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16歳。一人、旅に出る #3

これは京丹後に来て3日目の話になる。

前回は#1。今回は#3。あれ、#2はどこ行った?
なんて思っている人もいるかもしれない。

でも、先に#3を読んでほしいのだ。

どうしても先に、読んでほしい相手がいるのだ。

一人旅初日の出来事を#1として投稿したが、今回は#2ではなく、3日目である#3のことを書かせてほしい。
順序が少し変わるだけで#2(2日目の話)ももちろん書くし、4日目以降の話も随時更新していく予定である。



*****

「 最近、丹後でテントサウナをやっている面白い人たちがいて、ぜひ!って言ってくれてるんやけど、サウナ苦手とかないかな…?」

朱珠さんからメッセージが届いた一人旅出発まで1週間ほど前。

テ、テントサウナ……!

サウナ、なんて小さいときに友達といってキャーキャーはしゃいだ記憶しかない。サウナ……整うやつか、整っちゃうやつなのか!?そしてそれってテントでできるのか!?

という未知すぎる話だった。

最近テレビでも特集で見るようになってサウナに興味はあった。ただ、女子高生一人が挑戦しようとして簡単にできるものではないと思っていた。

それに私は、北の大地の道産子である。

サウナが苦手、というより高温多湿な環境に耐えられるのか?という自分の課題が残ったままだった。


3日目の朝。

私は車に乗っていた。服の下に水着を着て。

車には前日一緒に行動をしてくださった朱珠さんと梅田さん。そして隣には、初めましての女子高生が乗っていた。

ここにきてはじめて会う、同世代の地元(京丹後)の子である。

アイコンが謎のイラストで、顔も声も公開せず、周りがインスタに夢中ななかnoteをコソコソ書いている私だって、中身は一応小柄な女子高生なのだ。



「今rootsで水中考古学プロジェクトをやっている高校生も来てくれる!学年はその子が1個上なんやけど、同じタイプだと思うからたぶん大丈夫!!」

「すごい、その、人見知り爆発しそうです……」

「あっちもたぶん人見知りやから!私は遠くで見守ってるわ」



大人と喋るときとは違う、距離感のつかめないドキドキがずっと波打っていた。


「はじめまして……(本名)です。」

「はじめまして……あやです。」

案の定、会話はあまり続かなかった。

というか、緊張しててあんまり記憶がない。(こんな自己紹介をしたかも定かではない)

このとき私は、あやちゃんという人間に少々ビビっていた。

先ほど書いた、あやちゃんが発案して行っている『水中考古学プロジェクト』は、とんでもないプロジェクトだった。

丹後地方の海中を調査するための資金を300万円を集めるクラウドファンディング。これはただの好奇心なんかじゃなく本気もプロジェクトで、バックには海のプロの大人たちが何人も支えていた。

すごい。としか言えなかった。

同世代が動かしている規模のプロジェクトとは思えなかった。

あや、と名乗っている彼女がすごくかっこよかった。憧れた。
だからこそ、ちょっと怖かった。
なんか、想像を超えてくる、とんでもない人なんじゃないか、と。
ただならぬ女子高生なのでは、と。


そして30分後、私たちは同じテントサウナの中にいた。

テントサウナを提供してくださったのはぬかとゆげさん。サウナについて何も知らない私にいろいろ教えてくださった。

サウナ、というと少し息苦しいイメージがあったが全くそんなことはなく、じわじわと体の芯から熱くなるようなそんな感覚。

初めてのロウリュウに体感温度もテンションも一気に上がり、水風呂代わりの雪解けの川にダイブ。おなかの下あたりから不意に変な声が飛び出すほどだった。

外気浴。冷たくなった体の表面が少し熱くなっている気がした。青空がまぶしくて、車の音も何も聞こえない平和な空間で、ボーっとする。

周りは田んぼや古民家が広がっていて、初めてのはずなのにどこか本能的に懐かしい。


線路の向こうには、誰だろう。おじいさんと、赤ちゃんを抱いたおかあさんだろうか。天気がいいからお散歩をしているのだろう。

あっ。

目があった気がした。

3人は、踏切に背を向けて帰っていった。
ヤバいと思われたのは確かだった。3人からすると、踏切の先でびちょびちょに濡れた女子高生たちが椅子に寝転がっているのを見たのだから。

