アマチュアボクサーに向けた減量プラン
こんにちは、かいとうです
プロ選手向けの減量記事は多くありますが、アマチュアボクサー向けの記事はあまりない気がしたので今日はやり方についてまとめてみようと思います
知らない人がいるかも知れないので簡単に経歴を
・元ウェルター級の日本ランカー
・看護師兼株式会社Cobalt代表取締役
看護師をしていることもあり、普通の人よりも栄養面やサプリについて詳しいです
そのせいか、TwitterのDMから減量相談を受けることが多く、プロボクサー、キックボクサー、総合格闘家そしてアマチュアボクサーからも相談を受けたり、SNSの時代の流れなのか中高校生からも相談が来ることもあります
「アマチュアとプロの減量は違う!」ということを業界内ではよく聞きます
果たして本当に違うのでしょうか?そこも掘り下げてみたいと思います
○それぞれの減量の違い
結論から言いますが、体重落とす手段においてはプロにもアマにも違いなんてありません。どちらも人間ですから身体の仕組みは基本的に一緒です。
決定的に違うのは計量のタイミングと計量から試合までの時間でしょう。最後の仕上げ、水抜きのやり方とリカバリー方法についてはプロとアマでは違いがあると言えます。
プロ→前日計量。計量から試合までは24時間以上。リカバリー幅は規定があるが特例を除き自由
アマ→当日計量。計量から試合まで人によってはほとんど時間がないことも。加えてトーナメントの場合勝ち進む限り体重のキープが必要
どちらも経験したことがある人は確実に「アマの方が大変」というのではないでしょうか。体重を気にかける生活を続けるのは想像以上にストレスです
私がアマチュアボクサーとして活動していた高校生の時は、試合が終わってもサウナスーツを着込み死んだ目をしながらロープを飛んでいる選手もいました
さらに「食べ物の重さ」を見る減量方法を当時はみんな行っていました
練習で3kg落ちたから今日は2.5kg飲み食いする!
そうすると500g落ちてる!!
これを繰り返す訳です
栄養素を考えない、重さだけをみた食事管理なので脂肪だけでなく筋肉もどんどん痩せていくダメな例の典型ですね(プロでやってる人もいます)
もしかしたら栄養バランスを考慮したカロリー設定をしていた選手も15年前からいたかもしれませんが、残念ながらスタンダードにはなっていないようです
○記事を書こうと思った理由
今回アマチュアボクサー向けに減量記事を書いている理由が1つあります
以前、とあるアマの選手から相談を受けました。強い選手ですが、正しい減量方法が分からず相談をしてくれました
実際にやっている方法を聞くとパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねないやり方でした
誰かから指導してもらったのかどうかを尋ねると「自分で調べた」とのこと
その時、選手が悪いのではなく、指導陣は一体何をやっているんだ?と残念な気持ちになったのを覚えています
国内トップレベルの選手でありながらも減量において指導してくれる人がいなかったという現実
「強くなりたい選手は自分で勉強すべき!」という意見も分からなくはないですが、どんなに才能・実力があろうと学生は指導陣の言うことに中々逆らえません
指導者が前述したような間違った方法を指導する可能性もあります
ボクシング技術を教えるだけがコーチや監督の仕事ではありません。減量も勝利に繋がる大切な過程の一つです
そこを放任するorいい加減な知識を与えるだけというのは、練習で手抜きをするのと一緒と言えるでしょう
この記事は選手はもちろん、アマボクサーを指導する側にむしろ読んでもらいたいくらいです
さて、さっさと本題に入れと言われそうなのでまとめていきます
○いつから減量を始めるべきか
私が減量指導する際に大切にしている考え方が
PFCバランスとカーボサイクルです
細かい調整が必要なやり方なので次回以降にまとめます
今回1番伝えたいのは減量期間についてです
何日で何キロくらい落とすペースがいいと思いますか?
私が推奨しているのは10日で1kgです
さらに折れ線グラフの様に上がったり下がったりを繰り返しながら落ちるのが理想です
これより早いとおそらく筋肉がかなり削られている可能性が高いです
この10日に1キロのペースと自分の減量幅、試合日から逆算すれば減量開始する日が分かります
ここで勘違いしてしまうのは試合3日前、もしくは前日や当日のギリギリにリミットアンダーにしようという考えです
アマチュアのトーナメントは長いと1週間近く戦わないといけません。計量日にリミットに入っても身体がその痩せた体内環境に慣れていないのである程度の慣らし期間が必要です
そのため私が推奨したいのは
試合の1週間にリミット〜+2kgにもっていくことです
そのくらいなら普通じゃない?と思われがちですが、追加条件があります
・毎日水分を4L飲んでいる
・三食最低でも白米200gずつ食べている
少なくともこの2つの条件を守った上でリミット〜+2kgにもっていくのです
水抜きで3〜4kgくらい抜いているアマ選手もいるでしょうが、大学リーグ戦ならそのくらいやっても問題ないです。しかし、連戦になるトーナメントの場合は水抜き量が増えることは身体への負担になります
要は予定より1週間早く仕上げてその体内環境に身体を慣れさせればいいのです
早く落とし過ぎるのは維持しないといけないから大変、という人もいますが、前述した2つの条件を見れば分かる通り極度の食事・飲水制限はしていません
この状態に持っていければ減量は終了しているも同じです。なぜなら、人は1日に何もしなくても排泄、呼吸、皮膚から合計2kg前後の水分を排出するからです(不感蒸泄といいます)
もちろんこれは通常通りに水分をとっている場合の話です。水抜きに失敗するような調整をしている選手には当てはまりません。
○減量開始の目安
10日に1kgのペースから逆算していくと一週間前にリミット近くに持っていくにはどのくらい前から始めればいいかが分かります
5kg落とす必要があるなら、50日+7日で57日前になります
やってみれば分かりますが、しっかり食べながら飲みながら落としているので一気にガツンと体重が落ちることはないです
しかし、栄養が補給されている状態でトレーニングできるので練習の質も上がりますし、怪我も少なくなります
また、水抜きや塩抜きなども流行りで色々取り組む選手もいますが、減量において水も塩も取らないタイミングは計量前日だけです。これはプロアマ共通です
試合が近づくにつれ水分摂取を控えさせる指導者は身体の仕組みを理解していないだけなので無視して構いません
減量失敗の大きな原因は無駄に増やした脂肪よりも準備期間不足だと思っています
相談してくるボクサーも「もう少し早ければもっと楽な方法あるのに…」という人が多いです
少し長くなったので、PFCバランス、カーボサイクルに関しては要望があれば次回にでもまとめようと思います
私のやり方は個人のデータをとりながら反応を見ていくので少し複雑です
まとめる根気がなくなったら更新しないのでDMで聞いてください。個人的に聞いてくれた人にはもれなくお応えしているので笑
ではでは。
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