも株式会社も作って事業展開もしています

収入を得る手段は多い方が間違いなくいいからです


ボクシングでしか収入を得ていないとしたら、仮にボクシングで年収1000万円になったとしても(これは日本の上位5%)、翌日交通事故にあって再起不能の事故にあったらただの無職の出来上がりです

考えただけで怖すぎます

アスリートはこういう可能性と隣り合わせということを常に忘れてはいけないでしょう

ボクシングという後ろ盾がなくなった時に自分に何が残るのかは現役中から考えないといけません

そう考えると働きながらボクシングをする、ということは「ボクシングを辞めても働ける選択肢がある」という当たり前ですが、それゆえに大きなメリットがあります

○仕事をやりながらボクサーをするのは当たり前のこと

前置きしているように、私は昔からボクシング1本で食べていきたい!という夢があった訳ではありません

現職の看護師の仕事も好きなので、フルタイムで働きながらプロボクサーとして活動していました

周りからは「忙しい仕事しながらすごいね」という声をかけていただくことはありましたが、自分は全くそうは思いません

なぜならどちらも好きでやってることだからです

仮に自分以外のボクサーが働かずにボクシング1本だけで活動していたとしたら、働きながらボクシングしている自分はすごいのかもしれませんが、現状ほとんどのボクサーが働きながら活動しています

どんな仕事内容だろうと、ボクシングに全て費やせない状況はみんな同じなのです

だからこそフリーターだろうが、看護師だろうが、サラリーマンだろうと、仕事やりながらのプロボクサー活動はすごいとも何とも思いません。当たり前のことだからです

たまに、「仕事とボクシングを両立!」をセールスポイントにしている人達がいますが、それは好きにすればいいと思います

周りから「頑張ってるね」と言われるのは全然いいとは思いますが、自ら選んだ道なのに「こんな大変な仕事をやりながら頑張ってます!」と自分で言ってたとしたらのはカッコ悪いとは思いますが


「チャンピオンになってもアルバイトしている…」

これを聞くとネガティブに聞こえますが

「アルバイトをしながらでもチャンピオンになれる」という証明でもあるでしょう

先程から言っているように条件はみんな一緒です

限られた時間を如何に使うのか、そこで差は出るのだと感じています

「ボクシングに集中できれば俺は強くなれる!」

と日本、東洋チャンプにもなっていない人が言っていたとしたら、そういう人は時間があっても強くなれない気がします

もちろん日本ランカーくらいから日本の平均年収ほどの収入があれば嬉しいことではあるのですが、「ボクシング1本でやっていきたい!」という願望と環境はタイトルを得てから初めて望んでいい贅沢なのかもしれません

テンションが下がった人もいるかもですが、これはあくまで現状のボクシング業界の話です

コロナで浮き彫りになった、チケット収入では限界が来ている今、4回戦からチャンピオンまでどうやって収益を上げていくかの考えを次回にまとめようと思います

それではまた


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