「引かれましたよね」

「絶対見てたよねぇ」

この会話であやちゃんと私が少し打ち解けられた。たぶん、そんな気がした。

朱珠さんと梅田さんがお仕事で抜けている間、サウナの中は私とあやちゃん、そしてぬかとゆげのカジさんの3人だけだった。
(私たちは移動中の車の中でカジさんは丹後のジョンレノンだよ、と聞いていた)

カジさんもまた、すごい人だった。
友達の家でゾンビ倒してたとか、話を聞くほどすごく気になる。1か月以上たった今でもじわじわと感情が溢れ続けている。

そんなカジさんと、あやちゃんと、私。

真面目に、まっすぐに、将来の話をしていた。

高校を卒業したら、どうするのか。その先は。

私は、というと。実のところあまり見えてなかった。
こんなことをやってみたい、とは漠然とあった。でも、進路を決める猶予が回りより少し先なことを理由に考えることから逃げていたためフワフワしたままでどうも先がこんがらがった道だった。

あやちゃんは、嘘偽りなく、まっすぐだった。
テンパってあやふやになる私とは違って、ゆっくりと落ちついていた。ずっと先が見えてる。喋り慣れてる。

少しふわっとしたテントの中でふと思った。

プロジェクトを動かし始めるとき、どれだけの覚悟をしたのだろう。
300万なんて大金を持ったことも見たこともないのに、人から募って動かしていく勇気はどれだけのものなんだろう。
夢に向かう行動と、計り知れない責任を背負っているんじゃないか。

すごい人だった。
でも、最初にビビっていたときのすごさとは少し違っていた。

他人事としてのすごさなんかじゃなくなっていた。
同じテントサウナで汗を流し、雪解けの川にヒーヒー言いながら浸かり、同じ雲の下で外気浴をしたのだ。
同じなのだ。

同じ、女子高生なのだ。

サウナから上がるとき、カジさんは言っていた。
「なんとかなる。大丈夫だから」と。

カジさんが言うのなら、たぶんそうなのだろう。
ちょっと安心した。



その後、まちまち案内所を少し見学。

たくさんの大人たちが生き生きとしていた。繋がっていた。
貸し出し本棚にはたくさんの本が詰まっていて、その仕切り一つ一つが、その人の人生を表しているようだった。

その後、タピオカを頂いて八丁浜の海へ。

海はこれから犯人探しが始まるんじゃないかと思うくらい荒れていて、外の寒さと冷たい海風になぜホットのお茶ではなくタピオカを選んでしまったのか後悔した。震えるほど寒かった。

そんなとき、朱珠さんが手袋を貸してくれた。
でも手袋は2つしかないとなり、あやちゃんと片手ずつ分けてつけた。

海のすぐ近くに標準時線があった。私は本当に日本の真ん中の上らへんにいるんだと、感動して写真を撮った。

少し高くなったところから沈む夕日を眺めた。
空が綺麗に染まって、海も色づいていた。同じ太陽が北海道でも沈んでいるはずなのに、初めて見る色な気がした。
本当に色が違うのか、私の気分で色づいていたのかはわからない。

片手が冷たくなっていた。

4人でちょっとはしゃいでいた。

タピオカを買って正解だった、と思った。

唯一わりとはっきり映っていたフィルム写真

そんな3日目が終わり、おいしい夜ごはんを食べてぐっすり寝た。

まだまだ続く。


そして改めて

あやちゃん。

クラウドファンディング目標達成おめでとうございます!

ここまで書いてだけど、勝手にあやちゃんと呼んでよかったのか、敬語で話したほうがよかったのか……なんて思っていますが。
達成したとき、自分事のように家族や友達に自慢しました。笑

noteにも私のことを書いてくれてめちゃくちゃ嬉しかったです!

これからの活動が楽しみです。報告待ってます!

またいつか。サウナでお供できればと思います。
胸張って会えるように頑張ります。


頑張んなきゃな。


※追記

あやちゃんの目からこの1日を書いてくれました。

出逢えて本当によかった!

あやちゃんの言葉が好きです。
読んでください。


KaiTO

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